表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛と正義の魔王様  作者: たじま
5/17

5、ちょっと本気の魔王様 ~悪は潰す。それだけだ。 カル、かっこいい! さすがカル様!~



「おはようございます、ミランダ様」

「母上、おはようございます」


「皆さん、おはよう。カル、クレアさん、ゆっくりお休みできましたか?」


「はい」

「おかげさまで」


「それは良かった。では朝ご飯にしましょうか」


そう言って、ミランダは嬉しそうに食卓へとつくのだった。




テーブルの上には見た目も考慮された朝食が整然と並んでいた。

中央には薔薇が活けられ、その周りの大皿にはクロワッサン。

そして各々の皿にはスクランブルエッグとベーコン、それにボイルしたじゃがいもが添えられている。

ミニトマトとパプリカ、ブロッコリーとレタスの色鮮やかなサラダが目を引き、ヨーグルトには真っ赤な木苺のジャムがかかっていた。

ドリンクも牛乳とアップルジュースの他に食後のコーヒー、紅茶も用意されている。

育ち盛りの少女が五人もいるだけに、量と栄養のバランスを兼ね備えた立派な朝食だった。


ただ気になるのは、それらを給仕するメイドがいないことだった。

メイドがいない以上、これらの食事も少女達が作ったのだろう。

そして、ミランダの身の回りの世話をするのも。

問いただそうかと思ってミランダの顔をちらりと見る。

にこりと笑顔が返ってきた。


こんな話は無粋だな。


そう思って思いとどまるカルだった。



「ここは良い所ですね。気に入りました」

「ホント、お庭の薔薇園が特に綺麗で」

「夫が失くなってから始めた事ですけど、最近は身体も思うように動かなくて……やめようかとも思ったのですけど、今はリンベルやバルビエッタ達がお世話をしてくれているんですよ。あの娘達は、本当にいい娘です。前のメイドが辞めてしまってからというもの、学校を代わる代わる休んでまで私のお世話をしてくれて……ただ、私にはそれが心苦しくて……」



<なるほど。それでバルビエッタやエレノアは学園で見かけた事がなかったのか……>



「この娘達の行く末だけが気がかりなのですけど……カル、この娘達のこと、お願いできますか?」

「お任せください、母上。血は繋がってませんが妹のようなものです。必ず身の立つよう後見します」

「ふふ……同い年なのに、なぜかあなたが言うと頼もしくきこえますね」

「竜の叡知もありますので、ご安心ください」

「ふふふ……そう言えば、そうでしたね」







食後。


「少し部屋で休ませていただきますね。カルとクレアさんは何時までいてくださるの?」

「夕方前にはお暇します」

「では、お昼はまた一緒に過ごせますね。楽しみにしていますわ」



そう言って、ミランダは食堂を後にした。

笑顔を絶やさずにいるが、やはり身体の具合が悪いのだろう。


その後、カルとクレアはアルバータに案内されるままリビングで食後の紅茶をいただいていた。

片付けを始めたリンベル達の邪魔をしても悪いと、好意に甘えたのだ。

そのリビングで、



にまにま



カルが紅茶片手に、ニヤニヤ笑いながらクレアを見ていた。



「あの……カル様……?」

「なんだ?」

「そんなに、ジロジロ見ないでください」



クレアが紅茶のカップを持ち上げたまま、上目遣いで口を尖らせる。



「気にするな。俺は俺の可愛いクレアを愛でてるだけだ」

「むぅ!?」

「ふふっ……ふふふふふ…………」


「もう、笑わないでください! しかたないじゃないですか、カル様があんな状態で、私を放り出すのが悪いんです!」


「別にお前を笑ってた訳じゃない。ただ、ちょっと思いついたことがあってな……」

「思いついたこと……?」

「今度はリンと二人でクレアを苛めるのもありだなと……」


「カル様!?」


「冗談だ。しかし、リンとのパスは思ったより太かった。どれだけ吸われたんだ?」

「それはご自分の胸に手を当ててよくお考えください。ホント……あんな格好までさせられて……なんでリンは、あんな平然としていられるのかしら……」

「色恋沙汰が目的じゃなかったからだろう」

「色恋沙汰……」



その時、クレアの脳裏をリンの言葉が過った。



『クレアが羨ましい……』



あの時、ポツリと呟いたリンの一言。

あれは魔力のことなのか? それとも……。



その答えを考え始めた時、バルビエッタ達がリビングへと入ってきた。片付けが終わったのだろう。

もちろんリンも一緒だ。



「お待たせしました」


「母上は?」

「ちょっと気だるいだけで、少し横になれば大丈夫と仰ってました。ゆっくりとしていってくださいねと、言付かっております」

「そうか。さて……全員揃った事だし……全部話して貰おうか?」


「話す? なにを……ですか?」


「なぜお前達はそこまで力を求める? 昨日の奴らは何者だ?なぜこの屋敷にはメイドがいない?」


「そ、それは……」



バルビエッタが言い淀む。

リンベル達も同様だ。

無関係なカルまで巻き込んでいいものか、判断に悩んでいるのだ。

何せカルの性格上、知ったら必ず助力してくれる。

その確信があったからだ。

だから顔を見合わせたまま、誰一人として口を開けないでいたのだ。

そして、それの分からないカルでもない。

なので、きっぱりと言ってやった。


「俺は義理とはいえ、母上の子だ。遠慮はいらん、話せ」


と。







「五人の代表騎士による決闘? 三大貴族の一つ、バルバロッサ家とこの家を掛けて?」

「はい」

「ふむ……その決闘とやらはいつだ?」

「今度の土曜日です」

「一週間もないのか。この事を母上は?」

「もちろん存じております。ただミランダ様は、危ない事はする事ないと……」

「だが、お前達は戦わずして明け渡すのは納得がいかない、そういう事だな」

「はい。ミリンダ様が大好きだったこのお屋敷で、安らかに余生を送って頂きたいと思っています」

「それで、分かりやすく力を欲っしたのか……」

「バルバロッサ家には、王国騎士団キングタム・ナイツのジェフリー・キスリングを筆頭に、遣り手が揃ってますので……」


「カル様……」


「整理しよう。

覚えのない借金と誓約書により、この家を明け渡す事になった。

そんな筈はないと役所に掛け合っても誓約書は本物だと言われた。そうだな?」

「はい」

「で、騒ぎ立てたら貴族間の争い時の通例に則り、決闘にて決着をつける事になったと。しかも、向こう側が譲歩する形で」

「はい」

「こちらが勝てば誓約書は破棄、負ければ土地ごと明け渡す……そういう事だな?」

「そうです」

「ふむ……俺に言わせれば、まんまと相手の口車に乗ったようなものだな。誓約書は偽物だろう。真偽を確かめた役所の奴には十中八九、バルバロッサ家の息がかかってるな」

「では……」

「誓約書を問題にされる前に、家と家の決闘に持ち込んで有耶無耶にしたんだ。今から決闘を取り止める事は?」

「貴族会に一度受理された以上、それはできません」

「なるほど。それでお前達が矢面に立つ事になった訳か」

「グリューネ家の為に力添えしてくれる騎士に心当たりがありませんでしたので……」

「だが、母上は危ない事はするなという」

「はい」

「おまけに母上の世話があり、また身体も心配で決闘に身が入らん。そういう訳だな」

「そうです」



「一つづつ片付けよう。まずはお前達が心置きなく戦えるようにメイドを雇え。金がないなら俺が出す」

「もちろん雇おうとしました。ですがバルバロッサ家が裏で手を回しているらしく、応募があっても翌日にはキャンセルされてしまう始末で……」

「ちっ、そういうことか。細かいところまで気配りのできる奴め。……しかし、そうなると厄介だな。俺にはこの街に知り合いがいない。アラン……では話がでかくなるな。となると、ダグラス先輩かウォルター先輩にでも頼んでみるか…………」



と、そこで言葉を切ったカルは虚空を睨みながら黙り込んでしまった。

それは考えに耽るというより、じっと誰かの言葉に耳を傾けている。そんな表情だった。



「あの……どうしたんですか、カル様?」

「ぜひ、メイドに雇われたいそうだ」

「え? 誰が?」

「そこにいる精霊だ」


「「へ……?」」


「おい!俺は別に構わんが、契約を結び、肉体を得るという事は隷属だ。元の自由な身体には戻れんぞ? それでもいいのか?」



カルが再び虚空を睨む。

精霊からの返事を聞いているのだろう。やがて、



「いいそうだ。なら雇うか」



と、みんなに視線を戻して同意を求めてきた。

正直、いいそうだ……とか言われても、精霊の声など聞こえないクレア達にしてみたらカルの一人芝居にしか見えない。

そんなクレア達をよそにカルがスッと立ち上がって右手を前に翳した。




「聞け!

我が名はカル・マ・シリング。

契約を求めし者よ、汝の願いをここに、我は契りを結ぶ者也!」



その瞬間、部屋の中が眩い光に満たされた。

儀式魔法が発動したのだ。



「契約を求めし者よ、汝の魂をここに、我は与える者也。

我ある限り、その身は朽ちず、我ある限り、その願いは続く。

我とともに生き、我とともに土に返らん。

その身を捧げよ。

されば今ここに、主従の契約を結ばん!!」



直後、床に魔方陣が広がり、瞬く間に輝きながら光の柱となった。

召還術式が発動したのだ。

そしてその光が収まると、そこにはメイド服の女性が立っていた。

スラリとした高い身長に、若葉のような淡い緑をした短い髪の女性が。

その女性が、スッと頭を垂れた。



「願いを聞き届けていただき、感謝いたします。シリング様」


「この人が……精霊?」

「シルフィードだ」

「じゃあ、風の精霊?」



クレアだけでなく、リンベルやバルビエッタ、マルグレーテまでもが呆気にとられる。

上級召還など初めて目にしたのだ。



「皆様、はじめましてになりますね。日頃よりミランダ様のお世話をしていただき、深く感謝いたします。私は古くからミランダ様をお慕いしておりましたシルフィードです」


「今さら念を押すのもなんだが、本当に良かったのか?」

「はい。此度の一件、何もできずに歯がゆく思っておりましたので」

「あの、お名前は?」

「名前……というのはありません。今まで必要ありませんでしたので」

「ならカル様がつけなきゃですね」

「俺が? ふむ、ならシルフィー……ではストレート過ぎか。じゃあ、フィールだな」

「フィール……?」

「ふふ、シルフィードのフィールさんですね」

「安直だったか?」

「いいえ、気に入りました。ありがとうございます、シリング様」


「カルでいい。お前は俺の召使サーヴァントいだ」

「はい。では今後はそのように、カル様」



そう言ってフィールは深々と頭を下げるのだった。





「さて、メイドの件はこれで片付いた。後の根回しは俺がやるとして……とりあえず、リン。お前の力を見せて貰おうか」


「ふふん、望むところ」



カルとリンベルがニヤリと笑った。







「リン、まずお前にプレゼントをやる」

「プレゼント? おぉーーーッ!?」



首を傾げたリンベルが、直後に歓声を上げた。

カルがパチン!と指を鳴らすと、胸と腰、そして両手両足に真っ赤な鎧が装着されたのだ。



「軽装だが、対魔力障壁を備えた鎧とマントだ。物理衝撃を緩和するし、大概の魔法も弾く」

「こ、これをくれるの!?」

「普段着で戦う訳にいかないだろう? それに俺と戦うなら最低限それくらいは必要だ。さぁ、遠慮はいらんから全力で来い」


「全力? 出して、いいの?」


「俺の魔力障壁はその鎧の比じゃないから安心しろ。それに、剣の腕も俺のが上だ」


「む! それは聞き捨てならない。なら全力で行く」


「来い」



カルの横に黒い渦が発生し、剣の柄が現れた。

それを引き抜く。

刀身全体が黒塗りの刃だ。

それをだらんと無造作に構える。

それを見てリンベルが大きく息を吸った。直後、



ドンッ!!

「「えっ…!?」」



バルビエッタ達が揃って目を見張った。

リンベルが剣を抜き、くるっと回して脇に構えた瞬間、その姿を見失ったのだ。



ガキンッ!!

「「なッ!?」」



剣撃を受ける音が鳴り響く。

見ればリンベルは既にカルと剣を交えていた。

フェイントもなにもない。

ただ一直線にカルへと進んだのに、全く見えなかった。

その事実に全員が愕然とした。



「これを受けるんだ……ムカつく」

「これが本気の一撃か?」

「まさ……か!!」



リンベルが両手に魔力を込め、一気に放出した。

カルが後方に吹き飛ぶ。

足の裏に魔力を込め、一気に距離を詰める基本技、それを応用してカルに叩き付けたのだ。だが、



「甘いな」


カルは体勢を崩さない。

それどころか、何事もなかったように着地しながら、スッと剣先を上げた。



「ーーーッ!?」


追撃しようとしたリンベルが咄嗟に剣を一閃させる。

すると脇に立つ木の幹に、バガッ!と爪で引っ掻いたような傷がついた。

真空の刃が飛んできたのだ。



「ほう、よく気づいたな。Sランクは伊達ではないな」

「カルこそ、ホントに魔法使い?」


「まあ……」

「ーーーッ!?」


「……な」

「ふっ!!」


リンベルが振り向き様、渾身の力でもって剣を振り上げた。

ガキンッ!!と再び剣撃が響き、カルの黒塗りの刃を弾き返す。

カルが空間転移して後ろに回り込んだのだ。

その後は両者、足を止めての斬りあいになった。

リンベルが斬り下げ、斬り上げ、突いてくる。

カルがそれを無造作に往なす、往なす、往なす。



「反応速度もいい。技のキレもいい。魔力の乗ったいい一撃だ。オレのフェイントをしっかり見抜くし、力負けもしていない。惜しむらくは力を解放しきれてないところか?」


「冷静にレビューするな!! 」



リンベルが吠えながら剣を横凪ぎに払った。

カルが咄嗟にバックステップし障壁を張る。

刀身に炎を纏わせての広範囲攻撃だったのだ。



「それだよ、リン」

「なにが!?」

「なに上品に戦ってるんだ。もっと叫べ。心の内をぶち撒けろ。お前はそれで力を発揮するタイプだ」



「うにゃーーーーーーッ! バング・フレアァーーーーーーッ!」


「足りん!」

「にゃーーーーーーッ!?」


リンベルがそんなの有りか!?といった顔で吠える。

魔法が発動し爆発する瞬間、カルが左手の甲でペンッ!と無造作に払ったのだ。



「バング! バング! バング!!」



カルの目の前で続けざまに爆発が起こる。

朝方やった、例の大爆発だ。

それを見たバルビエッタ達が、あんぐりと口を開けて呆然とする。

自分達の知るリンベルとは明らかに魔法の威力が違った。

そして、それを受けても顔色一つ変えず、平然としているカル。

見えない障壁が、あの攻撃を完璧に防いでいるのだ。

自分達とはあまりにレベルの違い過ぎる戦い。

なのに、



「こんな小技では俺には傷一つつかんぞ。こういうのを目眩ましにして斬り掛かるか、大魔法をぶつけるんだ」


「「小技?」」

「小技言うな!! バングッ!!」



これでは埒があかないと見たリンベルが、特大のバングを放って地を蹴る。そして、


「ヘルフレイム・バァスターーーーーーッ!!!」



先ほどまでとは桁の違う魔力を刀身に纏わせて真っ向から斬り下ろす。

何だかんだで、カルの助言を素直に聞くリンベルだった。しかし、



バキンッ!!

「へ……?」



突然魔法がキャンセルされたのを見て、リンベルが立ち止まった。

手元を見れば、刀身が粉々に砕け散っている。

リンベルの膨大な魔力に、剣の方が耐えられなかったのだ。



「折れちゃった……」

リンベルがちょこんと首を傾げる。

どうしよっか?

そんな顔だ。



「しかたない、今日はここまでだな」

「はぁ……結局、カルの本気は見れなかった。カル、強すぎ」

「当たり前だ。これでも、元魔王だぞ」

「ふふっ……そういえばそうだった。それより、カル」

「なんだ?」

「全力、キモチ良かった。サイコー」

「ふっ……」



カルとリンベルが楽しそうにくくっと笑いあう。

それを見て、クレアが我がことのように喜ぶ。

だが収まりがつかないのはバルビエッタ達だった。



「あ、あの……カル様?」


「うん?」

「なんでリンベルが、こんなに強く?」

「あぁ、それはな……」


「さっき、カルとパス契約したから」←ピース!


「カル様とパス契約!?」


「これで毎月無料でカルの魔力が使い放題」←ダブルピース!


「言っておくが、こいつが俺の同意もなく勝手に繋げたんだぞ」

「勝手に……繋げた? そんなことが?」


「どうやったかは企業秘密」←ドヤ顔


「何が企業秘密だ。俺が術式を書き換えなければ、お前の魔剣士生命は終わってたんだぞ。もっと危機感を持て」

「結果オーライ。と言う訳で、敵は私が全員やっつける。みんな安心して」

「全員やっつけるって、勝負は勝ち抜き戦ではなく、五対五の団体戦ですよ?」


「え?……マジ?」

「ええ」


「…………」

「…………」

「……カル?」

「なんだ?」

「どうしよう……?」

「どうもこうも……それならバルビエッタ、お前達が頑張るしかないだろう」

「私達が、がんばる?」

「取り敢えず、今日はまだ時間がある。お前達がどれ程の腕か見てやるから、一人づつかかってこい」



その一言に、バルビエッタ達が喜色を浮かべた。







翌日の放課後。



「あん? なんだ、あの人集り……」



ダグラスがいつものように本営に顔を出すと、団員達が練兵場の入口に群がって何やら雑談していた。

よく見ればデルニックの姿まである。



「あ、ダグラス先輩、お疲れ様です」

「よう、デル。 何やってんだ?」

「カルが、ちょっと練兵場を貸してくれって……」

「練兵場を貸してくれ? なんだ、よく見りゃウォルターまで一緒じゃねぇか」

「特訓らしいですよ」

「特訓? てか、あの娘ら誰だ? 」

「リンベルの同居人らしいです」

「同居人? おっと!?」



「きゃあ!?」



デルとの話の途中でダグラスが地を蹴った。

ウォルターのタックルを食らい、アルバータが壁際までふっ飛んできたのだ。

それを受け止め、優しく支えてやる。



「大丈夫か、嬢ちゃん」

「あ、ありがとうございます……ヴェスカライズ先輩」

「気にすんな」


「すまなかった。少しやり過ぎたようだ」

「いえ、こちらが望んだ事ですのでお気遣いなく」

「とはいえ、息が上がってきたようだな。少し休憩しよう」

「……はい。ご指導、ありがとうございました」


「ウォルター先輩、アルバータ、タオルとドリンクをどうぞ」

「ありがとう、クレア」

「助かる」



クレアから受け取ったタオルでウォルターが汗を拭き、アルバータがドリンクで喉を潤す。

見れば二人とも汗だくだった。

それだけこの嬢ちゃんの腕が確かなのだろう。



「なんか、ずいぶんハードな特訓だな……」



そう呟きながらダグラスが練兵場の中央に視線を移す。

そこではまだ、カルと金髪ポニテの少女が戦っていた。





「エレノア、足が地に付いてないぞ。 魔力を放つにしても、腕を振り回すだけじゃ威力も落ちる」

「はい! 喜んで!!」



右に左に跳躍していたエレノアが、返事とともに剣を二閃させた。

二本の真空刃がカルを襲う。だが、



「ぬわんとッ!?」



足を活かして攻撃していたエレノアがサッと剣を構えた。

直後、ガキンッ!!と剣撃の音が響き、エレノアの動きが止まる。

カルが無造作に振り下ろした刃で真空刃を対消滅させ、同時に地を蹴り斬りかかってきたのだ。



「地に足が付いてないから次の動作にワンテンポ遅れる。だからこうやって間合いを詰められるんだ。男に比べて力がない分、お前はスピードが命なのだろう? こうなったらもう終わりだぞ?」


「ぬぬぬ、まだまだぁ!!」

「力むのもいいが、足元が留守だ」


「あいったぁ!?」



悲鳴とともにエレノアが後ろにひっくり返った。

カルが腕に力を込めて押しながら右足を引っ掛けたのだ。



「下がって反省してろ! 次、リン!」

「待ってました」

「と言っても、今日は剣術だけだ。俺も魔術は使わん」

「ふふん……なら絶対、本気を出させる」

「やってみせろ」


「参る!!」






「なぁ、ダグラス……カルって、確か魔術でSランクになったんだよな?」

「その筈だな……」

「あれ、どう見ても俺達以上じゃないか?」

「だよな……?」


「ダグラス先輩、俺……学園騎士団アカデミー・ナイツ辞めますね……」


「あれが異常なんだ! デル、気を確かに持て!!」



デルリックが落ち込むのも分かる。

リンベルは元々学園騎士団アカデミー・ナイツで腕は確かだ。

だがあれはなんだ?

どう見積もってもダグラスを優に超えていた。へたしたら、アランと互角に戦えるレベルだ。

そして、それを剣術で上回る魔術師っていったい……。



「リン、この辺にしよう」

「む! また勝ち逃げする気?」

「その剣、そろそろ折れるぞ」

「え? あ、ホントだ……」



カルに指摘されたリンベルが剣を空に翳して見る。

確かに亀裂が入っていた。



「えーと、お疲れさん。 終わりでいいんだよな?」


「はい。ダグラス先輩、練兵場を独占してすみませんでした。 ちょっと人目の無い所でやりたかったので」



クレアから受け取ったドリンクを一口飲んでカルが謝罪する。

喉が乾いてというより、口を潤す為に口に含んだ……そんな感じだった。

何せ、マルグレーテ、エレノア、リンと立て続けに相手をしたのに汗一つかいていない。



「いや、それは構わねぇんだけどよ……なんでリンベルちゃんがこんなに強くなってんだ?」


「昨日、カルとパス契約したから。これで毎月無料でカルの魔力が使い放題」←ピース!


「リン、そのキャッチコピー気にいったの?」

「うん」


「リンベルちゃん、魔力が使い放題って?」


「言葉通りの意味。どれだけ使っても魔力制限なしの無制限。24時間魔法を使いっぱなしでもオーケー」


「それ、ぜったい何かのパクりよね?」



「カルの魔力を使い放題……? あの、アランの倍近くある、カルの魔力を……?」



ダグラス、ウォルター、デルニックの三人がゴクリと唾を飲む。

道理で桁違いに強くなった訳だった。




「カル様、マンフレット先輩、ご指導ご鞭撻、ありがとうございました」

「「ありがとうございました!」」


「あ、ああ……俺もいい汗をかいた。また来るがいい」

「はい!」


「ゲートを開いて送り届けてやりたいとこだが、学園内での転移魔法の使用は禁止されてるんでな」

「列車で帰りますのでお構い無く。 では、お帰り、お待ちしております」



そう言ってバルビエッタ達は学園騎士団アカデミー・ナイツ本営を後にするのだった。








「ふーん……リンベルちゃん達、そんな事に巻き込まれてたのか……」

「それであの特訓って訳か」



ダグラスがクッキーに手を伸ばしながら呟くと、ウォルターが納得がいったという顔で紅茶を啜った。


アランも来て学園騎士団アカデミー・ナイツの会合 (と言っても、学内の行事や出来事の報告だが……)が終わるとお茶会になり、さっきの特訓の話になったのだった。



「それにしても、カルがあのミランダ様の息子とはな」

「義理ですけどね、ウォルター先輩」


「うん?って事はあれか?リンベルちゃんとカルは兄妹って事になんのか?」

「血は繋がってないから大丈夫」

「なにが大丈夫だ」

「そもそも、私は養子じゃないから何の問題もない」

「問題だらけだ」



「どうしたんだ、アラン? さっきから黙って」

「いや、ミランダ様の屋敷が質に入ってたってのがな。……それにラウダ・グリューネ伯爵が失くなったのは十五年以上も前だ。それが今になって何故?」

「返済期限が切れたらしい」

「この事は、父に?」

「母上曰く、手紙を認めたそうだが返事がないそうだ。」

「返事がない……?」

「まぁ、それならそれで勝つまでだ」

「勝ったら勝ったであそこは面倒だぞ。アラン、お前の力でなんとかなんねぇのか?」

「なんとかって言われてもな……」

「あのバルバロッサ家だ。仮に今回を凌いだら目をつけられる。そして目をつけられたら最後、徹底的にマークされていつか意趣返しされるのがオチだ。なぁ、ウォルター」

「そうだな。特に、学園に通ってる次男のアンドリューは性格が悪い。今回は仮に退けたとして、またぞろリンベル達に難癖をつけて絡んでくるだろうな」

「え? バルバロッサ家の息子さんが学園に通ってるんですか?」

「いるぜ。女と見たら見境いないのがな。気に入った女はあの手この手で必ず手に入れるような奴だ。クレアちゃんも気をつけろよ」

「ダグラス先輩、セクハラです」

「いや、どこがセクハラだよ!」

「顔がセクハラしてました」

「顔ってなんだ!?」

「まぁ、ダグラスのセクハラ顔はこの際置いといて」

「ウォルターまで何言ってんだ!?」

「貴族の間では結構有名な話だ。 リンベルだけでなく、さっきの娘達も気をつけた方がいいな」

「カル様……」

「問題ない。それならそれで、リン達に手出し出来ないよう、この学園から追い出すまでだ」


「追い出すって……どうする気なんだい、カル?」


「ふっ……安心しろ、アラン。俺がこの学園にいる限り、悪は完膚なきまでに叩きのめす。 お前は大船に乗った気で安心して見ていろ」

「そっちの心配じゃないんだけどな……」


「カル、かっこいい!」

「さすがカル様!」


「かっこいいって……なぁ、ウォルター、あれ、どう見ても悪人の顔だよな?」

「そうか? 俺には頼もしく見えるがな」

「おいおい、マジか? デル、お前さんはどう思うよ?」

「え? 下級貴族の僕に聞きますか?」

「はいはい、カルの味方ね」

「まぁ、あの顔はともかく……バルバロッサ家はこの国の歴史が産んだ癌みたいなもんだ。少し痛い目見るのは良い薬だろう。それにアランも傍観決め込むみたいだしな。俺達は気楽に見守ってよう」

「平民を貴族にけしかけて薬に使うってのはどうかと思うがな……まぁ、カルなら大丈夫か」







「これより作戦会議を始める」

「はい、カル様!!」




食事後、ミランダが部屋に下がるとカル達はリビングに集まった。

それはカルの言うように、決闘に向けた会議を始める為だった。

因みにこの日から決闘までの毎日、カルとクレアはミランダの屋敷で寝泊まりする事になった。

その方が色々と便利なのもあるが、何よりバルバロッサ家がリンベル達にちょっかいを出してくるかも知れない、その用心の為だった。




「まずはリンの武器だが、アランに頼んでみたが、今のお前の使用に耐えるような武器は手に入らなかった。そこでだ……」



言葉を切ったカルの目の前に突然黒い渦ができた。

カルがその中に手を突っ込む。

そして引き抜くと、その手には赤い剣が握られていた。

それが只の剣でない事は一目見ただけでも分かる。

まるで威圧されるような存在感に、その場の空気がピン!と張りつめたのだ。



「カル、それは?」

「魔剣だ」


「魔剣ッ!?」

その一言に、リンベルの目が爛々と輝いた。



「炎の魔剣、それも最強のドラゴン、炎帝を封印したな」


「それって……カル様の?」


「そうだ。 なぜ俺がこんなのを持っていたのか不明だったが、母上の話で納得がいった。きっと息が絶える直前、残った魔力を使い自らを剣に換えたのだろう。お守り代わりにな。これをお前にやる」


「そんな大事なのを、いいの?」


「俺は剣に頼らずとも強いからな。これは剣士であるリンにこそ相応しい。それにパス契約をしてしまった以上、お前の魔力は100パーセント俺に依存している。もう俺の従者のようなものだ。何の問題もないだろう。後はお前がこれを使わせてくれるよう、直談判してこい」

「直談判? 誰に?」

「本人だ」




「え……?」




カルに手渡された剣をリンベルが握った瞬間、リンベルの視界が暗転した。



『ここ……どこ……?』



辺りを見渡す。

だが何も見えない。

何も聞こえない。

ただ暗闇がどこまでも広がっていた。その時、



『何だ、お主は?』

『え……? 』



突然、重々しい声が頭に響き渡った。

真っ暗闇だった視界に灯りが差したように、目の前に何かを浮かび上がらせる。

山のような巨大な何かを……。



『ひっ!?』



それが何かを認識した瞬間、リンベルの顔が強張った。

瞬きができない。(瞬きした瞬間に殺される)

身体がガタガタと震える。

逃げ出したいのに身体が動かない。(逃げ出した瞬間に殺される)

叫びたい。

なのに声が出ない。(叫んだ瞬間に殺される)


思考が停止し、金縛りにあったように呆然と立ち尽くすリンベル。

その視線の先には……身体を横たえた竜が、まるで小虫を見るような目でリンベルを眺めていたのだ。

ルビーのような紅い瞳と紅い鱗に覆われた巨大な竜、そう炎帝が。


その炎帝の眉がピクリと動いた。

長い首をもたげ、鼻先をリンベルの顔に寄せる。そして、



『スーーーーーーーーーッ…………』

『あ、あの……』

『ふぅーーーーーーーーーーーーッ!!!』

『ひゃあーーーーーーーーーッ!?』


大きく息を吸い、そして吸った息を、今度は吸った時以上に強く吐き出した。

髪を乱されたリンベルはもう半泣きだった。

それを見た炎帝の顔がふっと綻ぶ。



『すまんすまん、つい懐かしい匂いがしてな』

『な、懐かしい……? うひゃあーーーーーーーーーッ!?』



リンベルが降参とばかり両手を上げた。

今度は炎帝の舌がリンベルの顔をベロン!と嘗め上げたのだ。



『食べないで!食べないで!食べないで!……カルぅーーー、助けてよぉーーーーーーッ!! うわーーーーーーーーーッん!!!』



ついにアタマを抱えて泣き出すリンベル。

これには炎帝の方が参ってしまった。



『これ、食べやせんから泣くでない。悪かった。それより今お主、カルと言ったか?』


『ひっく……ひっく……ひっくは……ひっくの……ひく、ひん、ひひっ…………』

『すまん、何言ってるかまったく分からん』



真顔でツッコむ炎帝だった。






十分後。



『落ち着いたか?』

『うん、ごめんなさい……』

『謝るでない。ついカルの匂いが懐かしく、嘗め回した儂が悪いんじゃからな。ハッハッハッ!』


『ホント、殺されるかと思った……』


『だから悪かった。……で? ここに送り込んだのがカルなのは分かるが、お主は何をしに来たのじゃ?』



『実は……炎帝様にお願いがあって来た』



『儂に願い?』


『私、今度戦わなきゃいけないの。絶対に負けられない戦い。でも……カルに貰った魔力が強すぎて、普通の剣じゃすぐに折れちゃう。だから……』



『ふむ……それでこの儂、〝業火炎帝剣〟を使わせてくれと?』



『〝業火炎帝剣〟ッ!? 』



『左様。万物全てを灰塵と化す、この世で最強の炎の魔剣! それがこの儂、〝業火炎帝剣〟じゃ! 』



『なにそれ!? 超絶カッコいい!!』



『そうじゃろう? ふふん、儂がつけた。 この儂、自らがつけた。 最強の魔剣に相応しい、豪快な名前じゃ!!』



『さすが炎帝様! センスいい!! サイコー!!』



『そうじゃろう、そうじゃろう! うむうむ! このネーミングの良さが分かるとはな。お主、見所があるではないか。名は何と申すな?』



『リンベル! カルの第一の従者、リンベル・ラーゼン!!』



『ふむ……カルの第一の従者とな? 良かろう!! リンベルよ、お主に我が身、〝業火炎帝剣〟の使用を許す! 特別じゃぞ?』



『ははーーーーーーッ! ありがたき幸せ!!』



『うむうむ、その感謝の念を片時も忘れるでないぞ?

そして、できれば月に一回、儂をぶっ放せ。

なんせあ奴、どんな相手でも無手で勝つのが最高にカッコいいと思っとるせいで、儂をまったく手に取らんのじゃ。

お陰で儂はストレスが溜まる一方。

なのでぶっぱの件、くれぐれも頼むぞ!

ウワァーーーハッハッハッハッハッハッハッ…………』






「あれ……?」



気づけば目の前にカルがいた。

リンベルがキョロキョロと辺りを見回す。



「私、気失ってた? 」

「一、二秒な」

「一、二秒? たったそれだけ?」

「こっちではな。それで? 炎帝の許可は貰えたのか?」



ニヤリ。

「そうか」



リンベルの顔を見て、カルがほっと胸を撫で下ろした。

何せ炎帝の意識世界に送り込んだはしたものの、カルも炎帝の人となりを知らなかったので不安だったのだ。




「そうそう、カル……」

「なんだ?」



リンベルがスッとカルに身を寄せた。

そして耳元で囁く。



「無手に拘るのもいいけど、私は剣で勝つカルも、最高にカッコいいと思う」


「なっ!?」



それを聞いた瞬間、不覚にもカルが動揺した。

秘めていた心の内を言い当てられたからだ。

それを見て、リンベルがクスッと笑う。



「ふふ……炎帝様が教えてくれた」

「口の軽いドラゴンだ……」



珍しくリンベルから視線を逸らすカルだった。







「とりあえず、これでリンの件は片付いた。ジェフリー・キスリングとかいう王国騎士団キングダム・ナイツもリンがいればまったく問題ない。次はお前達だが……まぁ、それも何とかしてやる」


「何とかとは?」


「バルビエッタ、アルバータ、エレノア」


「「はい!」」


「お前達の剣の腕は確かだ。母上の恩に報いる為、日々鍛錬していたのが手に取るように分かる。よく頑張ったな」


「「は、はい! ありがとうございます、カル様」」


「マルグレーテの魔術も大したものだ。魔法の発動時間も短く、魔法を組み合わせるセンスもいい。将来が楽しみだ」


「本当ですか!? ありがとうございます」


「と言う訳で、お前達に足りないのは魔力だけだ。だから俺とパスを繋げて俺が魔力を供給する。そうすればお前達が負ける事は決してない」


「えっ!?」

「いいのですか?」


「母上のためだ、背に腹は替えられん。但し、リンと違って仮契約が必要だ」

「仮契約?」

「そうだ。決闘の間だけでいい。お前達、俺に忠誠を誓えるか?誓えるな?よし、契約成立だ」

「そ、そんな簡単に!?」

「仮だからな。お互いの同意があれば成立する。そら、これをやるから指に嵌めておけ」



「「ああーーーーーーッ!?」」



「……どうした?」

「何ですか二人とも、大声だして?」


「……うぅ、なんでもない」

「指輪の価値が、どんどん下がってく……」



カルとは特別な関係でいたい、クレアとリンベルだった。


おまけあとがき


「クレアさん、今日は私と寝ませんか?」


「え? 」


「マルグレーテ、何を言っているのです。ささクレアさん、今日はぜひ私とご一緒に……」


「え?え?」


「いえいえ、クレアちゃんは今日は私と寝るのです。では皆さんそーゆー事で!」


「ちょっとエレノア!クレアさんの手を引いてどこに行く気です!

「マルグレーテこそ邪魔をしないでください。クレアさんは、今日は私と寝るのです」

「ナニを言いますか二人とも。クレアちゃんの精し……じゃなかった。クレアちゃんは今日は私と朝までガールズトークに花を咲かせる予定です。あなた達はとっとこハムっと一人でお休みなさい」

「勝手な事を言うな。私もクレアさんとのガールズトークを楽しみにしていたのだぞ」

「勝手じゃありません。これは前世からの因果であり、ナニがせーしであーしてこーしてせーしがあーなった、いわば私のパワーアップイベントです」

「エレノア……あなた、一人締めする気ですか?」

「そのセリフ、そっくりそのままお返ししますよ~だ」

「ほう……なら勝負で決めるか?」

「望むところですよ!」


「ささ、クレアさん……危ないから私の部屋に……」


「マルグレーテ! 抜け駆けする気か!」

「危なそうだから、終わるまで私の部屋に避難を……」

「ぜったいウソです! 」

「マルグレーテ、お前まで抜け駆けする気なのか!」

「せーしは渡しませんよ!!」

「ちょ、こんなところで抜かないで!」



ぎゃあぎゃあ!!



「お前達、いい加減にしろ!!」

ビクンッ!?



「まったく、呆れたものだ。クレアが怖がってるだろう」


「うぅ……」

「す、すまん」

「ごめんなさい」


「はぁ……すまなかったな、クレア。こいつらも悪気があった訳じゃないんだ、許してやってくれ」

「アルバータ……」

「さぁ、こいつらは放って私の部屋に……」



「「アルバーターーーーーーッ!!」」

ぎゃあぎゃあぎゃあ!!!



「もう、なんなんですか!! リン!絶対喋ってますよね! カル様! なにニヤニヤ笑って傍観決め込んでるんですか!黙ってないで、なんとしてください!!」



結局、四人の争いは仲良く結託する事で収まりがつき……そうになったところでクレアの重力魔法が炸裂し、気絶するまで押し潰させる羽目になるのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ