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聖なる月 Der Heilige Mond  作者: Siberius
4/9

キャンプ

野原家の三人と、月奈はキャンプに行くことにした。

白いワンボックスカーに乗って、四人はキャンプ場のある熱実あつみ市へと急いだ。

「熱実に行くのは何年ぶりだろうなあ」

竜二が話を切り出す。

「そうね。ヒロが中学生のころじゃないかしら?」

「確かに、そのころ行ったような気がする。ってあんまり覚えてないな」

「ヒロといっしょにテントを建てた記憶があるぜ。はっはっは! ヒロったらよ、テントの建て方が全くわからなかったんだぜえ?」

「そりゃあ、初めてだったんだから、うまくできるわけないだろ!」

ヒロが竜二に抗議した。

「あれから何年もたっているからなあ。ヒロ、今度はうまくテントを建ててくれよ?」

「うっせ! そんな簡単にできたら苦労しないっての!」

「センスだよ、センス! センスがある奴はすぐにテントを建てられるんだよ」

「悪かったな、センスがなくて」

「まあ、実際の話として、テントは俺が建てるから、ヒロはドリンクでも運んでくれよ」

「わーったよ。何かできることはするさ」

「月奈ちゃん、さっきから黙っているけどどうかしたの?」

「い、いえ、別に。私は普段からこんな家族で出かけるなんてことがなかったものですから、少し、緊張しちゃって」

「あれ? 月奈ちゃんのご両親って? 綾崎部長の?」

「ああ、俺の会社の部長で、俺の上司にあたるな」

「ところで、どうして月奈はうちに来たんだ?」

「それはだな、月奈ちゃんもシベリウス教徒だろう? 通いなれた月河つきがわ市を離れるのは忍びないとして、月河市にやって来たウチが預かることになったんだよ」

「へえ、そんな理由だったんだ」

四人はたわいのない話をして熱実まで車で行った。

キャンプ場は木々でおおわれた中にあった。

「いやー、やっぱ、熱実は田舎って感じだなー」

「月奈ちゃん、女は野菜切りよ。手伝って!」

「あ、はい、わかりました」

「おーし! ヒロ、おまえはドリンクと重たいものを運んでくれ。俺はテントを建てる」

「わかったよ」

四人はバーベキューの用意をするため、それぞれ配置についた。

「月奈ちゃんは料理もできるのね。女子力高いじゃない。家でも料理はしていたの?」

「はい、最初はコンビニで買っていたんですけど、栄養の偏りを気にするようになって、それからスーパーに行くようになったんですよね」

「へえ……そうなの。料理ができる女はもてるわよ?」

「ヒロ君も喜んでくれますか?」

「あら? ヒロとはどこまでいっているの?」

「それは、まだ……」

月奈は困ったような顔をした。

「まだ?」

「あっ、いえ……」

月奈は赤面して下を向いた。

「青春っていいわねー! 若いってすばらしいわ」

瞳は野菜を切りながら、ほほえんでいた。

一方男子たちは……

竜二はテキパキとテントの骨組みを組んでいった。

それからテント本体を取り付ける。

ヒロは言われた通り、ドリンクや荷物を車から運んでいった。

ドリンクはコーラ、サイダー、アクエリアス、緑茶、ミルクティー、そして竜二の大好きなビールが入っていた。

竜二はテントを張り終えると、バーベキューの用意を本格的に始めた。

肉に、ピーマン、キャベツ、もやし、玉ねぎ、などを鉄版の上で焼いていく。

炭を置いて火を起こす。

ヒロはうちわを使って炭の火を強くしていった。

「おおー! 食材が焼けていく!」

「ヒロ、見てないで何か手伝え」

竜二が不満を漏らした。

「俺は火を強くするので忙しいっつーの! おやじこそ何かすればいいだろ?」

「まあまあ、二人とも!」

瞳がその場を鎮める。

「そろそろ、ソースを用意しますね」

「さすが月奈ちゃん、気がきいてるわね!」

しばらくすると食材に火が通った。

それぞれが食材を皿に乗せて食べる。

「うわー、うまそー! よく焼けているなー!」

「こら、ヒロ! 野菜も食べなさい! ほんと、いつまでたってもお肉ばかり食べるんだから」

「いいじゃんか。俺は肉が好きなんだから。あっ、もやしもいただくよ!」

「くあー! 一仕事した後のビールはうまいねえ!」

竜二が缶ビールを飲んだ。

「あっ、おやじ! ビールなんか飲んでいいのかよ!?」

「あー! 今日はもう車の運転する気はないからな」

「まあ、もし何かあったら私が運転すればいいしね。月奈ちゃん、食事は進んでる?」

「あ、はい。とてもおいしいです」

「よかったわあ。月奈ちゃんの口に合って」

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