男子高校生の日常
「………………なに?これ」
友人二人が、互いの両手のひらを合わせ、向かい合い立っている。
それだけじゃない。
その二人が、俺を間に挟むようにして立っている。
……………なぜ?
「これさ、『壁ドン』の進化系の一つらしいよ?」
俺の後ろに立つ、隆太が言う。
「だから、俺らより身長の低い真人に試してみたんだけど……どう?」
俺の前に立つ、弘樹が言う。
「……いや、どう?と言われましても………」
「ドキドキしない?トキめかない?」
と言う隆太も、
「他の壁ドン進化系も試してみる?」
と言う弘樹も、
二人とも、バカだ。
同じ男の俺に試してどうすんだよ!
お前ら彼女いるだろ。彼女に試してみろよ!
………いや、でも、これはトキめかないわ。むしろ、恐怖のドキドキが沸いてくる。こんなのが流行ってんのか?
「じゃあ、次、どれ試す?」
「蝉ドン、とか…?」
「ぶはっ!蝉ドンしてる弘樹見たい!(笑)」
「隆太も一緒にやろーぜ(笑)」
…お前ら、マジでバカだろ…?
ってか、俺は見たくない。
両手両足を昆虫みたいに壁に張りつけるなんて、どんな身体能力だよ。軽くホラーだよ。…"軽く"?めちゃくちゃホラーじゃねぇか。
「一番最新の壁ドン進化系は『指チュウ』らしいぞ?」
「なにそれ?」
「弘樹知らねーの?こうして…」
と、俺に手を伸ばそうとする隆太に、恐怖が芽生える。
いや、まさか…………いや、これマジだな。
うん。今、俺、危ない。
「「あ、逃げるな!」」