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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第二章 風と共に去りぬ
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*第81話 時代遅れの喝采

その国が如何いかなる思想に基づき、

くのごとく法にのっとり、

人脈の枝を張り、

しこうして民衆を統治然歟とうちしからしむ


これを“国体”と言う。


この世界は基本的に封建社会である。

しかし絶対君主制とは言えない。


司法権は元老院に与えられていて、

教会がそれを保証する事で国王や皇帝の権力を制限している。


だからと言って民主的である訳では無い。

法治国家で在る事を要求するが、

それが悪法であっても教会は関知しない。


***


「なんでや!なんで仲間になって呉れんのや!」

「力に成って呉れるんちゃうんか?」

「ちゃんと頼んだんかぁ?」


レジスタンス“白い恋人たち”略して“シコタチ”。

そのアジトでスカーレットは糾弾きゅうだんされていた。


「いま説得しとるとこや!もうちょい待ちぃ~や!」


「ほんで、お前そのエロい恰好かっこは何や?」

「痴女か?痴女なんか?」

「乳首浮いてるやんけ!」

「う~わっ!ホンマや!エッロ~!」


「うるさいわい!ほっとけやぁ!

今からカチコミなんじゃボケっ!!」


そう吐き捨てるとスカーレットはボタンに跨ってゲートの向こうに消えた。


「あいつに任せて大丈夫なんか?」

「スカやん以外とは会うて呉れんのや、しゃぁ~ないわ。」

「あいつ見てたら遊んどるとしか思えんわ。」

「成果は上がっとるで、帝国はかなり焦っとる」

「まぁええわ、奴らの気ぃ引きつけといて呉れたら。」


表向きのデモ隊はカムフラージュだ、密かに武装集団を組織中なのだ。

精霊師のメンバーも順調に増えている。

少しだが未来の展望が開け始める予感に若者達の心は燃えていた。


「新しい国をワシらが作るんや!」


そんな中に一人だけ違う思いの男が居る。

###


なぁトム、チウキ村のネオミール覚えとるか。

あれは3年前や、

お前ゲライスの乗った馬車を襲撃して失敗したやろ。


そんで逃げる時、その子をおとりにして逃げたやろ。

何人も見とるんやで。

名前くらいは覚えとるやろ?


あの子な・・・

ワシの許嫁いいなずけやったんや。


ワシはな、

ガキンチョの頃から目立たん男やってん。

地道に生きるんが性におうとるんや。


似合いもせんことに無理してはしゃいだりせんのや。


それが物足りんかったんやろな、

村の集会所で演説したお前に惚れてもた。

あんたは時代遅れや言われたわ。


まぁその通りやわな。

それでも夢見てたんや、

あの子との暮らしを。


止めるワシを振り切って村を出て行ってしもた。

挿絵(By みてみん)


まぁ安心せぇ。

お前の夢が現実になるまで、ワシも協力するさかい。


あの子が見た夢でもあるしな。

そんでお前の指先が、その夢に振れた時。


その日をお前の命日にしたるわ。

夢の先にある景色を、お前には見せたれへんで。

それを見届けるんはワシや。

あの世であの子に話してやるんは、ワシの役目やさかいな。


###


「なんやお前ぇ!眠たいんかいな!」

「あぁ、昨日遅うまで起きてたさかいな。」

「寝不足はお肌の敵やで!早よ寝ぇ~や」


「あぁ・・・そうするわ。」




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