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閑さや 土手に染み入る 割れせんべえ  作者:


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第8話

ああ、おはよう。一昨日はオールをしたので、昨日は1日家で寝ていた。見事に昼夜逆転して、今はお昼の12時半だ。


久しぶりに一人で土手、行くか。

最近は主に美鈴と一緒だったので、一人であそこに行くのは久しぶりだと思う。

今日は家に人が居ないのでお昼ご飯は自力で用意しなければならないのだが、まだ食べていない朝ごはんが残っているので、タッパーに詰めて土手に持っていく。


外は雲ひとつない青空で、少し熱いくらいだった。また夏が始まっていくのだろう。


今回は1人で楽しむつもりだったのだが、いつものあそこには先客がいた。

この前の社会人らしき大人だ。


声をかけようか少し、いや短い時間でものすごい量の思考を巡らせていたが、足音に気がついたのか、声をかける前にこの大人は振り向いた。

「未来ちゃん…!」

「ど、どうも。」

なぜだろう、どうしてこんなにタイミングよく人がいるものなのか。というか今日は木曜日、仕事ではないのだろうか。そういえばこの人は土日休みではないのだった。

「仕事は?」

一応聞いてみる。

「今お昼休みなんだ。実は、未来ちゃんに会えるかなと思って、あれからちょくちょくここに来てたの。」

そういうことか。てか、わざわざそんなことするのか…。

「だから良かった、今日会えて!」

「そうですか。」

「ふふ。ねえ、未来ちゃんは普段何をするの?」

「だから、家でVTuberの配信みたり、ゲームとか。」

「それだけ?」

「それだけ。」

「じゃあ、好きな食べ物は?」

「えと…、じゃあ、たらこスパゲティ。」

「私もスパゲッティのなかで一番好き。美味しいよね。」

「じゃあ、好きな映画は?」

映画なんてほぼみないけど。

「強いていえば、千と千尋?」

「いいねいいね、じゃあ…」

止まらない。

「す、ストップ。聞きすぎ。」

「ごめんごめん、つい。じゃあ次で最後にするね。未来ちゃんは、どんなものが好き?」

「抽象的すぎる。」

「何でもいいんだよ。」

「それが困る。」

「何でもいい、全部のなかから、未来ちゃんが何を選ぶのか気になるんだ。…思いつかない?」

「思いつかない。」

「じゃあ、次までの宿題!どうせ学校の宿題もやらないんでしょ?」

やっぱり失礼なやつだ。

「わかったよ。」

「やった。じゃあ、またね。」

「ん。」


お昼休みが終わる時間なのか、まだ名前も知らない失礼な大人は去っていった。

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