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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第二部第一章 私たちの朝
76/130

*第74話 デカシーランド

キーレント領はオバルト王国の最南端に在り、

北から砂漠地帯、サバンナ地帯

そしてバルドーとの国境でもある山岳地帯となっている。


キーレントがオバルトに併合されたのは約四百年前である。

それまではコラゴ帝国の名を掲げていた。


約七百年前、革命によってバルドーを追われたコラゴ王朝が北に逃れて、

この地に住み着き帝国を名乗ったのだ。


更に北上しようとオバルトに戦を仕掛けて返り討ちにされ、

王族の助命と貴族としての地位の保証を引き換えにコラゴの名を捨てた。


「話が違うではないか!剣もまともに振れぬ!

攻撃魔法も使えぬ!どこが軍隊じゃ!」

ドンと机を叩きモルトバ・キーレント辺境伯は

蟀谷こめかみに青筋を浮かび上がらせている。


「だからテロポンが在るのですよ、

剣よりも多くの敵をほふりますぞキーレント伯。」

対照的に落ち着き払うのは義勇軍司令官レイフィール・ガーレットである。

挿絵(By みてみん)


「キーレントでは無い、我らはコラゴである。」

怒りはそのままに、しかしその声は恨みにこもり低い。


「おぉ!そうでしたな!これは失礼を致しました閣下。」

これぞ慇懃無礼いんぎんぶれいの見本だ。


オバルト攻略の暁には領地の加増とコラゴ姓の復活、

大公家として準王族の身分を封ずる。

それが帝国との密約であった。


宙に浮いてしまった密約を確実にするには、

この戦で手柄を立てなければならない。

しくじれば一族は滅亡する。


敗残者の烙印を押され、それでも武の強化に努め国境を守って来た。

その挙句の果てがこの状況だ。


(この恨み晴らさで置くべきか!

特にダモンは許せん。

運が良かっただけの山猿ではないか!

聖女まで授かりおって!

見ておれ!

この戦に勝って我が後宮に放り込んで呉れるわ!)


「閣下!オバルト軍第一陣、トキオンに姿を現しました!」

辺境伯・・・いや、もう彼らはコラゴだ。


北の境トキオン砂漠。

いよいよ開戦だ。


「出陣じゃ!」

家紋である赤い薔薇の紋章が描かれた鎧に、

黒いマントをひるがえして、

モルトバ・コラゴは戦場へと向かった。


***


バルドー帝国に恭順きょうじゅんする7つの属国。

大陸の最南端デカシーランドと呼ばれる地域に寄り添う国々。


帝国の支配からの解放を求めて組織されたレジスタンス“白い恋人たち”。

力なき農民の集団ではあるが地道に賛同者を増やし、機をうかがって来た。

各地域の代表者達が集まり今後の活動方針を話し合っている。


ミリピッピ代表

 委員長トム・ヒーヤー

タランタ代表

 書記長スカーレット・コバラ

バズロニア代表

 副書記長ロバート・ロー

ケトラッキング代表

 書記カーネル・ヨンダス

ジョージャー代表

 宣伝部長カーン・コッフィー

チクサス代表

 工作部長スタン・フーセン

シネテー代表

 諜報部長ネイサン・パレット


幹部一同の揃い踏みである。


「ほんまに会えるんかいな?」

ロバートがいぶかしむ。


「話はしとるさけ、大丈夫ちゃうかぁ~?」

ネイサンからは楽観的な人柄がうかがえる。


「大丈夫ちゃうかぁ~じゃ困るねん!行くんはウチやで!」

スカーレットは突っ込まずにはいられない。


ハイラム諜報部と渡りを付けたネイサンが

クリステル王后との面会を申し込んでいる。


「向こうも内部協力者が欲しい筈や、任せたでスカやん。」


トムは格好よくウインクをしたかったが

両目をつむってしまったので、

(ちょっと長めの瞬きやでぇ~)

と言う顔をして誤魔化した。


「誰がスカやねん!」


デカシーランドの命運を背負いスカやんは旅立つ。




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