第4話
あれからは学校のやっている時間ではなく、放課後だけど高校生の帰宅ラッシュには被らない時間帯にあそこへ行くようにしている。べつに、美鈴に会いたいわけじゃな…い。ちなみに、うちの学校はこっちの方向にはないので心配してくれなくて大丈夫だ。そもそも時間帯に関わらず、学校に近寄るわけがない。
今日も今日とて、てくてく河川敷へ向かう。
「ヤッホー。」
猫と戯れる美少女がこちらに手をふる。
美鈴に会うのはあのスーパーで遭遇した日以来だ。そう言うとしばらく会ってないみたいだが、4日ぶりだ。
「やっほー。」
勘違いしないでほしいのだが、ヤッホーと言われたからそのまま返してしまっただけで、別に自分からやっほーなんて言うことは無い。断じて無い。
「良かったー、会えて。また避けられたらどうしようかと思ったよー。」
バレてたのか。
「未来ち、今日こそ!」
「未来ち?今日こそ?」
「聞かせてもらうからね、未来ちのこと。」
「未来ちっていうのは?」
「かわいいし短いし良いでしょ?」
まあいいか。
「ホラホラ!話せやオラぁ!」
「そう言われると言いづらい。」
「もう、大丈夫だって!私、ちゃんと話聞く子でしょ?」
「そうなんだけど…。」
「ミーコと遊んでるからいつでもいいよ。」
「…あの、自分、学校、行ってなくて。」
「うん。」
「あれ、怒られない?」
「別に怒んないよ。私だって行きたくないもん、学校。それに元気に毎日学校通ってます!って言われたほうがビックリするかも笑。」
「なにそれ。」
「で、なんでなんで?なんで行ってないの??」
美鈴は目を輝かせて尋ねてくる。
「そんな明るく聞くことかよ…。特にこれといった理由は無いけど。まあ、強いて言えば…体育祭が嫌だったってところかな。」
「わかる!ちょーわかる!私も体育祭ダイキライ!」
「そうは見えないけど。」
「小学校のときとかは好きだったよ、運動会。足も早いほうだったし、踊るのも楽しかったしね。でも今!高校生のはサイアクよ。みんなでクラ T 着て?それはまあいいよ?パジャマにピッタリだからね。かわいそうなのはクラスギブスの子たち。で、問題は謎のケバケバグッズ達よ。好きな人が作ってればそれでいいじゃない!私に強要はしないでくれ!」
「け、ケバケバグッズ?」
「そう!ケバケバグッズ!ケバケバメガホンに、ケバケバサングラス、ケバケバのぼり!まだまだあるよ!」
「それは嫌だ。」
「でしょ〜?」
「同じ空間にも居たくない。」
(注 小学校の頃から運動会大嫌いな不登校陰キャの意見です。当てにしないように。)
「で、未来ちの話を聞きたかったんだよ。また私ったらペラペラと。」
「まー、めんどくさくて全然学校行ってない、それだけの話よ。」
「人生楽しぃ?」
「楽しくないね。」
「即答かい。」
「どうやって生きてったらいいのかわかんないよ。」
「それは私もだよ。あ、未来ち何年?」
「2年。」
「一緒。あ、高校生だよね?」
「流石にな。」
「そろそろ進路希望調査も頻度が増えてきて、私はまあ適当に大学行くと思うけどなぁ。大学にも色々あるし悩みちゅー。」
「こっちもなんか届いてたな、進路希望調査…。」
「未来ちはどうすんの?」
「なんも決めてねえよ。」
「だよねー。」
「だよねーとはなんだ。」
「どうどう。なんか好きなこととかないの?」
「VTuberとか…。」
「終わりだね。」
「決めつけんなよ。でも終わりかもな…。美鈴はどうなん?」
「えっ、美鈴?呼び捨てしてくれたの!?嬉しい〜!」
「いちいち会話止まるでしょ。」
「だって嬉しくって!え?なんでなんで?なんで急に??」
「別になんとなく。」
「心を許してくれたんだね!嬉しいよ!」
「で、どうなの?」
「ん〜、私はここの大学いいなーみたいなのはなんとなくあるんだけど、なにを勉強するかがね。国語とかは結構好きなんだけど。本好きだし。でも基本的に勉強って好きじゃないのよね。まあ大学行ってまた4年かけて何するか考えるかな。」
「そっか。大学なあ。行けるのかな。無理だろうな。」
「目標ができれば案外やれるかもよ?」
「目標なあ。うーん。」
しばらく黙り込んでいるとチャイムが鳴ったので、良い子の我々は家に帰った。
家に帰ってすぐさま自分の部屋のベッドへ飛び込んだ。
美鈴と話したおかげで将来について考え始められた。わかってはいたけど、やっぱりもっと人と関わったほうが良いんだろうな。
自分にはやりたいことも何もない。ただアニメや動画をみてなんとなく日々を過ごしているだけだ。
唯一叶えたいことがあるとすれば、もう少しだけまともな人間でありたかったといったところか。それはどうにもできない。
今日は疲れた、このまま寝てしまおう。
流石に早い時間に寝すぎたのか、明け方4時に目が覚めた。昼夜逆転しているときならまだ寝る前の時間だ。
シャワーを浴びて着替えて、外に出てみることにした。




