試運転
21
戦況を見てみるとミッドウェー海戦のあと、東南アジアやソロモン諸島方面ではやはり苦戦している。
オーストラリアとアメリカの通商分断のためソロモン諸島のガダルカナル島には滑走路が作られた。
しかし、出来たばかりの滑走路は
アメリカ空母に守られた1万人の海兵隊にあっという間に占領されてしまったのである。
もともとガダルカナルには設営隊しかおらず防備はまったくと言っていいほど無かったのである。
さらに空母が不足しているため制空権はアメリカにあった!
日本側は巡洋艦だけの艦隊を組織しガダルカナルの増強に努めるアメリカ軍に対し攻撃に向かった。
第一次ソロモン海戦である。
この戦いは日本側の巡洋艦が夜間に奇襲し大戦果をあげた。
しかし、肝心な輸送艦隊への攻撃は行わず大量の武器などがガダルカナルに運び込まれてしまった。
この失敗がソロモン諸島における日本の奪還を難しくしアメリカ軍の進行を用意にさせたのである。
22
そんな頃、日本のある海岸で実験が行われようとしていた。
砂浜には海軍将校達が集まり海の方を見ていた。
海側には旧型巡洋艦2隻、駆逐艦3隻が戦闘準備を進め待機している。
サイレンが鳴らされ、いよいよ実験開始である。
陸のほうからけたたましいエンジン音が聞こえ始めた。
海の方を見ていた将校達はあわて目線を音のする方に向けた。
すると海岸から100mほどのところに戦車のような物が砂埃をあげ海に向かっているようだ。
だんだん近づいて来るとその全容が明らかになった。
『なんだあれは!戦車じゃないか。』
『いや!なんかプロペラ見たいなのもあるぞ。』
『戦車にしてはやけに大きいではないか?』
口々に将校達は話している。
そうこれが新型艦艇《龍砲》リュウホウだ!
全長本体
幅12m 長さ30m 主砲込み35m
重量500トン
エンジン4基
見た目は戦車そっくりである。
戦車との違いはキャタピラが無くその部分にはゴムのようなもので覆われている。
後方には大きなプロペラが4基あり全部両側にも1基づつプロペラが回っている。
兵装は主砲46cmが1門真ん中についており機銃が後方両側に2基づつ4基装備されている。
主砲は大和と同じだが21mあった長さを17mに短くし軽くしている。その分飛距離は落ちるが性能的には十分だ。
さらに反動を抑えるため砲の根本の装置を強化してある。
ほんとに巨大戦車のようである。
一番の特徴は何と言っても底面である。
下面に吹き付ける空気の力で浮いている。ゴムの部分含め約3mほど浮いているのである。
後部にある4基のブロペラと前部の2基のブロペラにより推進するのだ。
水の抵抗を受けないため最大速度は65ノット(時速約120km)である。
さらに陸上航行も可能なため戦車のように陸上戦闘にも参加が可能なのである。
まさに現代のホバークラフトが大きな主砲を付け登場したのだ。