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*第26話 テッカテッカの新入生

中央教会の広大な敷地の中に精霊院本院は在る。


完全な治外法権が守られ、例え敵国の人間であっても

院生はその身分と安全が保障される。


同じ敷地内に各国の大使館が設置されていて留学生はそこから通学する。

平民が入る一般寮は各国混成と成る。


一般精霊師を育成する初等科、

下級・中級精霊師を養成する上等科、

上級精霊師を錬成する特等科が在る。


今年の初等科は聖女の入学と留学生の多さで、

何かとざわめいていた。


***


蔦の絡まる教会で朝の御祈りをするのが、

聖女としての私のお勤めですの。

これから始まる学生時代で夢多かりし日々を過ごすのですわ!


秋の日には図書館でノートと鉛筆の匂いに囲まれますの。

そして枯葉の散る窓辺でこう言いますのよ・・・


松茸ごはんが食べたい!

と。


「エルサーシア!同じクラスだね!嬉しいな!

あっ!レイサン夫人と呼ばないと駄目なのかな?」

相変わらず元気一杯のフリーデル殿下がハスキースマイルで懐いて来ますわ。


「エルサーシアで宜しゅう御座いますわ殿下。私達はお友達ですもの。」

そうお友達ですわ!殿下は一切空気を読まないお方ですので制御が大変ですの。


披露宴の場で「結婚したんだねエルサーシア!僕とも結婚しようよ!

そうしたら一緒に住めるよね!」

と大声で言い出した時には、さすがに焦りましたわ。


殴り掛かろうとするカルアンを止めるのが、それはもう大変でしたの。

「後でご褒美を差し上げますから良い子にして下さいましな。」

と言い聞かせて漸く大人しくさせましたのよ。


約束ですからその夜は少し長めの抱擁と接吻を許して差し上げましたの。

頃合いを見計らってルルナがカルアンの首筋にビリッと軽く電撃を飛ばして

気を失わせましたの。


「『はい!そこま~でぇ~よぉ~』」

植木流精霊式スタンガンですわね!

容赦ないですわぁ~


そうそう!カルアンは元老院直参に取り立てられましたの。

憲兵隊中尉に昇進しましたのよ!

かなりの僻地ですけれど領地を拝領しレイサン子爵を叙爵されましたの。


もう公女ではありませんわ!

レイサン子爵夫人ですわよ!

人妻ですの!


幼妻・・・卑猥ですわぁ~


「殿下、ご紹介致しますわ。

こちらはタチアーナ・チャーフ、

チャーフ公爵家公女で私の従妹ですの。」


「チャーフ公爵家嫡男イリアムが娘、

タチアーナに御座います。

お初にお目に掛かります。

フリーデル殿下に置かれましては

ご機嫌麗しゅう存じます。

以後お見知り置きの程を。

私の事はタチアーナとお呼び下さいませ。」

挿絵(By みてみん)


あらぁ?お顔が赤いですわよ!チャーミィ。


「よろしくねタチアーナ!そうだ!

今度一緒に遊びにおいでよ!

父上が馬を呉れたんだよ!

まだ上手く乗れないけど楽しいよ!」


「馬で御座いますか?

乗馬は嗜んだ事が御座いませんけれど、

殿下がお誘い下さるのであれば是非に!」


おやぁ?

随分と積極的ですわね!チャーミィ。

恋の予感が駆け抜けて行くのかしら?


「失礼しますわ。宜しいかしら?殿下にご挨拶を。」


南国エキゾチックな麗人が話しかけて来られましたわ。

バルドー帝国のラミア皇女殿下ですわね。


「え?僕に?君は誰?」

それを今からご挨拶なされますのよ殿下・・・


「バルドー帝国皇帝エリトールが娘、ラミアに御座います。

フリーデル殿下に置かれましてはご機嫌麗しゅう存じます。

こちらはオレリナ・ライランスとマイロ・ダンクスに御座います。」


「ライランス公爵家嫡男モアリーが娘、

オレリナに御座います。お見知り置きを。」

「ダンクス伯爵家嫡男エルビスが息子、

マイロに御座います。お見知り置きを。」


「あっそう!宜しくね!

じゃぁみんなで遊びにおいでよ!」


軽いですわぁ~

ご挨拶したら誰でもお友達と言う訳ではありませんのよ殿下・・・


「まぁ!お招き頂けるのですか?嬉しゅう御座いますわ。

ラミアとお呼び下さいな。」


案外いけてましたわね。


いきなり恋敵の登場ですわよチャーミィ!

けれどもバルドー帝国の皇女殿下を王宮にご招待するのは外交的に問題ですわよ。


ラミア皇女殿下を皮切りに自己紹介大会に成りましたわ。

ダモンの宿敵コイントからも留学生が来ていますのよ。


それにしても睨みつけながら御挨拶なさるのは失礼ですことよ!

まったくご機嫌麗しく御座いませんわ。


午後からは院内のオリエンテーションでしたの。

講義室や教練場など一通り見て廻りましたわ。

お手洗いの場所を確認するのは重要ですわ!

最優先事項ですわ!


その間もコイントのお二人が睨んで来ましたのよ。

喧嘩を売っているのかしら?

買って差し上げても宜しくてよ!


ルルナが!




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