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1-1 ギルドへ

 世界で最も西の国。

 見渡す限りの人人人。

 そんなとこに、一人の少年が立ちつくしていた。

 髪は切り整えた程度。整った顔立ちに身長は16という年齢に対して少し低い程度。特徴といえる、目立ったものは特にない。

 そんな僕の通る道の端には、屋台が何軒も連なって並び、お祭りでもやっているような雰囲気だ。

「……すげえな」

 と、何回か見たことはあったが、声を漏らす程度には見慣れない風景だ。

「いかん。感心してる場合じゃない」

 一人で首を振って気持ちを切り替える。

 風景に見入っている場合じゃない。だって、今は‶彼女‶を探しに来たのだから。

 人探しの基本。情報収集。そして聞き込み。

「……この国のどっかに師匠の通ってたギルドがあるはずなんだけど」

 ただ歩いてたんじゃ埒が明かない。

 肩にかけたバックから、国の地図を取り出し――。

 ドン。と、肩が人にぶつかる。その拍子にバックを落としてしまう。

「あ、ごめんなさ――」

 刹那。肩をぶつけてしまった男――。

「あ!? ちょっと!!」

 否、当ててきた男は、僕の地面に落ちたバックを持って走り去っていく。

「ちょっっ待て!」

 慌てて追いかけるも、人が多すぎる。人混みが不慣れな僕は、うまく走れない。

「すいません! ちょっとごめんなさい」

 なんだなんだと、騒ぐ人たちに謝りながら、人を避けてどうにか走るも遅かった。男を見ると、路地に入っていく姿が見えた。

 終わった。そう思いながらも、走って男の曲がった角まで行ってみることにした。もしかしたら直線の路地かもしれない。

「はぁー……もうだめだ。疲れた。幸先が悪すぎる」

 いくら直線だとしても、こんなに疲れては追いつけまい。諦めつつ、男の曲がった路地を見てみる。

 ――そこには、僕のバックを持つ少女と、吊るされている男がいた。

「まったく。またあなたなの? これで私につかまるの何回めよ。もっとうまくやれないの?」

 はあ。と、ため息を一つつき、少女はこっちに向いた。

「で、このバックあなたの?」

「へ……あ、はい」

 その光景が衝撃的過ぎて、ぼうっとしていた。おかげで返事が遅れてしまった。

「はい。じゃあ返す。届出だす手間はぶけたわ。よかった」

 といって、少女はバックを放り投げてきた。

「ありがとうございます」

「仕事だから」

 仕事とはどういうことだろうか。軽く疑問を抱くも、あまり突っ込まないことにした。

「あ、ちょっと待って」

 じゃ。と、どこかに歩いていこうとする彼女を止める。

「何? 中身が何かなくなってる?」

「いや、そうじゃなくて。道を聞きたくて」

「大体の場所でいいなら教えてあげるけど、ついては行ってあげられないわよ?」

 大丈夫と、一言告げてカバンから地図を取り出す。

「……地図あるのに道聞くって何?新手のナンパ?」

「いや、地図読むの苦手だから、聞いたほうが早いかなって。

それで、ここにあるギルドに行きたいんだけど」

「ギルド? ギルドって……ああ、なるほど」

 一人で納得したようにぶつぶつとつぶやいてから。

「そこなら今から私も行くからついてきな」

 そういって、少女は歩き始めた。

「ほんとに? ありがとう」

 さっきとは反対に、割と幸先いいかもとか、のんきに考えてみたりする。

「そこに用があるって、依頼か何かしに行くの?」

 いいや? と首を振って、彼女は答えた。

「私はギルドメンバーだからな。今丁警備依頼の休憩時間だから、一度帰っておこうと思って。ケータイ忘れたし」

「へぇ……え?」

「? ケータイがないと依頼先に休憩に入ると連絡できないのよ」

「いやそこじゃなくて!」

 こんな女の子がギルドに? と、少し考えるも、納得した。

 ひったくりの男を吊るし上げれるように強く、そして仕事と言っていたことも納得がいった。

「ああ。か弱そうな私がなぜギルドにっていう質問の方か。いや、単純に魔法が得意だったからなんだけどね。よく言われるわ」

「魔法が得意って、さっきの見る限り、身体強化エンチャントとか、そっち系? まあ、状況からしか言えないけど」

「まあ、一応ね。一番使えるのはって感じ。というか、よく知ってるわね。まさかギルドに入るつもりで来たの?」

「まあ、一応それもあるんだけど、半分はちょっと」

 瞬間、彼女は歩きながらこっちを見て、何かを見定めるかのように僕を見た。

「……何?」

「いや、ひったくりにも追いつけないってことは身体強化エンチャント系の魔法は使えないのかなって。それなら何の魔法を使うのかなって。見た感じ筋力はそんななさそうじゃない」

 ……さらっと。筋力がないとか、少し気にしてるとこを指摘してきた。

「いや、あんまり大通りで魔法使うのはどうなのかなって。身体強化エンチャント系が苦手なことに変わりはないんだけど」

「まあいいわ。ひとつアドバイス。今比較対象がいない氷系の魔法使えるなら、魔法審査の時に氷系を使うことをお勧めするわ」

「もとからそのつもりだよ」

 教えてくれてありがとう。と一言告げた。

「さて。ついた」

 最後の曲がり角を曲がった瞬間。

 「magic guild」と、入り口上に看板を掲げた、『お金持ちの一軒家』みたいな建物が見えた。

「ようこそ魔導士ギルドへ。まあ、あんまり人いないけどね」

 割と早かったな。とか、思ってたよりもあっさりついてしまって、何となく気がぬけてしまった。

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