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吾輩はロリである。(休止)  作者: 撓★シナ
第一章 「ロリコンの夏休み」
2/12

一日目(1) 吾輩はロリコンである。

 黒猫が死んだ。トラックに轢かれて……。


 

 後々警察と救急車が直ぐに来て、救急車はトラックの中にいた男を担いで運ぶ。

 

 警察は、猫を抱きかかえた俺の肩をたたき、道沿いに連れていく。

 

 「首輪がついてなかったけど、これこの子のかな?」


 そう言われて俺は静かに頷く。

 赤色に汚れた赤リボンを俺に渡し、去っていく。


 

 その後のことは、余りよく覚えていない……。

 賠償やら、運転手は無事だとか、そんなこと。

 猫の処理がなんとか話していたが、こっちでする事になった。

 不満があるわけない、そっちの方がいい。

 

 だって俺の家には……。


 

 ――昔、小学時代、母から聞いたことがある。家には、先祖の遺品があり、その中に《蘇りの書》があるという。

 

 小さい頃の俺は現実的で、そんなもの、これっぽっちも信じてはいなかった。俺はあきれ顔で、目を輝かせる母の話を聞いていた。それは悪魔で〔その時は〕である。 

 

 そんな中二病的な話を信じるときは直ぐに来た。俺は話を聞いていて、心当たりがあった、てか、思い出した、そう俺の部屋の押し入れにある書物のことだ。

 

 もっと俺がが小さい頃、それを開こうとしたのだが、何故か硬く閉ざされていて開かなかった。負けずとカッターで開こうとするが切れもしない、俺はあきらめ、そのまま忘れかけていたのだ。

 

 母の話を聞いて思い出した。

 

 この話を母に聞かせると、顔を赤く、目をより一層輝かせ、はぁはぁと息を荒くして俺の部屋に走っていった。

 

 俺もやれやれと母を追いかける。部屋が光り、部屋に入ったはずの母の姿は跡形もなく消えていた。

 

 俺の部屋に入る所までは見たのに、入ってみると誰もいない。


 窓も開いていないし、隠れる所なんて無い。それに足元には例の物、開かなかった本が開いて落ちていた。

 その中の文字は汚れているのか、ぼやけていて、読めたもんではない。


 それよりも母が消えたことに、膝が崩れる。俺が泣きそうになっているとき。

 

 「お~い こっち、こっちにいるわよ~」

 

 どこからか、気の抜けた、うざくて優しい母の声、そして俺はあり得ない光景を目の当たりにする。

 

 「机の影に若い…… 否! ロリがいる!!」

 

 ――母は若返っていた。


 

 その後、十分程度で元の姿に戻った。

 ずっとそのままでいればいいのに……。

 

 ――いや、だめだ!親に欲情なんて、できない!!

 

 そう心で叫んで俺は幼女を撫でていた手をはなす。

 

 「ずっと鼻の下のばして、頭を撫でていたのにぃ~?」

 

 くっ! だが今の姿ではそんな上目遣い効くわけがない。

 まぁ、でも元に戻ってなんなりだ。

 なんなりだ……。

 

 《蘇り》ではないが、若くなっていたことは事実、あの本は、モノホンだ。

 

 あの後、母に何が起こったのか聞いてみたところ、 

 

 『今は見えないけど汚れていた所が見えててぇ~ それを読んだら光ってぇ~ ピチピチにぃ~ なっちゃったのぉ~』

 

 今もそうだけど~ なんてことを付け加えて去っていったが、凄いと思った。

 

 俺は他の本を見てやろうと思い、開こうとするのだが、結果はダメ、母にも開かせて見せるのだが、これもダメ。

 今、母が持っている《若返りの書》はもう閉じてあり、俺には開けない。母は開ける。


 仕組みがよく分からない。


  まぁ、その後母が若返ること無かったので、そのまま放置していたが数日後、一冊面白いのを見つけた、《病気改善の書》それだけは、俺が開くことができた。

 

 内容は、 

 ――まず、シートを敷きそこに座り、足を開いてそのまま背中を丸めていきましょう。

 

 このときに息を吸い、体を戻すときに吐きましょう。 これで体が暖まってきましたね。 それではまず、便秘をなおす―― 

 

 「「ヨガじゃねぇか!!」」


 声が部屋に響き渡った。

 

 うん、これヨガだよね、ヨガだよ!! おい途中までやっちゃったよ。 確かにね、健康的でいいかもしれない、でもそれを、こんな古びた書に記すな!!

 

 まぁ、途中でやめるのは、スッキリしないものなので、一応最後までやった。

 

 すると、あら不思議、体が光り、疲れがとれ、お肌がツヤツで、お腹まわりが……ってまだ若いから、そうでもないぞ!!

 

 達成感があったが、腹が立ち、俺は手に持っていたソレを元あった所へ投げ捨てた。


 

 

 なんてことがあったのだ。

 

 今こんな時にそんなこと思い出してる暇ではない!! と思うかもしれないが、昔、母から聞いたワード、《蘇りの書》が必要なのだ。

 

 それは押し入れの中にある。

 

 俺はこれが本物と信じている。だって母が若返った、それだけでも凄いと思うのだが、

 なんとこの五年間俺は、病気になったことがないし、周りがよく騒いでいる、ニキビなんて見たこともない。

 

 俺はちいさいころは、病気になることが多かった、だが一般的に見えるヨガをやってから、体は元気で、体育でも学年ではトップ三位には、入るぐらいだ。ヨガをやらなかったら、こうはいかなかった、……と思う。

 

 まぁとにかく、母が若返ったことだし、本物間違いなし。

 

 なので、俺はこの猫を蘇らせる。猫には幸いにも打撲などはしているものも、体が真っ二つに吹き飛んでいる。なんてことはない。これなら元に戻るだろう……

 

 俺は猫を抱えたまま、家に入る。

 外がまだ 少し騒がしい。 

  

 さぁ、探すぞ! っというところで

 

 ――パァン!!

 

 後方にドアを思いっきり開ける音ではなく。

 

 銃声 


 この町では珍しくも無い音が聞こえるってことは、

 

 「ダメじゃないのぉ、なつのん~ そぉんな怪しい書物なんか使ってぇ、なにするきなのぉ」

 

 振り向いた先に婦警の格好をして、拳銃を手に持つ女性、母に似た優しい声色。何もかも見透かしていそうな細い目

 

 「そんなボロ猫捨てて~、飼うなら新しい猫を飼いなさぁい」

 

 そんな優しい声で酷いことを言う、勿論この人のよくある冗談だって慣れで、分かってはいる。でも腹が立つ。

 

 この女は、近所に住んでいる俺の従姉の大花(おおはな)麻衣(まい)


 通称――マリファナ、良い名前に感じてはしまうが、大と花を引っ付けてやれば、《大麻》 性格だって……。

 

 この人の性格は悪い、悪いと言っても悪ノリが過ぎるのだ、根はいい人なのだが、どうも発言と行動が爆発的だ。

 

 現に、この人、銃を軽々しく撃ちやがっただろ? 銃声が鳴り響いているが、別に気にすることはない。

 

 先程も言ったように、この町では銃声なんて珍しくも無い、銃声が聞こえたとしても「あら、麻衣ちゃん、何かあるの?」って、興味心身に聞いてくるだけだ。


 町での評判はよく、老若男女とわず人気者である。銃口を人には向けないものも、天井に穴が空くからやめてほしい。

 

 そしてもっと怖いのは《俺のことを知りすぎている》ってこと。

 

 昔、俺が家出をしたときは、麻衣ねぇがいっつも迎えに来る、家出開始3分で捕まる、自転車に乗って遠くに行ったのだが絶対先にいる。

 

 ずっとスタンバっていました、と言わんばかりに。

 

 まぁ、色々な意味で恐ろしい奴である。多分ここにいることも、何をしようとしているのかも、知っている。


 会いたくなかったが、会ってしまったなら仕方がない。俺は、麻衣ねぇの冗談を軽く流して

 

 「麻衣ねぇ、何しに来たんだよ、……どこまでしってるんだ。」

 

 いつも何かを見透かしていそうな、穏やかな糸目にを睨み付ける。

 

 「そんな怖い顔しないでよぉ。私がぁ、なんでもしってるとでも~」

 

 いやぁまぁ、なんでもは知らなくても、現に俺の行動を把握してここまで来ているじゃないか。

 

 「とにかく俺にはやることがある、出ていってくれ。」

 

 いつもそう言ってやると『思春期だものねぇ~』なんて訳の分からないことを言って帰ってくれるのだが――

 

 「だめよ、そんなことをしても無意味だから」


  見たことも聞いたこともない真剣な顔と口調で、麻衣ねぇは言った。冷たい声。……空気が固まる、静かだ。

 

 「無理なのよ、その猫を生き返すなんて、出来っこないわ。」


 「出来ないことねぇ!! この書物があればこの猫は行きかえる!!」


 俺は久々に怒鳴った。手に持った猫を畳の上に置き、押し入れに入っている、《蘇りの書》を手に持って開く。

 

 「ほら、みろよ開かなかったのに今じゃ開く。本当にそうしたいと思ったら本は開くんだ。ほら、猫も光って……」

 

 猫の体が光ったが動くことはない、俺が目に見て分かったことは、すでに引きちぎれそうな尻尾、体の傷。腕や足、ボキボキに折れていただろう所が完治している、元に戻ったみたいだ。……体の中身までも。

 

 「なんだよこれ、何で生き返らない! あってるはずだろ!!」


  おかしい、書物には《蘇りの書》と記されていた、間違ってるはずは……

 

 「それがぁ間違ってるのよぉ、それは、蘇りと言えども、《元に戻す》に近いからねぇ」


  口が閉じない、驚きに……。

  

 「私もねぇ、両親から貰ったぁ、大事なぁ(くし)を壊しちゃってね

ぇ、その書物、使っちゃったのよぉ。私の考えでは蘇りなんてあるわけがないってねぇ、思ってねぇ、使ってみたら案の定《形を蘇す》だったのよぉ。だってぇ、そんなぁ、生き返る本なんてあったらぁ、ご先祖様もぉ、今まさに、生き返ってるだろうしぃ、ねぇ。」

 

 ……てことは、猫を蘇させることは出来ないってことか、短い間だったが、久しぶりの家族だったんだ。


 そんな、俺は……

 

 「ふざけんなよ!  何が形を蘇すだ! そんなの意味がねぇ! 生き返ってくれなきゃ意味がねぇ!」

 

 俺は手をグーにして畳を八つ当たりに、思いっきり叩く、勿論、傷が付くわけがない。


 壊れるわけが……

 

 ――ガコッ

 

 なにかが外れる音、埋る手

 

 「……なっ、どういうことなの!? それは決してあり――っ!

 

 麻衣ねぇが目を開いて驚く、こんな目は麻衣ねぇが本気で怒った時限りだったのに。

 

 「《蘇りの書》? どうしてここに……」

 

 俺が呟き、畳の下にあった書物を手に取る。


 ははっ……こんなところにあったじゃないか、《蘇りの書》が! 

 

 「まって! おかしいわ! だってそんなの――

 

 麻衣ねぇが何か、言っているが俺の耳には入らない。ほら、本と猫が光っている。ついに……。


 

 

 「むにゃむにゃ。ん?なんじゃ、ふわああぁ、よく寝たぁ」

 

 光が消え、猫がいた所にソイツはいた。そしてシリアスな雰囲気をぶち壊す。

 

 「……ロ、リ?」

 

 えっ?ナンデ?ヨウジョナンデ?、訳がわからなくて幼女を称する、ロリという単語を言ってしまった。俺の隠してきた性癖を従姉と、目の前の裸幼女に、……猫耳幼女に晒してしまった。


 訳もわからなく、そっと頭を抱え体を縮める俺をみて、きれいな黒髪幼女は、一息すって、


 「吾輩は、ロリである!!」

 

 っと、身長に似合った、あるはずのない胸を張って叫んだとさ。


 後ろからは、驚きと呆れの混ざった、これまた本人からは聞いたことのない、深いため息が耳に入った。

 最近近所の猫がすごい声で鳴きます。

 秋を感じます。

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