表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第一部第一章 聖女が世界にやって来た!
9/130

*第7話 テクマクファザコン

精霊には幾つかの順位がある。

生活魔法と呼ばれる出力の小さい魔法を受け持つ、いわゆる“精霊”。

状態変化や空間制御などの特殊魔法や、

対象を破壊する攻撃魔法を可能にする“上級精霊”。

さらに限定が解除された魔法を発動できる“特級精霊”が存在する。


現状では唯一ルルナだけ。

また契約可能な親和性を有しているのもエルサーシアただ一人である。


あくまでも現段階では。


***


帰れませんでした・・・


それはもう大騒ぎになりました。

お祖母様は気を失われて救護室に運ばれ、

お父様は私を庇う様にして抱きしめ、

お母様は「まぁ可愛い!まぁ可愛い!」

と連呼しながらルルナの周りを回っています。


子供達は片隅に寄り集まり小声で囁き合い、

大人達が盾となって囲っています。


其方そなたは精霊なのか?」

「はい。私はサーシアの契約精霊ルルナです。」


両手でステッキを胸の前に持ち

小首を傾げてルルナは答えました。

あざといですわ~


「人型の精霊・・・こんな事が・・・」

お父様はかなり戸惑っておられる様ですわ。

次の行動を判断しかねておられます。


お母様は体をくねらせながら、

「まぁ!ルルナちゃんと言うのね!まぁ素敵!お名前も可愛いわ!」


徐々に近づきながら抱きしめるタイミングを計っていらっしゃいました。

このままでは埒が明きませんから私がどうにかしないといけませんわね。


「お、お父様・・・お城に帰りとうございますぅ。」


「あぁ、そうか、そうだな。

うむ、一先ず帰ろう。

母上は・・・いないか・・・

司教!司教はいないのか!」


「はい閣下!ここにおりまする!」


「我らは城に戻る。明日改めて参るゆえ良いな。」

「はっ!かしこまりました。」

「パトラシア、そなたは母上に付いて差し上げなさい。」


我に返ったお父様はやはり颯爽さっそうとして麗しく、

惚れ惚れ致しますわ。


お母様は名残惜しそうにでしたが、

すぐに居住まいを正しく直されお答えになられました。


「仰せのままに。」


***


気まずいですわぁ~


足早にお城に戻ったのは良いのですけれど。

お互いに無言で座ったまま・・・

挿絵(By みてみん)


元々無口な人でしたわ~

私も・・・


ルルナは私の横に座り腕に絡みつきニコニコとしているだけです。

黙っていないで何か話しなさいよ!


「こ、降霊の儀は私が最後で幸いでした。

親睦会は恐らくお流れで御座いましょう。

皆様にはお詫びをしなければなりませんわね。」


よしっ!なんとか話を切り出しましたわ!


「そうだな、詫び状を出して置こう。

改めて我が家の主催で開かねばな。

そなたは心配せずとも良いのだぞ。

ただ・・・その・・・驚いているのだ。

人型の精霊など前代未聞であるからな。」


ちらちらとルルナを見やりながらも努めて平静になさっておいでです。

はぁ・・・素敵ですわお父様・・・


「そうで御座いますわね・・・

その・・・ルルナは良い子ですのよ?」


信じて下さいませお父様!


「あぁ、もちろん分かっているよ。

だが中央や教会が黙ってはおらぬだろう。

必ずや口を出してくる。」


お父様は色々とご懸念がお有りの様です。


程なくして執事が戻って参りました。

お祖母様がお目覚めになられ、

体調も問題なく、こちらに向かっておられるそうですわ。


「ともかく、何も案ずる事はないぞ。

そなたにあだなす者はこの父が打ち捨てる。

ダモンのほこはダモンに従うのだ。」


「はい!お父様!」


あぁお父様・・・

今のはかなり来ましたわ・・・

ズシンと・・・お腹の下あたりに。


お母様とお祖母様がお城にお戻りになられると、

案の定、怒涛どとうのおしゃべりが繰り広げられて、

私は隅っこに追いやられ、

お父様はいつの間にか退室なさっており、

ルルナは・・・

スリープ状態ですわね。


ダモンの鉾・・・敗れたり・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ