閉じ込められたエレベーターの中で
あの出来事は、永遠に私の心に残るだろう。
あの出来事が無ければ、私は変わらなかっただろう。
あの出来事は、まさに運命だった。
私はとある会社のビルにいた。
エレベーターに乗っていた。
私はこのところ何もうまくいかない。
仕事も人間関係も恋愛も・・・。
全てが私の敵だった。
今日は取引先の会社に挨拶に行っていた。
ドアが閉まる瞬間。
ーがっー
ぬっとドアを開く手が現れた。
あの時どれほど驚いたか知れない。
「あの・・・下ですよね?」
話し掛けてきたのはこの会社の人間らしき人物だった。
警察みたいな服を着たなかなかのイケメンだった。
「はぁ・・・どうぞ・・・」
私はすみっこに移動した。
私はイケメンの胸のバッジを見て、名前を確認した。
「木村 清太」
似合ってる。
イケメン&私を乗せたエレベーターは閉まった。
どのくらい経ったのだろう。
エレベーターは開かない。
9階が以上に長い。
9階だけ広いんだ、絶対。
「あの・・・これ壊れてませんか?」
木村さんが話しかけてきた。
「・・・・・へ?」
「9階は・・・こんなに長くないです・・・」
木村さんは非常用ボタンを押した。
反応ナシ。
ということは・・・。
「誰かが来てくれますよ」
別に普通だった。
「いえ・・・今は6時なんですよ」
・・・・・・・・・・・・・え?
「多分もう皆帰っちゃったと思います・・・」
「でも、残業とか・・・?」
「いえ・・・改装工事があるので、残業はナシです」
は?
何で改装工事で残業ナシ?
「朝9時から始める予定です」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
重たい沈黙が流れた。
閉じ込められた。
「け、警備員の人は?」
大きい会社だからいるはず。
「・・・僕が警備員です」
「!!!!!!!」
ありえない。
私は不運過ぎる。
「どうしますか?」
「・・・・携帯持ってますか?」
私は今携帯を家に忘れてしまってもってない。
「1階に忘れました」
「・・・・・・・・・」
最悪だ。
私と木村さんは落ち着くため座った。
「僕は木村です。
貴方は?」
「白石です」
「それでは白石さん・・・。
どうしますか?」
「どうしようもありません」
「・・・」
「気長に待ちましょう」
私は時間が経つにつれ、胸が苦しくなっていった。
酸素が薄くなってきたからだ。
木村さんも同じようだった。
時計ではまだ3時だった。
全然眠れない。
「白石さん」
「はい?」
「ここから出たら、一緒にアメリカに行きませんか?」
「?」
「僕の連れならこの状況に、叫んで酸素を減らすと思います。
ですが、貴方は違う。
冷静で、落ち着いていて・・・。
僕は貴方に惹かれてしまった」
「それは・・・」
「2人だけで、遠くに行きませんか?」
「・・・そうですね。
彼女さんが怒るのでは?」
「彼女はいません。
最近別れました」
「そうですか・・・。
少し休みましょう」
「そうでうね。
僕も疲れました」
翌日、私と木村さんはエレベーターで倒れているところを救出された。
その後、約束通りアメリカに旅行に行った。
木村さんと。
エレベーターの出来事のおかげで、少し前に進んだ気がする。
あくまで気のせいだが。
その後、私は彼と結婚した。