表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

花火よりも美しい……

作者: 猫兎彩愛

「綺麗な花火……」


 彼女が目を細めて嬉しそうに言う。


「来年もまた、来ような?」


 彼女の肩を抱き寄せ、見つめてそう言うと、彼女は愛おしそうに、自分のお腹をさすって言う。


「うんっ! 今度は、この子も一緒にね!」


「ああ。そう、だな。今度は一緒に来れると良いな」


 彼女のお腹には俺達の子がいる。否、いたのだ。けれど流れてしまった。彼女は……妻は、まだ受け止めきれずにいる。


 彼女を強く抱き締める。


(ゆう)くん、どうしたの? 苦しいよ」


「ああ。ごめん、何でもないよ」


 彼女を抱き締めていた腕を緩める。


「嘘! だって、悠くん、泣いてるよ?」


 彼女に言われて気付いた。知らない内に涙が出ていたみたいだ。涙が頬を伝う。


心愛(みあ)だって泣いているじゃないか」


 その後は、お互いに何も話せなくなっていた。暫くの沈黙の後、彼女が俺の袖を引っ張る。


「困らせてごめんね、本当は分かっているの。私のお腹(ここ)にはもう、いないって事を」


「そう、か」


「うん。けど、いつまでもこうしてられないよね。立ち直らなきゃ……」


 真っ直ぐな瞳で前を見る彼女。その姿がとても美しく寂しそうで、いてもたってもいられず、もう一度彼女を抱き寄せ、キスをする。とても深く深くどこまでも……




猫兎彩愛(ねこうさあやめ)です☆

皆様ご覧いただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  悲しいけど優しいお話だと思いました。女性の「ホントは分かっている」ところとか、すごく好みです。それに対する男性の行動もです。  この二人が今後どうなるかは分かりませんが、個人的には幸せに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ