炭酸
掲載日:2022/10/09
7月。
炭酸のような恋をした。
魔法がとけ、甘ったるい砂糖水となった炭酸水は炭酸と呼べるのか。
9月。
秋が寂しいのは、夏が終わったから。
秋が寂しいのは、恋の魔法がとけたから。
「なんか、変わった」
『そうかな』
変わったのは、貴方の所為なのに。
「今日先帰ってていい」
『わかった、部活頑張って』
慣れてしまった。疲れてしまった。
恋に浮かれ、浮遊していたあの頃とは違う。
「週末、」
『ごめん。用事あるから』
こんな私は傍から見れば薄情な奴なのだろう。
誰も、誰も何も言わない。
お姉さん、綺麗ですね
俺らとどっか行きません?
たのしいところ?
ええ、きっと気に入るはず
「____、?」
ああそんな、硝子のような瞳で私を見ないで。
綺麗な貴方が、汚れてしまうから。
貴方の恋の魔法も、いつかとける。
貴方はもう、必要ないの。
甘い炭酸水が、私を慰めてくれるから。
酸が抜けた炭酸水は私には合わないみたい。




