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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第二部第一章 私たちの朝
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*第75話 需要と供給

愛情と憎悪、希望と絶望、求道と堕落、

これら人心の脈動を支配しているのが“執着しゅうちゃく”である。


執着は生命の活動に必須の働きである。

始めに執着ありき、執着から命は生ずる。

執着無き所には、また生命も無い。


諸悪の根源であり、同時に諸善の源泉でもある。


執着を如何にして自由自在とするのか?

それが人生最大の課題なのだ。


我が身独りで解決出来るものではない。

環境に左右されない者など居ない。


環境を整えなければ、自身の安寧あんねい覚束おぼつかない。

利己的に満ちる為には、利他的である必要がある。


ところがこれが極めて難儀なんぎなのだ。

自身の行動が結果的に利己的であったのか、

それとも利他的であったのか。


人知の及ばぬ所に答えが在る。


***


退屈ですわぁ~


朝は日の出前に起きて身支度を整えてカルアンを起こしに参りますの。

一緒にお庭に出てラジオ体操をしますの。

ミスター・ボージャンガルが“おはよう手帳”にハンコを押して呉れますのよ!


それからカルアンと教会までご一緒しますの。

カルアンは憲兵隊本部へご出勤なさり、私は朝の御祈りですわ。


ここ最近はいくさのせいで官も民もあわただしく、

聖女のお仕事は総て中止ですの。

軍隊の慰問のお話しはお断りいたしました。

面倒くさいですわ。


御祈りの後は何もする事は有りません。

早々に帰宅しますの。


はぁ~~~退屈ですわぁ~


「サーシア、暇そうね。此方こなたへお出でなさい。」

王后陛下からお声が掛かりました。


前国王陛下のご葬儀の時に、ゲートを使ってお迎えに参りましたの。

「まぁ!便利ね!私も欲しいわ!」

我が家とダモンのお城を繋ぐドアを御覧になられた陛下におねだりされて、

離れの一室を陛下専用に改装してハイラムのお部屋と繋ぎましたの。


「何か御用で御座いましょうか?」

おしゃべりのお相手は苦手ですわ~

其方そなたに会いたいと申す者が居るの。ハイラムで待たせて居るのよ。」


ハイラムにはダモンの軍団が待機中でしたわね。

ついでにお父様にお会いしに参りましょうかしら。

「左様で御座いますか、承知致しましたわ。」


***


いやぁ~困りましたわぁ~

いきなり土下座されましたわ~

引きますわ~

挿絵(By みてみん)


「な、な、何卒!何卒お力をお貸し下さい!聖女様!」

えぇ~っと、どちら様?


どうにか落ち着かせて自己紹介を済ませました。

バルドーのレジスタンスの方でしたわ。

スカーレット様とおっしゃいますの。


「うちらは平民やさかい力がおません。

わらにもすがる思いでハイラムにお願いしたら、

聖女様に会えるぅ言われて、

もう嬉し~て嬉し~て、こら夢ちゃうかな?

思て鼻の穴に親指突っ込んだら

涙ちょちょぎれる程痛うて痛うて、

こら夢ちゃうで~!思たらなんや怖なってもて


これは何時まで(えらいキンチョー)続きますの?(してもて、お腹)

話し終わるまで(ゴロゴロして来てガス)待たなければ(溜まってんの)なりませんの(かいなぁ~)

まだ一つも要件を(思てちょっと力入れ)おっしゃって(たら屁ぇ出てしもて、)いませんわね(う~わっ!)

まぁ別に用事が(ヤバイ!思て確認)有る訳では(したらちょっとだけ)ありませんから(実~出て)

宜しい(ましたわ、)ですけれど(すんません」)・・・)


「分かりましたわ。新しいパンツをご所望ですのね!」

「なんでやねん!・・・お願いしますぅ~」

なかなか良いツッコミボケですわ。


よくよくお話を聞いてみたところ、

バルドー内でのレジスタンス活動に力を貸して欲しいとの事でしたの。


「具体的には何を致しますの?」

「芥子畑の焼き討ちとか~」

「甘いですわね!」

「へ?」


私のやり方でと言う条件で、お手伝いする事になりましたの。


「それから」

「それから?」

「ちゃんとお風呂に入りなさいな、匂いますわよ?」

「え、えらいすんません・・・」


これで退屈から解放されますわ!




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