読者の皆さんが感想を伝えに来ます♪
感想が完走すると乾燥します。
大人気小説サイト『作家になるべえ?』を利用している蠣退三と四出格乃の作家メイトは、文学愛好会に所属している中学二年生。
二人が立ち上げた愛好会だが、あまりにも地味な活動のせいで部員はなかなか集まらない。
このままでは文学愛好会は近いうちに廃部してしまう為、サイトを通じて活動を世間に広めようという事になったのだ。
「今回の作品、読破時間一時間!
しかもSF(爽やかなファンタジー)だ!」
「こっちも今、完成したよ!
二分後に意味が分かるミステリー!
僅かな時間で深い謎が隠されてる本格謎解きミステリー!」
「良い反応あると良いね」
「評価は嬉しいけど、何より欲しいのは感想だよな!
的を得た文だと、励みになる」
サイトの利用者からの手応えを待ち望み、二人はまた新たな作品を作成し始めた。
作品を執筆している最中に、サイトから『通知』が届いた。
「「ん?」」
『読者の皆さんが感想を伝えに来ます♪』
退三と格乃の作品に感想が来るとの通知が届いたのだ。
「感想⁉
始めてだよ!」
「頑張った成果が現れたね!」
『最初の感想は山梨県にお住まいのペンネーム、忘れられた茶匙さんからです。
間もなくお届けに上がります』
「来るよ、来るよ」
「楽しみだな、どんな感想くれるのかな?」
その時、部室の外から声がした。
「こにちは、山梨県から来まちた。
忘れられた茶匙れす」
何やら舌足らずな幼い声が聞こえる。
「え?
忘れられた茶匙って?」
「サイトに書かれてる山梨県からの……」
退三と格乃が部室のドアを開くと、そこには二歳くらいの男の子がいた。
「はじめまちて、お二人の作品についての感想をいいましゅ」
忘れられた茶匙は、山梨県から足を運んできたらしい。
「「ええええ⁉」」
直接感想を届けるのが、『作家になるべえ?』のスタイルらしい。
『次なる感想者はラノベ星にお住まいのペンネーム、ウコリホンリイさんからです。
光の速さで到達します』
直接お会いして、感想を伝えたい所存です。