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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第六章 死して屍拾う者無し
59/130

*第57話 春一番

季節の変わり目にはそれにともなう自然現象が表れる。

気温の変化による気圧配置の変動が大きな要因である。


西高東低の冬型が弱まり低気圧の進路が

南側から北側に替わる春先には強い南風が吹く。


時には竜巻が発生する事もあるこの風の

最初の一吹ひとふきを“春一番”と言う


***


元気ですかぁ~~~!!!

元気!元気!元気があれば!

何でも出来る訳では御座いませんわよ!

殿下っ!!!


学生生活も2年目を迎えましたわ。

新入生の中にはナコルキン王子妃の

ビリジアンヌ妃殿下も居られますのよ。

披露宴では急にお倒れになられて驚きましたわ。


それよりも殿下ですわっ!

我が家にクラスの皆様と新入生の方々をお招きして

親睦会しんぼくかいを開きましたの。


「みんなで海賊ごっこをしよう!」

もう12歳でしてよ、そんな幼稚な遊びを---

「まぁ!楽しそうですわねっ!」

こ、こらチャーミィ!乗せては駄目よ!


このままでは体力が枯渇こかつしてしまいますわ!

殿下の興味を海賊かららさなければなりませんわね・・・


「か、海賊よりも忍者の方が素敵でしてよ!」

あ・・・


「忍者って何?エルサーシア!」


痛恨のミスですわぁ~

どうやって誤魔化しましょう・・・


「忍者と言うのは正義の為に戦う隠密剣士の事です。」

裏切りましたわねルルナっ!


「わぁ~!それ恰好良いねっ!

忍者ごっこをしよう!」


体力の枯渇が決定致しましたわぁ~~~


御庭衆にも協力して頂きましたの。

本物みたいなものですものね!

非番のカルアンも呼び出しましたわ。


こうなったら私も本気を出しますわっ!

ルルナに忍者装束(しょうぞく)と仮面を出して貰いましたの。

忍者と言えば仮面ですわっ!


「貴方は赤の仮面ですわよカルアン、

殿下は青ですわ、私は白を付けますわ。」

そしてそれぞれのセリフを伝授でんじゅ致しましたの。


さぁ!忍者ごっこの始まりですわ!


「『アカハヂ サンジョウ!』」

「『アホガキ サンジョウ!』」

「『シルカケ サンジョウ!』」


御庭衆の演じるキンメダイ教の悪党から逃げ回る生徒たちを守る戦いが

繰り広げられましたの。


案の定、途中から設定無視の大混乱になりましたわ・・・


ラミア皇女殿下とモーリス様が手をお繋ぎになられていますわ!

ラブラブですわね~


ビリジアンヌ妃殿下とお友達のキャンディス・ランスミンキ伯爵公女様も

桃色のくノ一姿でお可愛らしいですわ~


百合ですわ~~~


あら?チャーミィが一人でオロオロしていますわねぇ?

さっきまで殿下と一緒でしたのに・・・


「スキありっ!とりゃぁ!(ブスリッ!)

「うぎゃあぁぁぁ~~~!」

挿絵(By みてみん)


殿下に“七年殺し”をカマされましたわっ!


淑女になんという事をっ!

少しでも前にズレていたら破ける所でしたわっ!!

王族でも容赦致しませんわよっ!!!


真空飛び膝蹴ひざげりで殿下を撃沈げきちんさせて

私とルルナと何故かカルアンも加わって袋叩きにしましたの。


「私だってした事ないのにっ!」

カルアンが泣きながら玩具おもちゃの剣を打ち込んでいましたわ。


それから大きな凧に縛り付けて吊るし上げて差し上げましたのよ!

天高く反省して頂きたいですわ!


たたた大変ですわ!

急に強い風が吹いてロープが切れてしまいましたの。


春一番ですわねっ!


それどころではありませんわ。

「ガンモちゃんお願いね。」

「コケッ!」


十二支精霊のトリのガンモちゃんに

殿下を連れて戻る様にお願い致しました。

ずんぐりした体形に小さな羽でも驚くほどの高速で飛べますのね。


皆様の体力が枯渇しました・・・

晩餐が終わる頃には限界でしたわね。

それぞれの御付きの方に担がれて帰られましたわ。


私もへとへとですわ・・・

カルアンに私を御姫様抱っこをする栄誉を

さずけて差し上げましょう。




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