表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第一部第一章 聖女が世界にやって来た!
8/130

*第6話 君の名は

精霊教会の歴史は5千年前に遡る。


封印された大陸ムーランティスと、

失われた聖地モスクピルナス。

すべてはそこから始まった。


当時は各地個別に精霊信仰が土着していた。

精霊の姿は見えていたので、それを信仰の対象とするのは自然な成り行きだった。

しかしコミュニケーションを取る事は出来なかったので、

ただ崇め奉り、祈りを捧げるだけのものだった。


そこに現れた最初の転生者である4人の日本人が、

初めて精霊と契約して魔法を使えるようになった。

そして教団を作り人々に魔法を広めた。

呪文が日本語であるのはそう言うわけだ。

やがて宗教は統一されて今の精霊教会となった。

魔法の力はその他諸々の宗教を駆逐した。


今日はエルサーシアの降霊の儀が行われるのだが、

朝から生憎あいにくの雨天だった。

春とは言え肌寒く濡れた足先が冷えて

子供には辛い一日となった。


ログアード領都アセムのダモン教会。

その精霊殿前には、今日儀式を行う貴族籍の子供が集まっていた。


その中にはエルサーシアも居る。


親たちは講堂の中で待機し、親睦会しんぼくかいが開かれている。

誰もが興奮を抑えきれず紅潮した顔で、

これから出会う精霊に思いを馳せている。


顔見知りを見つけては話を弾ませていれば、

凍えた体もほぐれていった。


***


あれを言うのかぁ~

言わないとマズイよなぁ~


おそらく・・・

と言うよりもまず間違いなく今日、彼女と再会するでしょう。


もっと感動的に出会いたかった。


あの一行を見てからの6年間は思い出すたびに苦悶する日々でしたわ。

精霊文字も言語も日本語でした~

なんで~?


「エルサーシア・ダモン・ログアード」

司祭様から名を呼ばれましたわ。

いよいよ私の番が来た!


実はここの司祭様は私のお祖母様ばあさまですの。

イライジャ・オバルト・ダモン・ログアード前辺境伯夫人。


オバルト王家第二王女として生まれダモン家に嫁いだ、

現国王の姉君ですのよ。


「はい司祭様、どうぞ良しなにお願い致します」


「では参りましょう。

緊張してはいませんか?

お手洗いは済ませましたか?」


相変わらずの子ども扱いですわ。


「お気遣い痛み入ります。ご心配には及びませんわ」


「まぁ!さすがは私の孫娘ですわねぇ。

さぁさぁくと参りましょうね」


まぁここまで来てしまえば覚悟を決めるしかない。

やってやろうではありませんか!

本場の実力を見せて差し上げようではありませんか!


精霊殿の扉を開き中へ進むと

一段高く四角い祭壇がある。

胸に両手のてのひらを重ねて祝詞を唱える。


『貴方と私のぉ!

ラブリーエンジェルぅ! 

魔法少女はぁ!

俺の嫁ぇぇぇ! 

月に誓ってぇ~~~!

お仕置きよっ!』


ビシッと音がしそうなくらいにお仕置きポーズを決めて、

指先を精霊教のシンボルである三日月マークに狙いを定め片目を瞑る。


ビカッ!!!

「うぎゃっ!め、目がぁ~!目がぁ~!」

挿絵(By みてみん)

眼が潰れるかと思う程の閃光が三日月マークから放たれ、

顔を抑えながら悶絶していると懐かしい声が聞こえて来ました。


「ようやく会えましたね。どうですか?この世界は」


「どうもこうもありませんわよぉ~

なんですの?これはぁ~

羞恥しゅうちプレイですわよぉ~」


ようやく視力が戻って彼女の姿が見えました。


「マジカルプリンセス・ルルナですよねぇ・・・」

ロイヤルムーンステッキも装備した完全体。


深夜枠のオタク様ご用達アニメ。

過激な表現が問題視され、

児童ポルノ認定されて放送打ち切りとなったキワモノですわ。


「ルルナと呼んで下さいねサーシア」


色々聞きたい事も言いたい事も有るけれど、

今日はもう帰りたい・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ