第2章 誕生
俺は気づけば天を仰いでいた。ここはどこなのだろう俺の上には青い空に
大きな木があり心地よい風が肌をなでる。
周囲に目を凝らすと自分自身の小さな手とゆりかごのようなものに覆われている。
するとこちらをゆっくりと覗いてくる一人の女性の姿があった。
「お父さーん目を覚ましたよー」なんとも優しい声色で呼び掛けている。
「ほんとか」それに呼応するように少し野太い声の男性が近づいてくる。
二人は俺の顔をのぞいてくる。
そして女性に抱きかかえられる。するとそこにはあたり一面に小麦畑が広がり、そこには黄金色の世界があった。
それから15年の月日がたった。そしてこの世界について様々調べた。俺の名前はステラリス=イルミナス。黒髪、赤目の少し幼さが残る容姿で家柄は何ら変わりのない平民である。
そして今俺がいる町はユグレイヤという名前だ。さらにこの世界は前世の日本みたいに四季が存在し、春には桜、夏には海、秋には紅葉、冬には雪が降る。今は桜が咲く時期でとても美しい景色が広がっている。
それから俺が一番初めに見た人物が俺の両親であった。名前は父がメグレス=イルミナス、母がミザール=イルミナスである。
この世界が地球と一番異なる点がやはり、剣や魔法などが当たり前に存在している点だ。この世界の住人は大なり小なりはあれど、全員が魔力というものを保有しており、それを行使し魔法を使う。
それはもちろん俺も例外ではない。だが俺は基礎的な魔術しか扱えない、だれかの特別になりたくて死ぬほど訓練し、勉強をした。
それでも思うような結果を得ることはできなかった。
だがそんな俺も今年で成人を迎える。
成人しここで働きそして過ごすことも考えたが、そうすると前世と何ら変わりない生活を送ることになる。
それでは夢は叶わないし、なにもつまらない。だから俺は冒険者として世界を見て回り、その中で見つけることにした。
冒険者になるうえで両親を説得するのに苦労したが、月に一度手紙を送ることで話に折り合いをつけた。
そして旅に出る日が今日なのである。
「忘れ物はないか?」父が気をかけてくれる。
「ほんとに行くの?」
母が俺に心配そうに俺に声をかける。
「うん!15年お世話になりました!これから冒険者として生きていくね。たまに帰ってくると思うからその時はまた手紙で伝えるね!」
別れの言葉を告げ、僕の新しい人生の幕開けがはじまったのである