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聖なる月 Der Heilige Mond  作者: Siberius
2/9

同居

「というわけで、月奈ちゃんが我が家にやってくることになりましたー! かんぱーい!」

と一人、大はしゃぎするおかん。

「まるで娘ができたみたいだな。はっはっは!」

おやじがビールに口をつける。

この二人はやたらテンションが高かった。

「竜二さん、瞳さん、ヒロ君、ふつつかものですが、よろしくお願いします」

月奈があいさつする。

正直、ヒロの心はやばかった。

なにせ、女の子と同居である。

気にするなということが無理だった。

ましてや、今の月奈はTシャツにショート・パンツというラフなかっこ。

しかも、女性の象徴がはっきりと自己主張している。

ヒロと月奈はビールは飲めないので、オレンジジュースを飲んでいた。

「ちょっと、ヒロ! 月奈ちゃんが同居するからって変なことを考えちゃだめよ?」

「何だよ、変なことって?」

「例えば、エッチなこととか」

「はあ!? なんで俺が責められるわけ?」

「あっはっはっは! 年頃の若造に、エッチなことを気にするなってのが無理だぜ。なあ、ヒロ?」

「うるせ、くそおやじ!」

隣では月奈がほおを赤らめていた。

「月奈ちゃん、ヒロが野獣化したら、いつでも私たちのところに逃げてきていいからね?」

「大丈夫です。瞳さん、ヒロ君は紳士ですから。ね、ヒロ君?」

「う!?」

月奈がヒロに同意を求めてくる。

ヒロだって年頃の男の子である。

そういうことに興味がないと言えばうそになる。

ましてや同居である。

いやがおうでも期待はしてしまう。

ヒロはそっぽを向いた。

「ああ、別に何もしないよ」

「ヒロ君もこう言っていますし、何かするときには必ず、紳士的にしてくれると思います」

「はっはっは! 紳士ってか! ヒロお、紳士的ならいやらしいことをしてもいいってよ? どうする?」

くそおやじが挑発してくる。

ヒロはそんな挑発には乗らずに。

「そうやってたきつけるなよ。俺と月奈は幼なじみというだけなんだから」

ヒロは思った。

幼なじみだからって特別な関係になれるわけではない。

「そういえば、ヒロは明日から聖月学院に登校する日ね。ヒロ、準備はできているの?」

瞳が尋ねた。

「え!? ヒロ君は聖月学院に通うの?」

「そうだけど、それがどうした?」

「私も同じ学校なんだ」

「そうなのか?」

「明日はいっしょに登校しようね、ヒロ君?」

「あ、ああ」

月奈はヒロの隣で満面の笑みを浮かべていた。


ヒロは聖月学院の制服に着替えて登校した。

隣には同じく聖月学院の制服を着ている月奈がいた。

聖月学院の制服は上が白、下が紺となっている。

ヒロには気になることがあった。

とにかく、登校中周囲からの視線があるのだ。

ヒロは顔をしかめた。

「なあ?」

「何?」

「なんだか俺たちは注目されてないか?」

「そうだね」

もっともヒロは思うのだが、これは月奈が注目されているのだ。

月奈はモデルと思えるほどの美少女だ。

スラっと伸びた身長に、ミニスカートからのびるなまめかしい脚、魅力的なバスト……

幼なじみの成長ぶりに、ヒロでもドキッとしてしまう。

ヒロは知らなかったが、月奈は聖月学院の中でもトップクラスの美少女だった。

そのため、月奈に視線が集まってきたのだ。

「じゃあ、俺は職員室に用があるから」

「ねえ、職員室の場所って知っているの?」

「いや、知らないけど……何とかなるだろ?」

「はあ、いいわ。私が案内してあげる」

月奈はヒロの手を取った。

そして強引にヒロを誘導していく。

ヒロの心はドキドキを感じた。

「あ、おい!」

周囲では女子たちが「キャー」などと甲高い声を出してくる。

どうやら月奈は気にしていないようである。

(少しは周りの目を気にしろよな……まったく)

ヒロは職員室で月奈と別れた。

教室に入ると、なんとそこには月奈がいた。

ヒロは驚いた。

月奈も驚いているようだった。

しかも、ヒロの席は月奈の隣だった。

聖月学院はシベリウス教系のミッションスクールである。

そのため、原則としてシベリウス教徒しか入学資格がない。

「よろしく、ヒロ君!」

「ああ、よろしくな、月奈」

最初の休み時間ではヒロと月奈は取り囲まれて、いろいろと質問攻めにあった。


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