*第50話 また逢う日まで
この日、降節を迎えて季節は前陰となった。
昼夜の長さが等しく一年の中日であるが、
冬の足音が聞こえそうな程に寒い朝であった。
訪コイント使節団は総ての日程を終えて帰国の途に就く。
港には連合五か国の首脳陣が見送りに来ていた。
***
「聖女殿、コイントは其方にとって良き所であったであろうかの?」
ドミクン陛下がにこやかな顔でお尋ねになりましたの。
「えぇ勿論で御座いますわ陛下。」
「聖女殿には感謝しておるのじゃ、バカ息子の命を救って呉れた。
あの場で手討ちにされても文句は言えぬ所じゃったわいな。」
パンジャブ陛下が申し訳なさそにして居られますわ。
もうお気になされずとも宜しくてよ、
旬のホジクリーナをお待ちしておりますわ!
厚待遇を保証して上級持ちの女性を募集なされますようにと具申致しましたの。
結局はヤーリティン様の主張が最も建設的ですわね!
連合国連名での親書をお預かりしてオバルト国王にお届けする事になりました。
友好条約への第一歩ですわね!
トキシラズも大量に積み込みましたし、当分は不足ありませんわ!
「聖女殿!最後に精霊歌でコイントを祝福して呉れぬか!」
まぁ!そんなに私の美しい歌声がお聞きになりたいので御座いますか?
もちろん宜しくてよ!
「えぇ、お安い御用で御座いますわ!」
さぁ皆様!お聞きあそばせっ!
『股~合う♪日まで~♪
アヘる~♪時~まで~♪
別~れの~♪その訳~は~♪
話し~た~く無~い~♪
これは~淋~しい病~気~♪
これは~悲~しい病~気~♪
早く~治さな~いと~♪
感染し~て~しまうか~ら~♪
トイレで~♪血尿~出~て~♪
慌てて~♪医者に見~せ~て~♪
その時~♪ぼくらは注射を~♪
打~た~れるだろ~お~~~♪』
「品性下劣ですね・・・」
昨日はしんみりしてしまいましたけれど、完全復活ですわ!
お別れのご挨拶を済ませてカーレス号に乗船致しました。
デッキから見送りの方々にテープを投げましたの。
私が投げた赤いテープを拾って殿下が手を振って下さいましたわ!
え?殿下?・・・殿下ぁ?
「ででで殿下ぁ~!何故そこにいますのぉ~?」
「わぁ~い!エルサーシア~~~!」
「船を!船を止めて下さいまし~~~殿下がぁ~~~」
首輪とリードを用意する必要がありますわね・・・
あと迷子札も・・・
次話から第六章になります。
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