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愛と正義の魔王様  作者: たじま
19/19

19、名探偵にもなれる魔王様 〜当然だ〜



「これが……ゲート魔法……」



ウラバスが今出てきたゲートを振り返り、そして改めて周りを見回す。

カルがランドルフの屋敷から直接繋いで見せたのは、リッテンバウムにあるレーベンハイト家の本屋敷、その玄関前だった。

事前に何の告知もしていなかったのだろう。

ランドルフの存在に気付いた屋敷の留守居達が、慌てて玄関から飛び出して来た。

それを横目に、ウラバスがチラリとカルを見る。

これだけの事をやってのけたのに魔力の乱れが全くない。

まるでこんなのは大した事ではないと言わんばかりの態度。


<これが超一流の魔術士……>


一度師と仰ぐと決めたからか、その顔には尊敬の念すら浮かんでいた。





「う、ウラバス殿下! それにランドルフ様も……突然のご来訪、驚きました。事前にご連絡くださればお出迎えの準備もできましたものを……」


「ギルバータか、こちらに来ていたのか?」

「は、はい。突然の事に、屋敷で働く者達も動揺しておりまして……それを安心させる為に……それより、なぜ殿下がこちらに?」



ウラバスがランドルフをチラリと見た。

話しても良いか問うたのだ。

それにランドルフがこくりと頷く。




「イスメラルダの両親、アレイスター卿と我が叔母であるクシャトリア様が本当に事故で亡くなったのか、その真偽を確かめよと父上から申し付かった」

「弟夫婦の……? な、なぜ今頃になって?」

「イスメラルダから父上へ宛てた書状に、イスメラルダの現状が書かれていた。婚約の件は私が良かれと思って勧めたのだが……まぁ、それは良い。問題は他の訴えだ」


「訴え……とは?」


「両親を亡くしても気丈に振る舞い、必死に家を継ごうとしていたイスメラルダに対する家臣達の反応……本人は人徳の至らなさと謝罪していたが、まるでイスメラルダの他に当主がいるかの如き態度ははっきり言って不敬だ。そこに父は違和感を感じた」


「違和感?」


「まだイスメラルダは統治の采配すらしていない。なのに掌を返す。それにはそれ相応の理由がある筈だと」


「そ、それで調査に?」


「まだある。アレイスター卿がヴェラ・イルカを発つ前、暫く帰れないかも知れないと友人に話していたそうだ。

まぁ……それが遺言じみてると俺は思わんが、父上は気になったのだろう。

迷惑だろうが、一応、お前にも容疑は掛かっている」


「わ、私にも!? 殿下! 身の潔白を証明するためならば私は協力を惜しみません。何なりとお申し付けください!」


「分かっている。一応と言ったろう? お前達の兄弟仲がいいのは有名だからな」

「は、はい!」


「横から失礼、ギルバータ卿。

此度の調査は謂わば勅命、主導権は私にあります。

よって、この屋敷は今より摂取させていただきます。以後、屋敷には入らぬようにお願いしたい。

但し、屋敷の使用人達はそのままで。色々と話しを聞きたいし、何より我等の身の回りのことをお願いしたい」


「しょ、承知いたしました。こちらは屋敷の取りまとめをしているベルヘルムと申します。ベルヘルム、ランドルフ様がああ仰っている。頼むぞ」

「畏まりました」

「では失礼ですが、私はこのままお暇させていただきます」

「すまんな、ギルバータ」


「いえ、仕方ありますまい。では……」




そう言ってギルバータは苦笑いを浮かべると、踵を返し、自分の部下達を促して去って行った。

その後ろ姿はさすがは騎士と思わせる威風堂々たるものだった。……が、




<まずいまずいまずいまずい!!!>




その心情はパニック以外の何物でもなかった。









「こちらがアレイスター様の執務室となっております」




執事のベルヘルムが案内したのは、日当たりの良い、奥行きが十五メートル、幅は二十メートルほどの広々とした部屋だった。

入って正面には大きな机があり、右手の壁際には書籍や資料の類が整然と収められた本棚がある。

典型的な執務室というやつだ。

その代わり左側は寛ぎのスペースなのだろう。

大きなソファーとテーブル、そしてキャビネットが置かれ、中には酒のボトルが数本垣間見える。

壁に二本の剣が掛けられているのは騎士らしい趣味だった。





「ここを拠点として使わせてもらおう。暫く泊まり込みとなる。食事と寝室の準備を頼む」

「承知いたしました」

「それと、四日目の夜にはイスメラルダ様がご友人を四人連れて来られる。もちろんスイレン・タークも一緒だ。そのつもりでいてくれ」

「畏まりました。では私は邪魔にならぬよう下がっております」

「そうしてくれ」


「失礼いたします」



ベルヘルムが頭を下げて部屋を後にする。

扉が音もなく閉まると、カルが無言で部屋を見渡した。

ランドルフは気付いていないが、部屋には魔術を行使した形跡がある。

それも現在進行形の。




「さて……」



椅子に腰掛けたランドルフが机を漁りだした。

そして目当てのノートを見つけると、机に広げて目を通し始める。




「カル様……私、お茶の用意をしてきますね」

「あぁ、そうだな。すまんが頼む」

「はい」




クレアを見送ったカルは踵を返し、ツカツカと机に歩み寄ってランドルフの手元を伺った。

どうやらそれは帳簿のようだった。





「真っ先にそれに目を通すということは、金銭トラブルがあったと見ておられるのですか?」

「その可能性が高いと思ってね……」



そこでふっと笑ったランドルフが、帳簿をスッとカルに手渡した。

それを受け取ったカルが、ペラペラとページを捲っていく。




「それをどう思う?」


ランドルフがカルを試すように尋ねた。



「……ペンがあればお借りしたいのですが」

「うん? ちょっと待ち給え」



そう言って引き出しを開け、ランドルフがペンとインクを取り出す。

カルがインクの蓋を開けて中身を確認した。

半分以下に減ってはいるが、まだまだ充分に使える量だ。

次いで帳簿を開き、ペン先にインクを付けてスッと線を引く。



「ふむ……」



ランドルフが唸った。

帳簿に書き込んである文字は粘性が低いのか少しインクが滲んでいる。

対して、今、カルが引いて見せた線は全く滲んでいない。

それはここで書かれた筈の帳簿と、ここにあるインクの質が違うということだった。

つまり、この帳簿は別の場所で書かれた物という事だ。



「一年前に記載したはずの文字が掠れていないのには気付いたが、インクの質とはな……君は名探偵の素質があるな」

「まぁ、こんなのはどうとでも言い訳ができます。それより、先程から気になっている事があります」

「気になっている事?」


「殿下は、お分かりになりますね?」

「……何かは分からないが、魔術的な何かが部屋に掛かっているのは分かる」


「え……?」



シャルドネが驚いてウラバスを見る。

魔術士の自分は全く気付いていなかったのだ。




「具体的にはどんな魔力を感じていらっしゃいますか?」

「どんな、と言われても……ただごちゃまぜになった……そんな感じだ」


「充分です。では、殿下……今度は俺を見ていてください」



「……部屋と同じになった」


じっとカルを見つめていたウラバスが呟く。

カルから漏れ出していた魔力の質が変わり、急に揺らめきだしたのだ。



「それでは殿下、お手を……」


カルの差し出した手を握ろうとウラバスが反射的に手を伸ばす。そして、


スカ!

「……ッ!?」



その手が空を切った。




「認識を阻害する魔術は、総じてこのような魔力の乱れを伴います。といってもそれは微弱なもの。現にシャルドネは全く気付いていません」

「すみません」

「別に責めてる訳じゃない。それが普通なんだ」


「驚いた……それが、殿下には見えていると……?」


「はい。殿下は一流の魔術士の素質を備えておいでです。殿下、魔剣士が使う消える剣筋なんてものは、大概がこの魔術の応用です。今後は対峙するだけで見破れるでしょう」

「見破れても、対処ができなければ意味がない」

「それはまぁ、追々……話しを戻します。この部屋にもそれがかけられています。プロテクト式の、もっと巧妙で繊細な魔術ですが」

「ふむ……それを破るには?」

「シャルドネ!」


「は、はい!?」


「お前ならどうする?」

「魔術を解析して、解除する術式を構築します!」


「不正解だ」

「えぇ!?」


「罠系統ならそれもいいが、認識を阻害する魔術程度にそんな大層なものは必要ない」


「じゃ、じゃあ、どうするんですか……?」



「正解は、圧倒的な魔力で強引に飽和破壊するだ!」



言うや、カルの魔力が部屋中を満たす。

直後、



パリンッ!!



ガラスの砕けるような甲高い音と共に、部屋を覆っていた術式が粉々に砕け散った。



「そんなの普通の人にはできませんからね!!」



同時にシャルドネの抗議の声が部屋中に木霊した。









コンコン!

「失礼します」




調査をしているであろうカル達に気を使い、クレアが静かに入室してくる。

その両手は小さめのワゴンを押していた。

キッチンから拝借してきたのだろう。

既にジャンピングを済ませていた紅茶をカップに注ぎ、ソファーに座るウラバスの前にそっと差し出す。



「ウラバス殿下、どうぞ」

「すまない」



クレアに礼を良い、ウラバスがカップに口をつける。

そして、目を見張った。



「……うまい」

「ふふ、ありがとうございます」



ウラバスの呟きに笑顔で返し、次いでランドルフの前に、そして立ったままのボッシュとゲイツ、そしてシャルドネに紅茶を配ると、最後にカルの前にそっとカップを置いた。

カルが一冊の手帳を食い入るように見ていたのだ。



「……何を聞かれた?」



暫くするとカルが尋ねた。

相変わらず視線は手帳に落としたままだ。それに対し、


「カル様と私の素性を……」


とクレアが答える。




「……それで?」

「カル様はウラバス殿下の付き人、私は皆さんの身の回りのお世話をする為に臨時で雇われたと」

「……他には?」

「シャルドネ様の事を気にかけているようでした。なのでシャルドネ様は屋敷に隠れた賊を即座に見抜き、捕獲するほどの凄腕の魔術士です。って宣伝しときました」

「ふっ……上出来だ。ご苦労だった、クレア」

「はい」


「あの、シリングく……じゃなくて、シリング様! 私を持ち上げてどうするんですか?」

「別に、君付けでも構わんぞ?」

「もう私の方が格下だって自覚しました! それより……」

「まぁ、理由は後で分かる」




パタンと手帳を綴じたカルがそれをテーブルに置き、次いでカップに手を伸ばす。

途端に紅茶の芳しい香りが鼻を擽った。

クレアの淹れた紅茶は、例え茶葉と水が変わっても美味い。




「何をご覧になってたんです?」

「イースの父親が書いた手記だ」




カルが部屋の隠蔽術式を破壊すると、キャビネットの上に一冊の手帳が忽然と現れた。

と言っても、転移されたとかではなく、元からあったのだろう。

ただ見えていたのに認識できなかっただけだ。

それよりも、問題なのはそこに書かれていた内容だった。

それは兄のギルバータが領内の財を着服し、そしてそれに疑念を持った自分を殺すかもしれないという驚くべき内容のものだったのだ。




「……初めから怪しいとは思っていたが、ほぼ確定したようだな」

「まさか、ギルバータが……」



ランドルフの呟きにウラバスが唸る。

カールソンといい、ギルバータといい、目を掛けた相手に尽く裏切られて落ち込んでいるようだった。




「しかし、ランドルフ……いかに本人の手記とはいえ、この手帳だけでは証拠として不十分ではないか?」

「そうですね……一番手っ取り早いのは、物的証拠を押さえる事ですが……」


「その前に……ランドルフ卿、イースのご両親……アレイスター伯爵とクシャトリア様の亡くなった時の事を詳しくお聞きしたいのですが……」


「ああ、そうだな……」




ランドルフはそう言って言葉を切ると、ソファーに凭れ、両目を瞑り、そうして暫くしてからから訥々と語り出すのだった。





「事件は三ヶ月前、雨の日に起こった。

学校のあるイスメラルダ様をヴェラ・イルカに残し、アレイスター卿とクシャトリア様はここ(リッテンバウムにある本屋敷)に戻られた。

最近、領内の上がり(リッテンバウムは鉱山を持ち、そこで採掘した鉱石が領内財源の殆どを占める)が減っていると気にしていたようだった。

そして鉱山のある町に足を伸ばそうとお出かけになり……途中、馬車ごと川に転落して亡くなられたのだ。

護衛についていた騎士の話しでは、橋に差し掛かった時に馬車の車輪が何かに乗り上げ、その弾みで車軸が折れて川に真っ逆さまに転落したそうだ」


「転落死ですか? 橋の高さは?」

「約五メートル」


「頭に外傷を負った、或いは胸を強打された……といったところですか?」

「いや、溺死だ」


「溺死? お二人とも騎士なのでしょう? あり得ません」

「そうだ。私もそう思った。だが事実だ」


「……なるほど。確かにただの事故で片付けるには不可解な点がありますね。事故にあった馬車は?」

「まだ王城の倉庫にあった筈だが……今更調べても何も出ないと思うぞ?」

「自分の目で見るまでは納得できない質でして……」



そう言ってカルが立ち上がった。

今からヴェラ・イルカに戻る気なのだろう。




「ふっ……君は良い宰相になるな」

「どうも。では殿下、参りましょう」

「シリング殿、シャルドネも連れて行ってくれんか?まだ若いが、有望なる魔術士でね。ただ、有望なるが故に妬みを買い、良い師匠に巡り会えていない。ここに滞在している間、彼女も引き回してやって欲しいんだ」

「殿下といい、シャルドネといい、私の方が年下ですが?」

「魔術の才能に年上も年下もあるまい。そうだろう、シャルドネ?」

「はい」


「……分かりました。元々、城には同行してもらうつもりでしたので、そういう事なら出来る限りの事はさせて頂きます。ついでにニ、三、寄って来たい所があるのですが?」

「構わんよ」

「ありがとうございます。クレア、そう言う訳だ。ちょっと出かけてくる。すまんが後を頼む」

「はい、カル様」








ウラバスのナビで城内に直接転移したカル達一行は、そのままウラバスの案内で馬車の保管してある倉庫へと向かっていた。

城内の階段を降り、中庭を抜け、練兵場に差し掛かった時……それは起きた。

剣術の訓練をしていた宮殿騎士団パレス・ナイツの剣士達が手を止めて、



「おい、見ろよ……ウラバス殿下が魔術師なんか連れてるぜ?」

「あんなコソコソと後ろから狙ってくるような卑怯な奴を、何でまた殿下は……」

「お茶汲みだろ? 魔術師なんて、剣士の足元にも及ばないからな」




と、シャルドネに聞こえるよう、あからさまに囁き出したのだ。

だがシャルドネに聞こえると言う事は、ウラバスにも聞こえるという事だった。

カルの力量を知り、魔術士を侮る事をやめたウラバスの耳にも……。


カル達を先導していたウラバスがピタリと立ち止まる。

そして、直後に目を丸くした。

ウラバスが一言言うより速く、カルが……、



「雑魚が何か言ったか?」



と、ケンカを買ったのだ。




「雑魚だと!?」

「貴様ぁ!!」

「我等を侮辱するか!!」

「殿下ッ! そいつを引き渡していただきたい! 少し口の利き方を教えてやらないと気がすみません!!」


「先にケンカを売っといて何様だと言いたいが……まぁ、いいだろう。

殿下、そこのヒヨッコ共に少し稽古をつけてやってもよろしいですか?」


「まだ言うかぁ!!!



「はぁ……手加減はしてやってくれ」

「畏まりました。許可が出た。そら、胸を貸してやるからかかってこい」




そう言ってカルが男の一人に歩み寄った。

リーダー格なのだろう。先程からやたら威勢のいい男だった。




「武器を取れ! これは訓練ではない、決闘だッ!!」


「決闘結構。だが俺は魔術士だ、得物など持たん。なにより、お前如きにその必要もない。そら、さっさとかかってこい」



「なら死ねぇーーーーーーーーーッ!!」




男が叫びながら距離を詰め、真っ向から剣を振り下ろす。

そこに躊躇はない。

平民の一人や二人殺しても何の罪にも問われない。その確信があったからだ。

しかし、



バチンッ!!

「なッ!?」



その剣はカルには届かない。

魔力障壁に跳ね返され、不様にも万歳するように両手を上げてしまったのだ。




「どうした? この程度の障壁すら破れんのか? 相手は剣士の足元にも及ばん魔術師なんだろう? 早くその力を見せてみろ」

 

「くそッ! くそッ! 卑怯だぞ! くそぉーーーーーーーーーッ!!」




男が吠えながら何度も何度も剣を振り下ろす。

型も何もあったものではない。まるで子供のチャンバラ、滅茶苦茶だった。




「もういい」


デコピン!!

「ぎゃあ!?」




やがて呆れ果てたカルが男の額を指で弾く。

たったそれだけで男は練兵場の端まで吹き飛んだ。

それでも気絶していないのは、カルが手加減したからだろう。




「口じゃなくて、剣の腕を磨け。刃筋が立ってないから障壁を破れないんだ。漫然と素振りしてないで、一振り一振り、ちゃんと相手を意識しろ。以上だ、次ッ!!」





「……シャルドネ」

「はい」

「俺は……いや、この国の剣士は皆、魔術士というものを誤解していたようだな」

「あの……殿下? あれは規格外だと思いますよ?」




再び稽古を始めたカルを、ウラバス達は呆気に取られながら見守るのだった。





そしてついに、相手は最後の一人となった。

そこで初めて、カルが「ほう……」と呟く。

構えを見ただけで分かる。

こいつは今までの奴等とは格が違う。



「お前、名は?」

「……オズベルト・ケッセルリング」

「ケッセルリングか。少しは楽しめそうだ」


「行きます!」



ケッセルリングが一気に距離を詰める。しかし、



ギンッ!!



やはり、カルの魔力障壁に阻まれてしまった。

追撃をしようとケッセルリングが剣を振りかぶる。

だが、直後に放たれたカルの魔力放出で強引に距離を開けられてしまった。

カルがケッセルリングの追撃を恐れた訳ではない。

明らかに手加減していたから、少しカチンときたのだ。




「お前、下級貴族の出だな?」

「……それが?」

「上級貴族より腕が立つと、ここでは罰でも受けるのか? なら興醒めだ。 ここまでにしよう」




そう言ってカルが踵を返す。

その顔はケッセルリングに失望している顔だった。

そしてその顔を見た瞬間、ケッセルリングの胸にチクリとした罪悪感が芽生えた。

相手に対し、余りに失礼な態度を取っていたと悟ったのだ。




「待ってくれ!」


カルが振り向く。



「礼を欠く失礼な振る舞いをしていました。謝罪します。申し訳ありませんでした」



そう言って、ケッセルリングが深々と頭を下げる。

そして頭を上げるや、今度はカルをキッと睨みつけた。




「今度は本気で行かせていただきます。今一度、お手合わせを」


「いいだろう、来い」




ニヤリと笑ったカルが再びケッセルリングと対峙する。

ケッセルリングが剣を持った右手をスッと引いた。

左手を突き出し、腰を落として足を踏みしめる。

刺突の構え。

その様は獲物を狙う大型の肉食獣を思わせた。そして、




「しゃあッ!!」



一足飛びに距離を詰め、裂帛の気合とともに剣を突き出す。

切っ先がカルの張った障壁にズガッ!!と突き刺さる。

カルが思わずふっと笑った。直後、



バキンッ!!


障壁は粉々に砕け散った。




「破った!!」

「行け!!」

「そいつを殺せ!!」


剣士達から物騒な歓声が上がる。

しかし、



「ーーーッ!?」



ケッセルリングは追撃を仕掛けることなく、地を蹴って一気に後退した。

同時に剣を一閃させる。



ズガンッ!!!


「「は……?」」




嬲り殺しになるカルを想像していた周りの剣士達が唖然とする。

ケッセルリングが剣を横薙ぎに払った瞬間、遥か後ろの壁に大きな亀裂が入ったのだ。




「良く見た」

「指先で真空波ソニックブレードを飛ばすなんて、本当に魔術士ですか?」

「これくらい、魔術士なら誰でもできる」



<いやいやいや、できませんから!!>

心でツッコむシャルドネ。




「さて、障壁を破った褒美だ。少しだけ本気を出してやろう」

「いや、それまでだシリング殿




カルが振り向き、ケッセルリングがスッと片膝を突く。

訓練は終わり。これ以上は無用とウラバスが判断した。そう解釈したのだ。

だがそれは違った。



「やめろと言った訳じゃない。立ってくれ」

「え?」



ウラバスに声を掛けられ、顔を上げたケッセルリングがドキリとする。

カルの横に立ったウラバスが、何とはにかんでいたのだ。




「ほう、見ただけで覚えましたか。さすがです」

「ただの魔力放出だったから見様見真似でやってみた」

「では一つアドバイスを。闇雲に魔力を放出するのではなく、自分の魔力を静かな水面に例え、そこから噴き出す噴水をイメージしてください」


「魔力を、噴水のように?」


「そうです。絞りながら魔力を放出し、先端で広げる感じです。目を閉じ、大きく息を吸って、静かに吐く……肩の力も抜いてください…………そう、良い呼吸です。それで無駄な魔力の消費は抑えられ、強度は上がります」

「なるほど……楽になった。 これが魔力の効率的な運用という事か」

「はい」




<気を静めて……肩の力を抜いて……魔力を噴水のように…………あ、ホントだ。楽になった>


カルの言葉を聞いてこっそり実践してみたシャルドネが目を見張る。

目から鱗とはこの事だった。



「これは魔術を使用する際の基本となります。お忘れなく」

「分かった。では、ケッセルリング……再開といこうか」



「え?……あの、いったい……?」

「分からんか? 殿下も戦いたくなったって事だ」


「私と!?」


「そうだ。すまんが、一手、手合わせを頼む」

「し、しかし……」


「安心しろ。今のお前では破れん。仮に何かあっても俺がフォローする。思いきりかましてやれ」


「……承知しました。では!」



カルに諭され、ケッセルリングが再び腰を落とす。

突き出した左手で狙いを定め、地を蹴ると同時に剣を突き出す。

剣先が障壁と交錯する。




ガキンッ!!!

「ぐっ!?」


「「おぉ!?」」



見学していた剣士達から歓声が上がった。

剣が中ほどから砕かれ、折れた剣先がクルクルと回って地面に突き刺さったのだ。

同時にケッセルリングが右手を押さえて膝を突く。

折れた衝撃でダメージを受けたのだろう。

にも関わらず、その顔は喜びに溢れていた。

剣の才能が無いと陰口を叩かれていたウラバスが、実はこんなに強かったと知って歓喜しているのだ。



「……参りました、殿下」



だからだろう。

負けたというのに、ケッセルリングは満面の笑顔だった。








その様子を、城内の一室から眺めている者達がいた。

誰あろう、父親のトレルバータだ。



「なんと!? 王宮騎士団パレス・ナイツの本気の打ち込みを物ともしないとは……驚きましたぞ、陛下」

「ふっ……儂が一番驚いとるわい」




武の才の欠片もないと諦めていた愚息に、よもやあのような事が出来るとは思いもよらなかった。

しかも、それを見いだして導いているのが、同盟国とはいえ、他国の魔術師とは……。




「しかし、殿下と一緒にいる男は誰なのでしょう? 女の方はランドルフ様が目をお掛けになっているシャルドネのようですが……」

「カル・マ・シリング、アルベルト殿下の懐刀だ」

「アルベルト殿下の!? な、なぜそのような御方が……?」

「経緯は知らん。 が、ウラバスと一緒と言う事はランドルフの差し金だろう。放っておけ。それより……無様に負けたあのボンボン共よ」

「分かっております。新兵とはいえ仮にも王宮騎士団パレス・ナイツがあの体たらく。騎士団長にきつく申し付けておきまする」

「それと、くれぐれもバカな考えは起こさんよう釘を刺しておけ。国際問題に発展する」

「畏まりました」









「お見事です、殿下」



カルが笑顔でウラバスに歩み寄る。

そのウラバスはまだ呆然としていた。

自分が剣士の打ち込みを弾いてみせた、その事実に驚いているのだ。

そしてそれは、その場にいた者達全員が同じ気持ちだった。

それだけウラバスは剣士達から蔑まれていたのだ。




「シリング殿……」


「どうされました、殿下?」

「シリング殿のおかげで、決心がついた」

「決心?」

「俺は騎士をあきらめ、魔術師になる」



「殿下が魔術師にッ!? し、しかし……」



ケッセルリングが驚いてウラバスを見る。

それだけこの国では武が重んじられているのだ。だが、



「別に驚く事でもあるまい。殿下は魔術師の身体を持って生まれた。なら魔術師になるのは必然だ」



それを、カルは当然のごとく斬って捨てた。




「この国の因習に口を挟むつもりはないが、魔術師が剣士より劣るなんて事は決してない。

そんなのは迷信だと殿下が近い将来証明されるだろう」



「……そうだな。差し当たって、それが俺の目標だな。そこでだ……ケッセルリング、王宮騎士団パレス・ナイツを辞めて俺に仕えないか?」

「殿下に? それは、直属の護衛隊を設立される……という事でしょうか?」

「そんな大層な物じゃない。俺は剣を捨てた。だがこの先、剣は必ず必要になる。だから俺の剣となって欲しいんだ」


「殿下の、剣に……?」


「そんなに深く考えるな。我が父とランドルフのような関係の腹心が欲しくなった。それだけだ」


「そ、それを私に!?」


「そうだ。魔術師の俺が魔術師のみを側に置いては剣士達が収まるまい。それに、ケッセルリング……お前はもっと強くなる。ですよね、シリング殿?」

「そうですね。俺が少しだけ本気を出しても良いかと思える奴は稀です。荒削りですが、剣士としてなら既に一流の域でしょう。先が楽しみです。

まぁ、もっとも……ランドルフ卿のような人物になれるかどうかは、今後の努力次第ですが……」


「私の、努力次第……?」



「今までのように武を磨くだけでなく、知も貪り、常に広い視野をもって物事を洞察する。

と、まぁ……口で言うのは簡単だが、実践するとなると大変だろうな。

だが、それこそ騎士の本懐と言うものだろう?」



そう言ってカルがニヤリと笑った。

それにつられてケッセルリングもクスリと笑う。

騎士の本懐。

そのとおりだ。




「……あなたは、不思議な方ですね。

この国の人間ではないようですが、なぜかあなたに言われるとやる気が漲ってきます」



「決まりだな。

オズベルト・ケッセルリング!」


「はっ!」


「我が騎士となり、我を支えろ」


「承知いたしました、ウラバス殿下!

我が生涯を賭け、御身に尽くす事をここに誓います!」



「うむ。ならばこれを……」



そう言って、ウラバスが腰の剣を外し、ケッセルリングにスッと差し出した。

王家の宝剣、ルミナガウディを……。





「俺には不要となった。俺の片腕たるお前が持つのが相応しい」


「有り難く頂戴いたします、殿下」




「……あれが、ウラバス殿下?」




人伝に聞いていたウラバスの人物像とのあまりの格差に、見学していた剣士達は、ただ呆然とそれを見守るのだった。









「ふむ……やはり事故に見せかけた殺人だな」


「え……?」

「一目見ただけで分かるんですかッ!?」




ウラバスとシャルドネが驚いた顔でカルを見る。

ここは城内の倉庫の一室。

そこで例の馬車を見た瞬間、カルが自信をもって殺人と断言したのだから驚くのも当然だった。

因みに、側には経緯を知らされていないケッセルリングが、理由のわからないといった顔で控えている。





「確か……事故は馬車の車軸が折れ、欄干を突き破って真っ逆さまに川に転落した。そうだったな、シャルドネ?」

「はい」

「そして夫妻に外傷はなく、死因は溺死」

「そうです」

「だが、外傷もないのに騎士が気を失う訳がない。

考えられるのは馬車が転落した時、既に夫妻は気を失っていたか、転落後に脱出しようとしたが出来なかった。そのどちらかだろう。

そこでだ……殿下、この馬車を見て何か思われませんか?」


「何か?」


「下が川とはいえ、五メートルの高さから転落しました。 それにしては……」



「どこも破損して、いない……?」



「正確には、馬車の四隅にあるランプが割れてもいない……です。

おそらく物体強化の魔術。

それも窓も、扉も、そして身体も固定される程の強固な」


「証拠は?」


「術式的に考えて地属性の魔法でしょう。刻印では目立ちます。書いた文字では川に沈んだ際に効力を失います。

俺なら触媒に魔鉱石←(鉱物由来の魔力を含んだ石)か魔晶石←(魔獣由来の魔力を含んだ結晶)を使いますね。

シャルドネ、ケッセルリング、二人でランプの中でも調べてみろ。欠片程の石が出てくる筈だ」




頷きあった二人が馬車に歩み寄る。

ケッセルリングがランプのフードを外し、硝子の筒をスッと引き抜いた。

次いで光の魔石を取り外してシャルドネに渡し、台座を取って指先を筒の底へと刺し入れる。

すると、指先にコツンと何かが当たった。

それを指先で器用に抜き取ると、



「ありました……」


茶色に輝く、小さな魔鉱石が出てきた。





「おそらく車輪を浮き上がらせ、車軸を破壊したのは地面に刻印しておいた魔術でしょう。

それらを発動させるには馬車の近くに魔術師がいる必要があります。

そして馬車はレーベンハイト家の物です」


「ということは……」


「犯人はレーベンハイト家の内部にいた……という事です」

「やはりか……」

「その魔術師を洗えば新たな事実も判明するでしょう。ま、生きていればの話しですが」

「もう、この世にいないと?」

「普通に考えれば。さて、次は鉱山に行きましょう」









「親方! お客さんです!」

「あん? 客?」



山間にある町、ガジャ。

そこで鉱山を取りまとめる男が眉を顰めた。

こんな忙しい時間に?

そんな顔だ。


鉱山の採掘時間は朝の八時から夕方の四時までと決まっている。

人夫はそこで帰れるが、親方や各組の長の仕事は終わらない。

採掘した鉱石を測り、仕分けして運び出す準備をする。

それを帳簿に記載して初めて帰宅できるのだ。

だからこんな夕方の忙しい時間に客に来られても迷惑以外の何物でもない。

そう思っていたのだが、




「控えろ! レイゼバッハ王国第一王子、ウラバス殿下のご視察である!!」


「「は? ははぁ!!」」




ケッセルリングの一言に、親方を初め、各組の長達が一斉に床へと座り込んだ。




「ケッセルリング……気持ちはありがたいが、そんな威圧は必要ない。それになにより、こういうのは俺の性に合わない」


「は!? し、失礼しました!」




照れるウラバスを見て、ケッセルリングが真っ赤な顔で謝罪する。

それを後ろで眺めていたカルが、なぜか声を殺してくすくすと笑い出した。

つい、あるドラマ(水戸黄門)のワンシーンと重なったのだ。



ツンツンッ!



空かさずシャルドネがカルに肘打ちを入れる。

くすくす笑うなんて失礼ですよ?

と、咎めているのだ。



「すまん……つい水戸黄門の……」

「ミトコウモン?」

「いや、なんでもない。こっちの話だ」



そう言って、ごまかしながらカルが前へと歩み出た。




「殿下もああ言って下さってる。立ってくれ。それで……親方はお前か?」

「は、はい。取り纏め役の、ガリル・ツツバイルです……も、申します」

「ふっ……俺も口は悪い方だ。気にするな。それよりこんな忙しい時分にすまんが……実は急ぎで確認したい事がある。落ち着いて話しのできる部屋はあるか?」


「そ、それなら私の部屋に……」



そう言って、ツツバイルはカル達一行を自分の部屋へと案内するのだった。









王都、ヴェラ・イルカにあるとある屋敷の一室。

時刻は夕方の六時を少し回った頃だろうか?

そこでは屈強な男達が十数人、昼間から酒やギャンブルをしながらワイワイと騒いでいた。

全員が軍隊や冒険者ギルドを追い出されたあぶれ者達だ。

そんな部屋の扉を開け、一人の男が入室してきた。

キョロキョロと部屋の中を見回し、目的の男を見つけるとツカツカと歩み寄って一枚の紙片を手渡す。

すると、それを受け取った男がふっと笑った。



「おい、静かにしろ!!」



立ち上がった男が大音声を張り上げる。

途端に部屋の中がシーーーンと静まり返った。




「ギルバータさんからの依頼だ! 今夜、盗賊のフリしてレーベンハイトの屋敷を襲う!!」



「はぁ?」

「ジョルダさん、マジで言ってんすか?」

「てか、ランドルフの屋敷って話じゃなかったんで?」


「そんなの俺が知るか」


「それにしても、レーベンハイト家って……あそこの嬢ちゃんは腕の立つ剣士ですぜ?」

「へっ! いくら腕が立ったって、狭い屋敷の中でこの人数だ。満足に戦えねぇよ!」

「そうだそうだ! お上品な立ち会いしか知らねぇ貴族のお嬢様に、屋内戦の戦い方ってのを教えてやろうぜ!!」




軍隊上がりの男の心配を余所に、周りの男達が気勢を上げる。

イスメラルダの腕前を知らない証拠だった。




「廊下に追い出したら盾を並べてラッシュ。そんで気絶させちまえ。直ぐに殺すんじゃねぇぞ? 殺すのはたっぷり男を教えてからだ」


「えッ!? マジッスか、ジョルダの兄貴ッ!?」


「あったりめぇだろ!! 男は殺して女は犯す! そんで金目になるもんは持ち帰る! それが正しい盗賊ってもんだろうが!!」

 


「ははは……違いねぇ!!」

「ははははははは…………!!」



「よーーーし! そうと決まれば残りの奴等に知らせろ! 決行は夜中の一時だ!!」


「「おう!!!」」








<ふむ……やはり帳簿と合わんな>




カルがここに来たのは、レーベンハイト家にあった例の帳簿、あれの信憑性を確かめる為だった。

ランドルフにも言ったが、インクの掠れや質の違いなど、どうとでも言い訳ができる。

だからデータにより、あれが偽物だと証明したかったのだ。




「シリング殿、ここには何を調べに来たのだ?」

「魔鉱石の採掘量です。ツツバイル、昨年の春から採掘量が三割増しになってるが?」

「領主様の指示で、納品量が改定されました」

「アレイスター卿の指示?」

「はい」

「それにしても、三割増しとは大変だな」


「そうなんですよ! って、すみません」


「ふっ、言葉遣いなんて気にするなと言ったろ? それより、だいぶ鬱憤が溜まってるようだな?」

「は、はい。実は最初は七割増しなんていう、とんでもないお達しだったんですよ。領主様は俺達の事なんか気にも止めない方でした。その俺達が今でもこうして生きていけるのは、みんなギルバータ様のおかげです」

「どういう事だ?」

「ギルバータ様が領主様をお諫めくださったおかげで、三割増しで済んだんです。七割増しのままだったら、俺等は身体を壊すか、納品出来ずに処罰されてました」




その話しを聞いて、カルとウラバスが目配せをした。

話しが合わない。

なぜなら屋敷にあった帳簿では、採掘量は減少していたからだ。

そして何より、常にヴェラ・イルカにあって国家運営に携わっていたアレイスターに代わり、領内運営を任されていたのは、誰あろう兄のギルバータの方だ。

それはつまり、弟を悪者にして自分の株を上げ、増えた収益は自分の懐に入れて私腹を肥やしていた。

そういう事だろう。

獅子身中の虫とはこの事だった。




「親方……この帳簿、写させてもらうぞ」



そう言ってカルは、『チェキっと写るンです!』を手にするのだった。









「シリング殿、もう一箇所寄りたい所があるとか言っていたが、この後は?」

「リッテンバウムの街で、お土産のスイーツでも物色しながらアレイスター卿の評判を聴いて回りましょう。その間に敵も動くでしょうし」


「敵が動くって?」

「どういう事だ?」


「敵にとって最も厄介なのはシャルドネです。なにせ予め張り巡らせておいた盗聴の魔術を即座に見破り、潜んでいた魔術士を叩いてみせたのですから」


「あ、あれはシリング様が!」


「表だって動いたのはお前だ。結果、敵はお前を警戒するようになった。騎士であるボッシュ殿以上にな。だから敵が動きやすいよう、お前を連れ出した。それが罠とも知らずにな」


「罠?」


「ふっ……クレアはああ見えて、お前よりも遥かに強いんだ」


「え……?」









「ランドルフ様……」



レーベンハイト邸の執務室で、ボッシュとゲイツがスッと剣を抜いた。

廊下から金属の鳴る音が微かに響いたのだ。

聞き覚えのあるそれは、間違いなく鎧の擦れ合う音だ。




「賊か……?」

「気配からして六人。迎え撃ちます」

「クレア殿、ランドルフ様と一緒にソファーの向こうへ」




そう言ってボッシュが二人を庇うように前に立つ。すると、




「お気遣い無用です。カル様にこの場を任されてますので……。それに、皆様のお手を煩わせるまでもありません」



そう言って、クレアがボッシュの脇をすり抜けて更に前に出た。

直後、鎧で完全武装した剣士達が扉を破って乱入してきた。




「無礼ですよ?」


「なッ!?」

「ば、バカな……」

「魔術師が、もう一人だと!?」



剣を振りかぶった乱入者達がピタリと止まり、直後にはガクリと膝を折った。

クレアの重力魔法に捕まったのだ。




「少し痛いですけど、我慢してくださいね?」


そう言って、クレアが両手をパン!と合わせる。



「がっ!?」



たったそれだけで、敵の一人が白目を剥いて崩れ落ちた。

見えない重力の壁で頭を叩き、脳震盪を起こさせたのだ。




「な、なにを……?」

「説明も面倒なので……」



くすりと笑ったクレアが、パン!パン!パン!と、まるで小虫を追い払うように手を叩く。

その度に、敵が次々と昏倒していく。

それを、ランドルフ達は呆気にとられて見守るのだった。





<カル様、終わりました>

<お疲れさん。土産にマカロン買ったから楽しみにしてろ>

<えへへ、やった〜〜〜!>



クレアが満面の笑みを浮かべた。










「やはり事故に見せかけていたか……となると、ここを襲ったのは間違いなくギルバータの手の者か……証拠が欲しいな」

「さっき捕らえた奴等に吐かせるのは?」

「アジトを奇襲するならそれもいいですが、拷問による自白は証拠にはなりませんよ、殿下」




そう言いながら、カルがまるで手品のようにスッと梟の人形を取り出した。




「例の録画が出来る人形か」

「はい。出掛ける前、この屋敷の外に放っておきました。

賊が侵入したのは北側の窓。そこの鍵を開けたのはベルヘルムでした。

その後、なに食わぬ顔で自分の部屋に戻り、賊が侵入するや抵抗する事なく拘束されてます」

「自作自演か」





ランドルフが腕を組んで考えに耽る。

が、それも束の間……直ぐに目を開けた。




「君の意見を聞くのが手っ取り早いな。どうするのがいい?」


「ランドルフ卿は屋敷の者達を一堂に集め、ベルヘルムの手引きした映像を見せてやってください。王族殺しは、それに加担していただけでも大罪です。間違いなく寝返るでしょう。護衛はボッシュ殿とゲイツ殿で」


「分かった」


「ケッセルリング」

「はい!」

「捕らえた者達の尋問を頼む。と言っても、雇い主なんかストレートに聞くなよ? 相手はどう見てもレーベンハイト家の剣士だ。絶対に答えん。聞きたいのは、なぜランドルフ卿に危害を加えようとしたか、その理由だ」


「動機、ですね?」


「そうだ。それが分かれば、後はどうとでも推察できる」

「了解しました!」

「殿下、口は出さなくて結構です。ケッセルリングの後ろで睨みを効かせてやってください。それだけで効果があります」

「分かった」


「それで、クレアは……」

「やです! 今度はぜったい付いて行きます!」



カルがウラバス殿下と一緒に……と言うより速く、クレアがそれを否定した。

もうこれ以上、カルと離れ離れになるのが嫌だったのだ。



 

「まぁ……そうだよな。じゃあ、一緒に行くか」

「はい!」



あっさりカルから許可がでて、クレアの拗ねた顔がたちまち笑顔に変わった。




「ランドルフ卿、シャルドネをお借りします。この街は不案内なので」

「それは構わんが、どこに行くのかね?」

「上手く行くかどうかは分かりませんが、ここを襲った奴等がどこから来たのか、それを探ってみたいと思います。屋敷には既に結界を張ってあります。もう誰も入り込めませんので、ご安心ください」





そうして一時間半後。


執務室の中央に魔法陣が広がり、カル達三人が転移してきた。

既にウラバスとランドルフがいるのを見てとったカルが、「遅くなって申し訳ありません」と謝罪する。




「いや、私も今さっき戻ったところだ。気にしないでくれ。それで? 分かったのかね?」

「その前に……」



そこで言葉を切ったカルに代わり、クレアが前に出た。

両手で大きな紙袋を抱えている。



「皆さん、お腹が減ったでしょう? ご飯を買ってきました」



そう言って、クレアがにっこり笑った。







「さて、それでは情報共有といこうか。ケッセルリング、何か聞き出せたかね?」



クレアが食後のお茶の準備に立つと、ランドルフが早速尋ねた。



「はい、ランドルフ様。奴等のリーダーの名はジャンリュッケ・アズホール。

ペンシルバール家の騎士団隊長で、どうやらギルバータ卿への恩義に報いる為、ランドルフ様を襲う計画を立てたようです。

こちらから聞く前にペラペラと喋ってくれました」

「自ら計画を立てたと言う訳か」

「はい」

「殿下、洗脳の可能性は?」

「洗脳魔術がどういったものかは分からないが、彼等の魔力は至って平穏だったな」

「なら洗脳ではありませんね。となると、レーベンハイト家の返上に伴いペンシルバール家をランドルフ卿が取り潰す、或いは領地を全て没収する……そう吹き込んだ奴がいるという事ですね」

「そうなるな。だが、そこまでは聞き出せなかった」

「お気になさらず。もう見当は付いてますので。それで、ランドルフ卿の方は?」


「映像を見せてランプの仕掛けの話しをしたら観念したよ。ベルヘルム他、メイド達の証言も得た。馬車に仕掛けをしたのはギルバータ召し抱えの魔術師だ」

「ほぅ、そこまで? なら、必要最低限の者達を残して、残りはどこか安全な場所に逃がしておきましょう。でないと、次に狙われるのは屋敷で働く者達です」

「そうだな。それで? シリング殿の方は?」


「はい。例の賊ですが、シャルドネ曰く、街の商人、ベン・ハーゲンとかいう者が手引きしたようです」

「どうやってそれを?」

「精霊に尋ね、奴等がどこから来たのか尋ねました」

「精霊?」


「本当です」



怪訝な顔を浮かべたランドルフがチラリとシャルドネを見ると、シャルドネが真面目な顔で頷いた。

どうやら、本当に精霊から聞き出したらしい。



「信じられんが、そうなんだろうな。それで?」


「ベン・ハーゲンの書斎から、本物の帳簿を発見、拝借してきました。これがそうです」



カルが差し出した冊子をランドルフが受け取る。

どこから取り出したかなんてもう、些末な事で驚きもしなかった。



「これが本物という証拠は?」


「引き出しにあった帳簿には、ここ数年、鉱山の上がりが少なく記載されてます。おそらく、屋敷に残った財貨に合わせて調整したのでしょう。そしてこちらが鉱山の山師が書いた出荷票の写しです」




そう言って、今度は数枚の写真をテーブルに広げた。

それを手に取ったランドルフが目を丸くする。

初めて写真を目の当たりにして驚いているのだ。




「これは? 手で写したものにしては、かなり精巧だが……」

「写真というものです。ありのままの姿を写し撮る事ができます」


「ランドルフ様、これで撮ったんです! 凄いんですよこれ! シリング様から頂いちゃいました!!」




シャルドネがバックの中から『チェキと写ルンです!』を取り出して自慢気に見せた。

どうやらカルに譲って貰ったらしい。

そのはしゃぎぶりを微笑ましく思いながらランドルフが写真と帳簿を見比べる。



「ふむ……確かにピタリと合うな」




それはつまり、ここにあったのは偽物で、ハーゲンが持っていたのが本物。

そして、ハーゲンが本物の帳簿を持っていたという事は、ハーゲンがレーベンハイト領の財務に深く関わっていたという動かぬ証拠でもあった。

勿論、不正を働いていた側という意味で。




「ギルバータとハーゲンは仲間であると見て間違いないな」

「噂ですが、ギルバータ卿はかなり羽振りの良い方のようですね。それもここ数年。

そして、ハーゲン商会もまた数年前から規模が大きくなっています。商いだけでなく、土地等の不動産事業にも手を伸ばしてるようです。それに合わせて私兵も多数……」

「それも調べがついているのかね?」

「はい。表向きはハーゲン商隊の護衛と称してますが、実態は軍隊です。規模は三百人。全員、ハーゲン邸の敷地内に宿舎を与えられていました」

「ふむ……思ったよりも多い上に、常駐か。まさに軍隊だな。その財源もギルバータから流れていると?」

「商人に三百人の軍人は必要ありません。ギルバータの為の兵士と考えるのが妥当でしょう。そうなれば、その財源もギルバータと考えるのが必然かと思われます。

が、実はまだ、その証拠を掴めていません。明日また、調査に赴くつもりです」

「いや、その必要はない。ここまで状況証拠が揃えば充分だ」




そこで言葉を切ったランドルフがソファーに深く腰掛けた。

ちょうどクレアが帰ってきて、それぞれに紅茶を配り始めたのだ。

その間に、自分の考えをまとめておこうというのだろう。

案の定、紅茶を一口飲むとカルに尋ねた。

「シリング殿、君ならどうするね?」と。




「罪人に情は無用。証拠を突き付け、罪を悔い改めさせた上で厳正に処罰します」

「ふむ……ウラバス殿下は、どう思われますか?」

「シリング殿に同じだ。極刑以外にない」

「ランドルフ卿は違うのですか?」


「そうだな……因みに、クレア君はどう思う?」


「えっ!? 私ですか!?」


「そうだ。君の意見を聞きたい」


「私は、その……イスメラルダ様は今、アルベルト殿下とご婚約をされて幸せの真っ只中にいます。……そこに、その……お父様とお母様の事を再び思い出させるような事をするのは……」



言葉を濁すクレアを見て、カルとウラバスが 〝ハッ!?〝 と息を呑む。

罪を憎むあまり、当事者のイスメラルダの心情を全く考慮していなかったと気付かされたのだ。

それを見て、ランドルフがふっと笑った。

クレアの意見に心が動かされたのであれば、この二人は人の心というものを理解できる、という事だ。

ならば将来、二人は必ずや良い国王と宰相になれるだろう。

それが嬉しかったのだ。




「クレア君の言うとおりだ。私もイスメラルダ様がそれを望んでいるとは思えん」


「はい。クレアのおかげで、俺もそれに気付きました。前言を撤回します」

「……そうだな」


「よろしい。では事を荒立てないよう、不問としましょう。勿論、屋敷の者達を始め、誰もが罪に問われない形で」


「はい」


「だが、罰は降します!」




気落ちする二人がバッと顔を上げてランドルフを見た。

何だか言ってる事がチグハグだったからだ。




「どうするのですか?」

「シリング殿、君は転移魔法が得意だったね?」

「はい」

「人知れず宝物庫に侵入し、溜め込んだ財宝等を全て持ち去る事は?」




ランドルフがニマリと笑う。

それを見てカルも気づいたのだろう。

同じようにニヤリと笑った。



「なるほど。朝飯前です」

「ではそうしよう。殺しはせんが、一文無しになって路頭に迷ってもらう。

レーベンハイト領を縮小してギルバータに与えるという案もあったのだが、勿論却下だ。

領地は王国の直轄地とし、全ての役職を解いて、今後一切、鉱山の運営にも関わらせないようにしてね。これで手打ちとしよう」

「ベン・ハーゲンとかいう商人の方は?」

「金の切れ目が縁の切れ目と言うしね。後は自ら顎で利用していた正義の味方達が天罰を下してくれるだろう。

使用人達は全員解雇して放逐とする」





そう言って、ランドルフは楽しそうに笑うのだった。









「はぁ〜〜〜! もう、疲れました〜〜〜!」




レーベンハイト家の本邸。

夜も更け、カルとクレアに充てがわれた部屋へと二人が入った瞬間、クレアが待ち切れないとばかりカルの背中に抱きついた。

何せ、朝にレイゼバッハ大使館に集まり、カルのゲート魔法でヴェラ・イルカ、リッテンバウムと移動し、行く先々で賊に襲われたのだ。無理からぬ事だろう。

それに、なにより……、



「だいたい、あんなの私のキャラじゃないですよぉ〜!」



クレアが不平満々な顔で頬を背中にすりすりと擦りつける。

カルに抗議しているのだ。

なぜなら、


『俺達は薔薇の騎士団の代表だ。常にクールに、そして賊には圧倒的な力をもって対処する。できるな、クレア?』


と、カルに念を入れられていたからだ。


そう。

ここに来てからのクレアのデキる秘書っぷりは、これ、みなカルの要望だったのだ。

そんな無理なキャラを演じさせたと分かっているだけに、カルは人目のなくなった今は、クレアを甘えさせてやるつもりだった。




「分かった分かった。ほら、マッサージでも何でもしてやる。疲れたのは腕か? 足か?」

そう言って、カルがクレアをひょいと抱きかかえる。すると、



「かお〜〜〜!」

と、カルの首に手を回しながら、クレアがにへらと答えた。




「顔かよ」


笑いながらソファーに腰掛けたカルが後ろからクレアを抱きしめる。

そして両手でほっぺを摘むと、うにゅー!と左右に引っ張った。



「う〜〜〜っ! こんなのマッサージじゃないですよ〜〜〜!」

「いや、マッサージだろ」

「ちがいます〜〜〜! もう……」




そう言ってクレアはカルの右手を握りしめると、自らの胸にスッと誘った。

カルの掌がクレアの乳房をそっと包み込む。

そこに自分の両手を重ねる。

それはもう、幸せいっぱいな顔で……。




「カル様……?」

「なんだ?」

「手つきがエッチぃです」

「無茶言うな」



カルが苦笑いを浮かべる。

こんな状況にされといて黙ってる男などこの世にいない。

まぁ……クレアも苦言を言ってる訳でなく、ただ単に甘えているだけなのだろう。

その証拠に、カルに凭れながらくすくすと笑っていた。




「あんなに離れ離れになったの、初めてですね」

「そうだな……」




カルに抱かれたあの日から、クレアの日常はカルを中心に回り始めた。

学園はもちろん、ご飯もお風呂も常に一緒で、二時間以上離れ離れになった事はない。

それだけに、いくら誘いとはいえ、半日近くもカルと別行動をしたのが耐え難かったのだろう。

それがこの異常な甘えっぷりに現れていた。

そして、そんな一途なクレアをカルは誰よりも愛しく思う。

滅茶苦茶にしてやりたいほどに……。



カルがクレアの腰をスッと抱き寄せた。

すると、クレアはキスをおねだりするように首を傾げ、そっと瞼を閉じるのだった。









ヴェラ・イルカにあるレーベンハイト邸。

皆が寝静まった夜の一時過ぎ。

それまで眠っていたレンレンカブレがピクリ!と目を覚ました。

屋敷の周りに張っておいた警戒エリアに何者かが侵入したのだ。




<リン、来たのダ>

手早く着替えながらレンレンカブレが念話を行う。すると、



<準備できてる>

と、すぐさま返事が返ってきた。



<へ……? ずいぶん早いナ……>

<来る気がしてたから、起きてた>

<真面目ダなぁ……>



レンレンカブレが苦笑いを浮かべる。

さすがリンベルと感心したのだ。






そんな準備万端な屋敷を伺う多数の人影。

なんとギルバータが集めた人数は三十人にも及んでいた。

その誰もが一癖も二癖もある荒くれ者達だ。

それらが夜陰に紛れ、一斉に塀を乗り越え……、



「なに!?」



……たところで、我が目を疑った。

塀を飛び越えた筈なのに、なんと目の前にその塀が聳えていたのだ。

しかも、その向こうには屋敷の壁が見える。

どう見ても、ここは敷地の外だった。

リーダー格の男、ジョルダがクイッと顎をしゃくる。

すると頷いた部下の一人が塀に飛び乗り、飛び越えて……、



「ーーーッ!?」



ジョルダの目の前に着地した。




「結界が張られてるな……」

「こんなの見た事ねぇぞ?」

「おい魔術師、これ何とかしろ」

「何とかって……こ、こんな複雑な魔術、直ぐには……」

「ちっ!」

「どうしやす?」




「どうもこうもない。もうあなた達はお終い」

「誰だッ!?」

「知る必要もない」




近づいてくる人影を見て、男達が目を見張った。

相手は女。

鎧を着ているとはいえ、たった一人の女だったのだ。

だからだろう。途端に男達の心には余裕が生まれた。




「おい、あれって……嬢ちゃんの御学友とかいう奴じゃねえか?」

「ふっ……なんだ、自分からヤられに来たのか?」

「せっかちな女だぜ」




そう言って、男達がニヤニヤと笑いだした。

こちらは腕利きが三十人。

対して、相手は女が一人。

これでは負ける道理がない。

だから女を組み伏せ、犯す事しか考えていないのだ。




「下品な目……」



汚物を見るような目で睨みながら、リンベルが『業火炎帝剣』をスッと引き抜いた。

そして、無造作に振り払う。



「「ぎゃあ!?」」



たったそれだけで、ジョルダ他、数人の男達の膝から下が切断され、地面へと転がった。



「な、なんだ……?」

「嘘だろ……?」

「ま、マジかよ……」


「私に色目を使ったこと、後悔させてあげる」




直後、驚愕していた男達の表情が恐怖に凍りついた。









「あレ? もう終わっちゃったのカ?」




五分後。

レンレンカブレが己の張った結界に転移してくると、既に戦闘は終わっていた。

よほどムカついていたのだろう。

誰も彼もが腕や足、或いは両目を斬り裂かれて地面でうめいていた。



「まぁ、雑魚だったから。それより、どう?」

「大丈夫。カシムさんが、全部引き受けてくれルそうダ」

「なら良かった。じゃあ、レンレン……これ、お願いできる?」

「任せておくのダ!」



レンレンカブレが自信満々に杖を掲げる。

すると半死半生の男達は次々とランドルフ邸へと転移されて行くのだった。









それを暗闇からじっと見つめている者がいた。

黒いローブとフードで面体を隠した男だ。

その男は襲撃した者達全員がどこかに転移させられたのを見届けると、自らも転移してその場を離れた。そして、



「ギルバータ様、夜分に申し訳ありません。火急にご報告したい事が……」



転移したのはギルバータの屋敷、その寝室だった。



「パールダインか? どうした?」

「それが……」

「……ま、まさか!?」

「はい、どちらも失敗してございます」

「ランドルフも? イスメラルダもか?」

「はい。しかも、ヴェラ・イルカに至っては、全員生きたまま捕縛されております」

「なんだと!? で、では……足がつく可能性も……?」

「はい、まず間違いなく。いかがいたしましょう?」

「いかがいたすもあるか!! 私は直ぐに母上様のところに行ってくる」

「では……?」


「ああ、あちらに移る。準備しておけ!」


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