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龍砲艦隊〔…裕太がやらかした!〕  作者: どうない あつし
8/27

初陣

24

ソロモン諸島


アメリカ軍はガダルカナル島を日本から奪取したあと、日々軍備を増強し大規模な軍事基地に発展させていた。


そこに帝国海軍は再占領作戦を実行しようとしている。


参加艦艇は以下である。

空母 3隻(翔鶴、瑞鶴、龍驤)

戦艦 3隻(大和、霧島、比叡)

巡洋艦 8隻

駆逐艦 15隻


陸軍上陸人員1万名を乗せた輸送艦10隻

その護衛に駆逐艦6隻


そして、龍砲1号2号がこれに参加した。

龍砲の初陣である。



ミッドウェー以来の大艦隊をこの作戦に参加させたのだ。



しかしアメリカ軍はこの情報を察知しハワイから空母機動部隊が出港していた。


これを率いたのはフレッチャー提督である。


『ジャップめ!性懲りもなくまた攻めてきたか。

しかしこれで一気にジャップどもを太平洋から消してしまえるぞ!』


空母サラトガを中心に南下して行った。



日本軍もこれは予想していたためガダルカナルより先にアメリカ艦隊を探すのを優先していた。


索敵機も多く飛ばし、その甲斐あって先にアメリカ艦隊を発見したのである。


即座に翔鶴と瑞鶴より攻撃隊を発艦させた。

『攻撃隊発進!』


アメリカ軍も遅れて日本軍を発見し、すぐさま攻撃隊を発艦させた。

護衛機も挙げ日本軍攻撃隊を待ち受けたのだ。


攻撃隊どうしは途中すれ違い双方無電を発信した。

『敵攻撃隊!味方艦隊に向け進行中!』


いよいよ決戦である。



25

その頃龍砲1号艦長 白木 光一大尉は艦橋で。

『よっしゃ〜!とうとう実戦やで。

身体が身震いするわ。』


スポーツをしている光一はやはり敵が現れると燃えるのである。


『2号艦に合図しろ!

出撃や。』


龍砲二隻は攻撃隊に遅れて海面を全速で滑走し始めた。

100km以上の速度で爆進して行ったのだ。


日本攻撃隊はアメリカ艦隊に遭遇したが護衛機に阻まれ大した戦果もあげられなかった。


それはアメリカ攻撃隊も同じような結果であった。



その時、うなりを上げて巨弾がアメリカ空母に突き刺さった。


あっと言う間に甲板が大火災になってしまった。


『どこからの攻撃だ!

日本軍の攻撃隊は蹴散らしたのではないのか?』


フレッチャー中将は喚きちらした。


『わかりません。しかし、艦載機ではなく砲撃のようであります。』


『何!戦艦が近くにいると言うのか?

レーダーにも索敵機からも報告はないぞ。』


続いて巡洋艦にも一発当たった。


砲弾は巡洋艦の前部砲塔の下に当たり格納庫の弾薬にも引火し大爆発してしまった。


あっという間に船体は2つに割れ沈んで行った。


いわゆる轟沈である。


『早く敵を探せ!』


アメリカ艦隊は陣形を崩しバラバラに回避行動をとった。


光一は

『やっぱ電波測距儀は正確やな。

こんな遠くからあたったがな〜』

とのんきに独り言を言っている。


『どんどん!行け〜』


1号2号は主砲を連射しながら矢のように滑走して行った。



アメリカ索敵機の一機が水煙を上げ爆進する龍砲を発見した。

光一は

『おっ!見つかったかな?

あれは敵さんの飛行機やろ、機銃隊出番やで。』



26

アメリカの索敵機は悩んでいた。

今下にいる2台の戦車はなんで海にいるのか?

砲を打っているようにも見える。


迷いながらも艦隊に打電した。

『敵発見!

2台の戦車らしきものが砲を撃ちながらそちらに向かっております。』


『なんて言った?もう一度頼む。』


『だから2台の戦車が海の上を見た事もない速さでそっちに向かっている。』


『戦車?そんなものが海にいるわけないだろう!おまけに戦車で艦隊に立ち向かっても意味ないだろう?』


『そんなもん!知るか!

実際下に砲を撃ちながらそっちに行ってんだよ!』

もう投げやりである。


その間にもアメリカ艦隊にはどんどん被害が広がっていた。

とりあえず艦爆隊が無電のあった海域に行くと確かに砲を打っている戦車がいた。


隊長は即座に攻撃開始を指示し急降下した。


『上から客が来たで〜、機銃掃射始め!

操艦こっちに寄越せ!』


そう言って光一は自分で操艦を始めた。


右に左に転蛇しスピードにものを言わせ爆撃機の射点をかわして行った。

『狙いは空母や!しっかり打てよ。』


そう言いながら今度はスライド走行している。


上から狙いを付けてた艦爆隊はそれを見て呆気にとられた。


『なんだあの戦車は?

とてつもない速さの上にあの動き、狙いなんかつけられる訳ないぞ!

艦船と違ってあんな小さな標的に無理だろ。

艦隊に報告だ!』


『日本軍の新型艦艇出現!

戦車の形をした高速艇である。

艦爆隊では標的が小さく、ちょこまかと変わった転蛇をするため攻撃不可能、よってこれより機銃掃射をして見る。』


そう報告し旋回し、近づいて行った。


近づいて見ると戦車よりかなり大きめである。

これなら機銃で!と掃射を開始した。


すると敵からも掃射が開始されあわてて機首を旋回させた。

おまけに機銃では効果がまったく無いように見える。


その通り龍砲は装甲を厚くしていたのである。


しかし、軽くするためには重装甲は相反するため龍砲には新しい装甲が貼られていた。


さすがに大型砲弾は防げないので切り捨て、予想される機銃弾にしぼり装甲が考えられた。


装甲の厚さは一番厚いところで7cmもあるが重さは従来の3分の1である。

仕組みは4重構造で1cmの硬い鉄板2枚の間に柔らかい鉄をスポンジ状に(穴あきだらけ)したものを二枚挟んでいる。


これで弾丸を一枚目でスピードを殺し、2枚目と3枚目の柔らかい鉄が熱で溶け、弾丸に付着し最後の鉄板で貫通を防いでいる。


これは裕太の開発チームが考案したものである。


27

とうとう空母まであと3kmを切った。


この距離だとほぼ水平射撃になってくる。

龍砲二隻は敵空母に対し8発の直撃弾を与え大破させた。

沈没も確実だろう。


『よし!帰りの駄賃に回りの艦艇にもおみやげ置いて行くで。』


龍砲二隻は砲弾が飛び交う中、高速で駆け回り、残りの砲弾を撃ちまくりながら引き上げて行った。


『よっしゃ、これで勘弁しといたる。

みんな、ようやった!

引き上げるで。』



とんでもない戦果である。


空母1隻撃沈1隻大破

巡洋艦2隻撃沈3隻大破

駆逐艦8隻撃沈


たった2隻の30mほどの艦艇にアメリカ艦隊はコテンパンにやられてしまった。


日本の被害は最初の攻撃機の8機喪失でとどまったのだ。


無電を受けた日本艦隊も驚きである。

南雲中将は第二次攻撃隊を発艦させようとしていたが中止した。


アメリカ艦隊は無傷の艦艇だけをガダルカナルに向かわせハワイに撤退せざるを得なかった。


第二次ソロモン海戦は日本の圧勝であった。

それもたった二隻の龍砲により。





28

補給艦より補給を受けた龍砲二隻は艦隊に合流し、

光一は大和に呼ばれ戦場に置いてのささやかな祝勝会に参加した。


南雲中将は

『皆のもの、今回の勝利はこの白木大尉の武勲である。

それと龍砲の性能を改めて知らしめた一戦となった。

これで今作戦は成功したようなものだ。


しかし今一度、勝って兜の緒を締めろ!だ。

ガダルカナル攻略を完璧なものにしようではないか。

それではカンパイ!』


『カンパ〜イ!』


一晩の祝勝会ののち艦隊はガダルカナルに近づいて行った。


まずは攻撃機隊の発艦である。

護衛戦闘機の零戦も加わりガダルカナルに向かった。


一方、ガダルカナル守備隊は起動部隊の敗戦を聞きあわてた。


それも信じられない敗戦である。

報告を聞いても訳がわからない。


2台の戦車に空母起動部隊が完敗した!と言うのである。


これに対抗する作戦も立てようがない。


とりあえず近づく日本艦隊に基地航空隊を向かわせた。


日本軍は途中攻撃機隊どうしの交戦があったものの第一次攻撃機隊の爆撃は成功し、空母に帰投して行った。


アメリカ基地では厚みのある防戦により被害を最小限にとどめ、基地航空隊の戦果の報告を待っていた。


そんな時、巨弾が降ってきた!


またサイレンが鳴り響き防戦に努めようとしたが、どこから攻撃されてるのかわからず困惑していた。


龍砲二隻は艦隊から離れそのスピードを生かし、島の反対側に移動しそこから砲撃を開始したのである。


光一は

『今度は楽やで、動かん基地やからな、どんどん撃ちまくったれ!』


基地では滑走路が破壊され、降ってくる巨弾に翻弄され続けていた。


その後日本艦隊の戦艦部隊も砲撃に加わりガダルカナルは大混乱に落ち行った。


残ったアメリカ艦艇も空母の艦載機に次々と撃沈され、守備隊も艦砲射撃により壊滅的になってしまったのである。


ここで陸軍の上陸部隊1万人の上陸作戦が始まった。

ほとんど抵抗も無く、ガダルカナル島は再び日本軍の手に戻って来たのである。



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