帰京
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裕太はその後一時休暇をとり田舎に帰って来た。
アカネに会いに来たのである。
『アカネ!いるか?』
『まぁ、裕太!元気だった?』
『アカネ、ちょっと時間あけてくれへんか?』
『どないしたん?また急に!
もう少しで仕事終わるさかい、待っててくれたらええよ。』
裕太は外でアカネが来るのを待った。
『お待ちどう様〜』
『悪いな、急に!』
『ええけどなんかあったんか?』
『いや!なんもあらへん。俺も中佐になったし今度、大佐の辞令がでる予定や。』
『ほんまに、凄いやん!
でもなんやのん、その暗い顔は。』
『そんな顔してるか?
今な、充実はしてんねん。
龍砲は順調やし戦況も良くなって来てるし、ええ事づくめや。』
『ほな、なんでそんな顔してんのん?』
『自分な、あっちこっち駆けずり回って任務に精一杯がんばってたんやけど、最近長官にあることを言われたんや!』
『何言われたん?』
『う〜ん………
言いづらいんやけど…
………………』
『早よ、言いなや!』
『ええ人はおるんか?って………………、
そんでな、こう答えたんや、いません!って、
でも守りたい人はおります!ってな。』
『ふ〜ん、で長官さんはなんて?』
『それはいい事だ!
日本を守ると言う事はその人を守る事になるのだ。
お前はしばらく休暇も取ってないし一度会って来たらどうだ。
これからしばらくは休暇もとれんほど忙しくなるぞ。って!』
『もしかして守りたい人って………………?』
『そや、お前や!
最初に頭に浮かんだんがアカネやねん。』
『そら嬉しいねんけど…………』
『なんや?』
『実はこの間、光一も同じ事言うて来てん。
これから大きな戦いがある。何があるかわからんから会いに来た!
と言って1日おって帰って行ったんよ。』
『そうか〜、光一がな………………………………
でアカネ、お前は好いとる人はおらんのか?』
『今はいてへんよ。』
『なら光一と一緒になったらどうや!
光一なら俺も文句あらへん。』
『あほやな〜ほんまあんたらは………
光一も同んなじような事言うとったわ!
裕太と結婚したらどうや?
あいつはでっかい人になるで〜!
やと。』
『はぁ、なっ何言うてんねん!
けっ結婚っておまえ………
つき合うてもおらへんのに…』
『光一に同んなじ事言うてやったわ。
あんたら二人して譲りあって私の事どう思てんの?』
『どう、って………
幼なじみで、相談しがいがあって、守りたい人で、気になる人で…………………』
『だから!』
『だから?………
う〜ん、好きなんかな〜…』
『はっきりしいや!
普段は男らしく見えんのに口説くんやったらしっかり言ってや。』
『ごめん、俺もはっきりしてないんや。けどな。
今度帰って来るまでにはっきりさすさかい、待っててもらえんか?』
『もぅ、裕太らしいわ!
わかったで、待っててあげるからちゃんと帰ってきいや。
約束やで!』
『おう!わかった。
ありがとうな。
頑張って好きになるさかい!』
『あほっ、そんなもん頑張るもんやないわ!
自然と好きになったら口説いてや。私は裕太の事好きやで。
あ〜、光一も好きやし。』
そのあと二人で赤ちょうちんで語らい翌日裕太は戦地に戻って行った。