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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
外伝 ムーランティス大陸
99/130

*第97話 愛と青春の旅立ち

ゴホッ!(苦しい)ゴホッ!(・・・)ゴホッ!(苦しい・・・)

ヒュゥ~~~(痛い・・・)

ゲホゲホゲホッ!(目が痛い・・・)

ンヒュゥ~(い・・・)ゴホオッ!!(息が・・・)


雑居ビルの黒ずんだ廊下を這いずり、伊予はスタジオを目指した。

所々にがれた樹脂製の床材の剥離片ささくれで、

腕も足も傷だらけだ。


濃い煙で天井は見えない。

床の僅かに視界の保てる空間を頼りに、散らかった部屋に辿り着く。


グヒュ~~~(あった!これ)ゴホッ!ゴッ!(着たかったなぁ・・・)

オエッ!ゲェッ!(みんなにエロいって)スヒュッスヒュ~(言われたかったなぁ)


もう動けない・・・

最後に着る予定だった自慢の最新作を抱きしめ、静々(しずしず)と泣いた。

黒い涙が頬に一筋の白線をく。

挿絵(By みてみん)


「ゴホッ!伊予ちゃん!ゴホッ!ゴホッ!」

誰かの声が呼ぶ、そう呼ばれるのが好きだった。

将来は婚姻届けを提出する時に相手の姓を選び、

名を“伊予”に改名しようと本気で考えていた。


それを理解して呉れる人と結婚する。

なんなら相手は男でも良いと思っていた。

養子縁組すれば良いと。


一人・二人・三人。

伊予の元に集った彼らは、そこで力尽きた。


横井は伊予の手を握り締めて死んだ。

柿本は伊予にかぶさり死んだ。

寺島は伊予の太腿を抱いて死んだ。


伊予はまだ16だけど・・・死んだ。



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