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愛と正義の魔王様  作者: たじま
13/18

13、甘え上手な魔王様 〜ちょっと寝ぼけただけだ〜



「シリング君、クレアちゃん、やっほー!」

「あ、スレンダさん!」




オープンキャンパスも間もなく終わろうとしている午後三時過ぎ。

カルとクレアがテラスの片付けをしていると、魔動キックボードに乗ったオレンジ髪の女性に声を掛けられた。

満面の笑顔で手を振る、白地に黄色の制服を着た魔法工学科の生徒。

それはカルとS&Mカンパニーを共同経営している、スレンダ・メロディーラインだった。

短いスカートなのに平気な顔で柵に登ってきたが、これでも立派な貴族の娘だ。




「う〜ん! クレアちゃん、可愛いねぇ! シリング君も似合ってるし。うんうん、みんな青春してて結構結構!」

「一つしか変わらんのに人生の先輩面をするな」

「あはは……まぁ、私の人生にはそういうの無いからさ、他人ごととはいえ何か嬉しいんだよ。で?二人して片付けの最中?」

「はい。さっき最後のお客様も帰られたので、私達はテラスの椅子とテーブルの整理整頓を」

「そっかー。大盛況だったもんね、ここ。映画の方も凄かったけどさ」

「見られたんですか?」

「見たよー。もう感動! 凄いね、あのバトル。みんな呆気に取られて、最後は拍手喝采の大歓声。あれもシリング君の魔道具なんでしょ?」

「商品化を模索してるなら諦めろ。あれは俺の膨大な魔力リソースを使えるリンだからこそ出来た芸当だ。一般人には使えん」

「な〜んだ、そっかー。残念。ところでそのリンちゃんは?」

「中で嬉しさと哀しさの同居した悲鳴を上げながら、テーブルにかじりついてる」

「嬉しさと哀しさ?」

「寄付金が200万ベルを超えそうでな」


「200万ッ!?」


「ああ、それが嬉しい悲鳴。そして映画収入と喫茶店の会計報告書を作成しなきゃいけないのが哀しい悲鳴だ」

「笑いながら「にゃーーーッ!!」て奇声発してます」

「完全に眼が逝ってたな」

「あはは、それは大変そうだね」



「カル! クレア! こっちは終わりそうかい? って……メロディーライン?」



「やっほー! 久しぶり〜、アラン君!」

「久しぶりだね。しかし、珍しい組み合わせ……と言いたいところだけど、カルと一緒に会社を経営してるんだって?」

「クレアちゃん達も一緒にね。ごめんね、片付けの最中にお邪魔しちゃって」

「構わないよ。もう殆ど終わってるようだしね」

「それより聞いたよ? 前代未聞の寄付金集めたんだって?」

「ああ……殆どは映画の収入だよ。みんなリンベルのおかげだね」

「じゃあ、これから盛大に打ち上げとか?」

「まさか。僕を含め、みんなクタクタだよ。今日はこのまま解散さ」

「あはは、慣れない接客業だったもんね。お疲れ様。じゃあいつまでも邪魔してちゃ悪いし、私もそろそろお暇しようかな。そんじゃあ、またね〜!」

「はい」



そう言って手を振ると、メロディーラインは魔動キックボードに飛び乗って去って行くのだった。



「あれもカル達が作ったのかい?」

「ああ。マペットと名付けてたな」

「マペット?」

「魔力で動く、ペットのような乗り物だからマペットだそうだ。まだ試作段階で走行距離が少ないが、まぁ……学園内を走る分には充分だな。もっとも貴族の娘が乗るには些か上品さに欠けるが」

「はは、彼女は気にしないよ。昔からそうさ」

「知ってるのか?」

「まぁね。幼馴染みたいなもんさ」

「へぇ……団長の口から、幼馴染なんて言葉が出るとは思いませんでした。……ひょっとして?」

「相手が女性だから誤解させちゃったかな? いちおう言っておくと、ダグラスとウォルターも幼馴染だよ」

「あ、そう聞くとただの幼馴染に聞こえてきました。すみません、変に勘ぐっちゃって……」

「別に気にしてないよ。それじゃあ、中に入ろうか。みんな待ってる」









「それじゃあ、みんな……今日はお疲れ様」

「「お疲れ様です」」




アランの挨拶に皆が笑顔で答える。

そこにはカル達席次持ナンバーズちはもちろん、学園の警備に当たっていた全団員、そしてカフェの手伝いに駆り出されたバルビエッタ達の姿もあった。

大変な一日だったが、それだけにやり遂げた感が皆の表情に現れている。




「さっき聞いたけど、今年のフェスティバル入場者は過去最多だったそうだ。

にもかかわらず、何の問題も無く終える事ができた。

これは単に、みんなの奮闘のおかげだと思っている」


「「はい!」」



尊敬するアランに褒められ、団員達が嬉しそうに返事をした。




「また学園騎士団アカデミー・ナイツカフェ、そして映画の方も大盛況だった。

集計はまだだけど、過去最高額の寄付金は確実だろう。僕も鼻が高いよ。

そして急な依頼にもかかわらず、最後まで手伝ってくれた、バルビエッタ、アルバータ、エレノア、マルグレーテ、カフェがトラブルもなく終える事ができたのは君達のおかげだ。

団を代表してお礼を言いたい。ありがとう」


「お役に立てたのなら幸いです。またなにかありましたら、遠慮なくお声掛けください」


「ふふ、ありがとう。その時はお願いするよ」

「はい」

「さて……話はこの辺にしておこうかな。みんな疲れてるだろう、これで解散とする。

今日はゆっくりと身体を休めてくれ」



「「はい!」」






「リン、これからますターの家で続きやるのか?」

「うん。手伝ってくれるって言うから、お言葉に甘えて。たぶん遅くなるから、ごはんは要らない」

「分かった。じゃあ、バルビー達と先に帰ってるのダ」

「では、カル様……これで失礼します」

「ああ。ホントに助かった。ありがとう」

「ふふ、こんなの大した事ではありません。ではこれで失礼します」

「ますター! クレア!また来週なのダ!」


「ああ」

「またね、レンレン」




そうして手を振りながら皆が帰って行くと、カルがクレアとリンベルを振り返った。




「じゃあ、帰ってとっとと終わらすか」

「そうですね」

「よろしく」








「リン、集計の合わない原因が分かったぞ」

「ホント?」

「ああ。ケーキセット三つとあるが、クッキーセットだろう。書き間違いだな。これでどうだ、クレア?」

「カル様、正解です。レジの集計、合いました。これで喫茶店終了です!」

「あとは……映画の半券まとめるくらいか。クレア、喉が乾いた。すまんが紅茶のおかわりをくれ」

「はい」

「ねぇ、カル……これ、先週のカフェのランチ代が経費に入っちゃってるけど?」

「案出ししてたんだから立派な経費だ。ミーティング代って書いておけ」

「デザートまで食べたのに?」

「糖分は必要だ。気にするな」

「ふふ、分かった」

「よし、俺の方は終わったぞ。そっちはどうだ?」


「この雑費入れれば…………終わった〜〜〜!!」




書き終わると同時にペンを放って大きく伸びをする。

元々計算事は得意だし、学園騎士団アカデミー・ナイツで会計係もしているリンベルだが、如何せん数が多すぎた。




「お疲れさん」

「お疲れ様、リン。思ったより早く終わって良かったね」

「うん。二人のおかげ。ホントありがと」

「ふふ、どういたしまして。はい、どうぞ」




そう言ってクレアが紅茶を差し出した。

それを受け取り、一口飲んでから「はぁ……」と大きく息を吐く。



「……やり遂げた後のお茶が美味しすぎる」


「それにしても、カル様が作った会計報告書、とても見やすくて分かりやすいですね」

「それ! ホント助かった!」

「そうか?」

「秀逸。収入と支出が一目で分かるし、予算額と実際の掛かった金額を並べて記載することで、来年以降の参考にもなる。ぜひ学園騎士団アカデミー・ナイツの会計報告にも使わせて」

「別にかまわんが……」

「これも竜の叡智なんですか?」

「そんな大層なもんじゃない。前世での経験だ」

「それって、転生前の?」

「ああ。部長時代、会計報告するのに使ってたテンプレートだ」

「部長?」

「まぁ、団長みたいなもんだ。それより、リン……結局いくらになったんだ?」

「売上?」

「ああ」

「ふふん、なんと純利益が221万2000ベル」

「凄い!?」

「まぁ、映画の作成費用はタダだしな。ショート映画だから回転も早いし」

「一番はクレアが大講堂引き当ててくれたから。一回四百人は大きい」


「えへへ……」




クレアがニコニコ笑顔で首を傾げた。

カルに良い子良い子を要求してるのだ。

その頭を優しく撫でながら、カルが四枚の封筒を取り出し、そしてスッとリンベルの前に並べた。



「なに、これ?」

「バルビエッタ達に渡してくれ。テラスで撮った記念写真とバイト代が入ってる」

「バイト代?」




その一つを手に取ったリンベルが、中を確認して目を丸くする。30000ベルも入っていたのだ。




「いいの?」

「大した休憩もなしに5時間拘束し、おまけにコスプレまでさせたんだ。妥当な額だろ。ちゃんとアランの許可も貰ってる」

「結局、最後まであの格好で手伝って貰っちゃいましたもんね」

「評判も良かったしな」

「ふふ……分かった。渡しとく」

「それと……これはアルバータにだ。こっそり渡してやれ」

「こっそり?」

「店内で撮ったウォルター先輩とのツーショット写真だからな」


「は?」


「うわぁ!? 二人とも、とっても良い笑顔!」

「片付けの最中なんだが、良い雰囲気だったんでな。少しハイトーンだが、それだけに二人が際立って見える。周りには誰も写ってないし、我ながらベストショットだ」

「きっと喜びますよ、カル様」

「ああ」



「ねぇ、カル?」



「なんだ?」

「アルバータって……そうなの?」

「まぁ、クレアの勘だけどな」

「でも間違いないと思うよ〜?」

「そうなんだ……? 全然気づかなかった……。でも、なんか意外。アルバータはクールだから、男に興味なんてないと思ってた」

「アルバータだって女だ。別におかしな事はあるまい。

加えて、うちの学園は国中から優れた者を集め、掛け合わせて優秀な子供を産ませる為の、謂わば国営の合コン会場みたいなもんだ。

ウォルター先輩のように強く、そして優しい男を見れば、自然と好意を寄せる環境にある」

「あそこをそんな不埒な場所だと思ってるのは、たぶんカルだけだと思う」

「そうか?」

「うん、そう」

「まぁ、それはそれとして……リン、後でアルバータの反応聞かせてね」

「ふふ、分かった」



「さて、腹が減ったな。そろそろ飯にするか。お前達はゆっくりしてろ。今日は俺が作ってやる」


「えっ!?」

「あの……いいんですか? カル様もお疲れでは……?」


「中に外にと忙しく立ち回っていたお前達程じゃない。それにリンとの約束もあるしな。と言っても、簡単な物しか作れんから期待はするなよ?」




そう言ってカルがエプロンを掴んだところで、ふと気づいた。

リンベルがじーーーっ!とカルを見ている事に。




「どうした?」

「カルに、一生に一度のお願いがある」

「なんだ、改まって」

「ここに洗濯に持ち帰った執事服がある」

「……なんとなく察したが、いちおう聞いておこう。それで?」

「これ着て、ご奉仕して欲しい」

「…………」

「…………」

「……まぁ、制服が汚れないからいいか」



「やったーーーーーーーーーッ!!」

「きゃあ!?」




二人が両手を上げて喜びを顕にする。

こうして執事服にエプロン姿のカルが料理をする事になった。





にこにこ。

にへらー。

「…………」


にこにこにこにこ!

にへら〜〜〜〜〜〜!

「……お前達」


「お嬢様でお願い」

「しま〜す」


「お嬢様?」

「なんですか?/なに?」

「気が散るんですが?」


「え〜〜〜、無理ですよぉ」

「うん、無理。カルだって、目の前でクレアが水着で料理してたら頬が緩むでしょ?」

「そうですよ〜」



<水着ってなんだ。お前等、頭お花畑になってるだろ?>

……と冷静にツッコもうとしたカルだったが、二人の幸せそうな顔を見て思いとどまった。


<まぁ、俺もやってることか……>



と、クレアのエプロン姿に見惚れてる普段の自分を思い返し、ふっと自嘲するカルだった。







「お待たせいたしました、お嬢様」

(にこり)


「きゃあ!?」

「あぁ、これがカルのご奉仕……心が満たされて逝く……」




「今日のメニューはナポリタンと卵のスープ、それとトマトと玉ねぎのサラダになります」

「ナポリタン?」

「茹でたパスタに、オイルで炒めた玉ねぎとソーセージとベーコンを合わせ、後はぶつ切りにしたトマトと砂糖、それとこの前弊社で発売したケチャップとコンソメの素を振り掛けて軽く和えた簡単レシピです。

お口に合えばいいのですが……って、そろそろ素に戻っていいか?飯が食えん」



「あはは……はい、ありがとうございました」

「うん。堪能した。ありがと、カル」

「どういたしまして。じゃあ、食うか」



そう言って笑うカルだった。



「「美味しい!!」」

「だろ? 」







食後。

片付けの手伝いを終えたリンベルがリビングに戻ると……カルがソファーでうたた寝していた。



<よく寝てる……>



隣に座って顔を覗き込みながらクスクスと笑う。

口では平気と言いながら、やはり疲れていたのだろう。

すると、



「……クレア……すまん……寝る…………」

<ひゃッ!?>




リンベルがビクリ!と固まった。

なんと寝ぼけたカルがソファーの外に足を投げ出し、そのままリンベルの膝に頭を乗せてきたのだ。



<あわわわッ! どど、どうしよ!?>

とリンベルが慌てふためいていると、



「しーーーッ!……カル様、起きちゃうよ?」

とクレアが耳元で囁いた。



「やっぱり疲れてたんだね。リン、悪いけど、そのまま膝貸してあげて」

「え!? べ、別に良いけど……良いの?」

「うん、お願い。 じゃあ、私……お風呂入ってきちゃうね」




そう言ってクレアはにっこり笑うと、そのままリビングを出て行ってしまうのだった。



<マジか……>



音も立てずに閉まった扉から視線を戻し、再びカルの寝顔を見る。

カチカチと時計の音だけがやけに響いた。



<こんな無防備なカル……初めて見た>



普段の隙のない、完璧な所作のカルとのギャップに思わず頬が緩む。

自分はカルの恋人でもなんでもないが、膝枕で寝息を立ててくれるくらいには親しくなれた。

それがたまらなく嬉しかったのだ。


そのままどれくらい眺めていただろう? 

初めこそ緊張で凝り固まっていたリンベルだが、それも次第に緩み、今は余裕をもってカルの寝顔を眺めていた。




<クレアはいつも、こんなことしてるのかな……?>



そう思いながら愛しそうにカルの頬を撫でる。


パチリ


カルが眼を覚ました。




「ごめん、起こしちゃった?」

「…………リン?」

「正解」

「…………」

「……どうしたの?」



「うおッ!?」



寝ぼけ眼から一転。

膝枕をさせていたのがクレアではなくリンベルと知って、カルが慌てて飛び起きた。

それを見てリンベルが可笑しそうにくすくすと笑う。



「な、なんで俺……リンで?」

「カルが寝るって言って倒れてきたから」

「お、俺が?」

「うん」

「その……なんだ……すまん! クレアと勘違いした!」

「ふふ……別に膝を貸すくらい構わない。それより、良く眠れた?」

「そ、それはまぁ……おかげさまで…………」

「ふふ……なら良かった。でも、……ふふ……バツの悪そうなカル、新鮮」

「し、仕方ないだろ……」



「あ、カル様、起きました?」




そこにバスタオルを頭に巻いたクレアがリビングへとやってきた。




「すまん。寝ぼけてリンの膝を借りてたようだ」

「知ってますよ。起こしてしまうのもなんでしたので、私がリンに膝枕をお願いしました」

「そうだったのか」

「はい。ところでカル様?」

「なんだ?」

「私とリン、どっちが寝心地良かったですか?」


「の……ノーコメントだ……」




困ったようにそっぽを向くカル。

それを見て、クレアとリンベルは顔を見合わせ、心底可笑しそうに笑うのだった。







「なんだ、帰るのか?」

「明日はお休みだし、泊まってけばいいのに」

「それはそれで魅力的だけど、やっぱりなんだから帰る」

「そうか? まぁ……年頃の女が男のいる家に泊まったら、それはそれで変な噂になるかも知れんしな」

「それは気にしないけど……でも、ありがと。じゃあ、バイバイ」




そう言ってひらひらと手を振りながら、リンベルはカルの開いたゲートへと消えて行った。





「気を使わせちゃったんでしょうか?」


ゲートが閉じるとクレアがポツリと呟いた。



「まぁ……気にしても仕方ないだろう。それに……おかげで今日もクレアとヤれる」

「え!? この流れで?」


「その前に……とりあえず風呂か」

そう呟いてカルがひょいとクレアを抱き上げた。



「私、お風呂上がり!」

「知らん。俺に浮気をさせた罰だ」




カルの首に手を回しながらも抗議の声をあげるクレア。

それには一切耳を貸さず、カルはクレアを抱いたまま脱衣所へと消えていくのだった。








その日の深夜ニ時。

皆が寝静まった真夜中のグリューネ邸の一室で、リンベルがパチリと目を覚ました。

肘を付いて身体を起こし、キョロキョロと辺りを見渡す。

もちろん誰もいない。

次いで枕元のカーディガンを羽織り、布団を抜け出してソファーへと歩み寄る。

置いてあったバックの中から梟の記録装置を取り出すためだ。

再び周りを見回して誰もいないのを確認すると、そそくさとベッドに舞い戻る。



実はリンベル、カルの脳内イメージ映像化装置を使い、こっそりともう一本映画を制作していた。


それはカルとリンベルが主演の……、と言うより、カルとリンベルしか出て来ない、イチャイチャで甘々な日常を描いた、ちょっとエッチなラブストーリーだった。(※18禁)



「施錠……よし!

窓のカーテン……よし!

誰もいない……よし!」




ゴクリと喉を鳴らしてから大きく息を吸い、念の為にもう一度周りを見渡してから梟の頭をポンと叩く。

すると梟の眼から光が発せられ、暗闇に映像が映し出された。

……が、



「……あれ?」



リンベルが首を傾げる。

なぜかいつまで待っても映像が映らず、映ったと思ったら何やら文字が浮かび上がったのだ。

その文字とは、



※この映像は出演者個人の同意を得ていない事、また性的に卑わいな表現を含んでいる等、ポリシー違反に該当する為、装置所有者の権限にて削除されました。

尚、著作権侵害の申し立ては一切受け付けておりません。



「かか、か…………」



突然ふるふると震えだすリンベル。

顔は真っ赤に上気し、恥ずかしさで涙まで溢れる。



〃出演者個人の同意を得ていない〃

〃性的に卑わいな表現を含む〃

〃装置所有者の権限にて削除〃



その文字が示す意味は……、



」か、カルに見られてた〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ッ!?」



リンベルの悲鳴が真夜中のグリューネ邸に木霊した。









同時刻。

カルの腕に抱きつくようにして眠っていたクレアが、突然ビクン!と眼を覚ました。



「どうした?」



クレアの異変を即座に察したカルが、そっと抱き寄せながら静かに尋ねる。

同時に部屋の周囲の状況を精査した。

特に不審な人物や魔術の行使された形跡はない。

となると、悪夢にでもうなされたか?

例えば、昔の夢を見たとか……。



「変な夢でも見たのか?」

「カル……さま……」

「安心しろ。俺がいる」



そう言ってクレアの頭を優しく撫でる。

怯え方が尋常でなかったのだ。



「いま、御神託があって……」

「御神託?」


「人が……人がいっぱい、死にます……」









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