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大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第六章 死して屍拾う者無し
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*第54話 曼殊沙華

畑や水田の畦道あぜみちに列をなして、細く赤い花を咲かせる彼岸花。

別名を曼殊沙華まんじゅしゃげと言う。

根に毒を持つこの多年草はモグラ除けとして植栽しょくさいされる事が多い。


花が咲く時には葉が無く。

花が散った後に葉が伸びる。


“葉見ず花見ず”と形容されるこの花がエルサーシアは好きだ。

同じ根に生じながら出会う事の無い宿業しゅくごう

心惹こころひかれるのだ。


***


「い・・・今なんて言いましたの?」

聞き間違いではありませんわよね?

「在るかも知れませんよ松茸。」


「何所に!何所に在りますのっ!」

何所へでも行きますわよ!


「ターターリニ宮殿から少し北の小山に赤松の群生地が在りますよ。

松茸が生えている可能性は高いですね。」


初めて殿下に存在価値を見出みいだしましたわ!

宮殿にお泊りする許可をお願い致しましょう。


あぁ今すぐにでも現地へ行きたいですわ~


すぐさま王宮に使いを出しましたの。

明日の朝一番にお会いしたいと申し入れましたの。

駄目でも力づくで押しかけますわ!

今の私を止めるのでしたら命を捨てる御覚悟をなさいましね!


***


結局は合同の家族旅行になりましたわ。

私とお母様、チャーミィとバロッサ叔母様、

殿下とアナマリア様。


余りにも私が大騒ぎするので興味が湧いたそうですわ。

大型の馬車で全員が乗り合いで向かいましたの。


「本当にディルドーラなんて食べられますの?」

チャーミィが不信感たっぷりに言います。

「もちろんですわ!焼いて良し、蒸して良し、揚げて良しですわ!」


あぁディルドーラ・・・

蠱惑こわくの響きですわ・・・


お母様達は“拳の会”のお話で盛り上がっておられます。

次回の演目となる“バンカラさんが通る”を御一緒に観に行かれるとか。


チャーミィは甲斐甲斐かいがいしく殿下のお世話を焼いていますわ!

微笑ましいですわ~


「まぁ奇麗・・・」

畦道あぜみち曼殊沙華まんじゅしゃげの花が咲いていますわ。

「サーシアの好きな花ね。」

お母様も晩秋ばんしゅうの訪れを眺めていらっしゃいます。


「僕が取って来てあげるよ!エルサーシア!」

殿下が馬車から飛び降りようとしましたの。

「いけませんわ殿下!あの花には毒が有りますのよ!」

チャーミィが必死に止めていますわ。


「殿下、あの花はあの場所に在るから美しいのですわ。

手折たおるのは御止め下さいましな。」

出会えぬのならばせめて同じ場所に散るのが、

今生こんじょうの願いで御座いましょう。


「では私が刺繍にして差し上げましょう。」

アナマリア様が提案をして下さいましたわ!


「まぁ!それは大変に嬉しゅう御座いますわ。」

摘み取らずに刺繍に写し取るとは、粋な計らいですわね。


「楽しみにしておりますわ!アナマリア様。」


***


次の日の早朝、薄っすらと紫色の夜明けが迫る頃に出発致しましたの。

ディルドーラ収穫大作戦の開始ですわ!


小山のふもとに陣を張り、私たちは此処で待機しますの。

さて実働部隊を呼び出しますわよ!


「出ておいでなさいな!ヤツフサちゃん!」

「わお~~~ん!」


十二支精霊のイヌのヤツフサちゃんが元気一杯で飛び出しましたの。


そして更にぃ~

「『八~犬~伝~~~ん!』」


ヤツフサちゃんには八頭の眷属が居りますのよ!


じんのシンベェ

のソウスケ

れいのダイカク

のケノ

ちゅうのドウセツ

しんのゲンパチ

こうのシノ

ていのコブンゴ


準備は万端ですわ!


王都を出る前の晩に、裸のカルアンに

コートを着せて下半身を露出させ

「これが松茸ディルドーラよ!

これと良く似たキノコを探すの!」

と教えてありますのよ!

挿絵(By みてみん)


真っ赤な顔で粗い呼吸をするカルアンが可愛らしかったですわっ!


「さぁ!みんなお願いね❤立派なディルドーラを待っているわっ!」

ヤツフサちゃんと八犬士達が山へと踊り込んで行きましたわ。


「サーシアは精霊と使用人の区別が在りませんのね。」

チャーミィが呆れていますわね。


「あら!皆も喜んでお手伝いして呉れていますのよ!

問題在りませんわ!」


之宇佛露舞零無のうぷろぶれむですわ!


大豊作ですわっ!

どれもこれも立派な代物いちもつですわぁ~

スイッチを押したら動き出しそうですわねっ!


美味しく頂きました。

秋の醍醐味を堪能致しましたわ~~~


松茸ディルドーラ最高~

ですわ~~~!



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