表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ウタほたるのカケラ〈US〉シリーズ

三日月と三日坊主(ウタほたるのカケラ〈US〉出張版【サイズS】第1iS片)

作者: 歌川 詩季

 長続きしません。


※noteにも転載しております。

——ほらまた三日坊主だ!


 からかわれた僕だけど、口にこそしないものの、いくらか反論はあった。

 これでも、五日続いたのだ。

 だが、そんな些細な違いを主張したところで、たいした名誉回復もできないだろう。

 僕はやるせない気持ちのまま、物想いに(ふけ)るように夕焼けを眺め、やがて夜になってもそのまま星空をみつめていた。

 満天とはいかない夜空に、雲が切れると。そこから顔を出したのは、ぴんと(とが)った三日月——いや、正確には三日めの月かはどうかはわからないが。そんな形をした月が、夜空に(やいば)を立てるように浮かんでいた。


 僕が三日で投げ出そうが、五日続こうが、「三日坊主」と呼ばれてしまうように。

 おまえも、二日めの月だろうが、四日めの月だろうが、「三日月」と呼ばれちまうんだな。

 そんなことを愚痴ってもしょうがないのはわかってはいるのだが、同じような想いを(いだ)いている同志に逢えたようで、なんとなく気が楽になる。

 けれど、あの「三日月」も四、五日——もしかすると二、三日後には、ぷっくりと太って「半月」と呼ばれるようになるはず。

 きっちり半分ではなくとも、だいたい半分でだ。

 僕もせめて一週間もてば、「三日坊主」と呼ばれないですんだのだろうか。こう思うと、あの月に負けてはやれないな、なんて。こんな僕でも、やる気を新たにできる。

 こんな気持ちのときは、やっぱり夜空を見あげるものだ。

 僕は同志である「三日月」に、つぎこそは「三日坊主」にならないことを誓ったのだった。



 それから、数日もたったか。

 あしたから、また新しく始めようと心に決めた僕は。そろそろ半月になろうかという月を、夜空にさがした。

「三日坊主」にらならないための誓いをたしかめるためだ。

 だがおかしい。

 今夜は雲も申し訳ていどの、なかなかの星空。ところが、そのどこにも月がみつからないのだ。

 そして、僕はひとつのことに思いあたる——もしかして!


 いや、それ以外に考えられまい。

 あのときの月は「三日月」だが、これから満ちていく三、四日めの月ではなく。欠けきろうとしている、二十七日めあたりの月だったのだ。


 僕は愕然(がくぜん)とし、そして絶望した!

 二十七日めあたりのあの月まで「三日月」と呼ばれてしまうのなら、僕も一ヶ月近く頑張ったって、おなじように「三日坊主」と呼ばれてしまうのか?!


 今回こそはと意気込みながらも、今回は始めるまえから心を折られてしまった僕。


 またもや「三日坊主」に終わることは、予想に(かた)くない。

 けど、ふと再開したりもする(笑)



挿絵(By みてみん)

制作:歌川 詩季


挿絵(By みてみん)

制作:冬野ほたる先生

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど、視点人物が見ていたのは三日月ではなくて二十六夜月だったのですか。 三日坊主と三日月を関連付けて己を鼓舞しようというのは、視点人物は実に風流な視点を御持ちですね。 継続する事を気負…
[一言] なんと、三日月ではなかったとは……(´・ω・`) 三日坊主、私もついついなりがちです。 マンションで階段使う! とか。 ストレッチする! とか。 ウォーキングする! とか。 強い意志がほしい…
[気になる点] この場でいうUSとは一体何の略語なのか不明 私知る限りはユニバーサル スタジオとかユナイテッド ステイツ [一言] 三日坊主だと長続きしないんですよね。 それが5日続けば少しは伸びたと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ