表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第二章 なのに私は王都へ行くの
24/130

*第22話 ありがとう

オバルト王国は3つの国家と国境を接している。

北はラーアギル山脈を挟み北狄ほくてきコイント連合国、

南東に南方ハイラム王国、そして南西を南蛮バルドー帝国が窺っている。


国家の成立はオバルト王国が最も古く、建国以来1532年を数える。


三国の中で最も歴史の浅いのはハイラム王国で、

500年ほど前にバルドー帝国に対抗する為、

五つの小国が連合国を結成したのが始まりである。


その後内乱を経て主導権を握ったハイラムが他を併合し統一国家とした。

その際にハイラムを支援したのがオバルトで、それ以来両国は同盟関係に在る。


***


「まぁ!なんて無垢むくな出会いなのでしょう!

きっと恋だと気付いてもいないわ!」


皆様から誉めそやされて得意満面なルルナが

横目で私をちらちらと見ていますわ。

今日はクリステル王太后陛下の発起ほっきによる詩会うたかいに来ていますの。


お題に合わせて即興そっきょうを作って順番に御披露するのですわ。

今回のお題は“初恋”。

そしてルルナの詩が絶賛されていますの。


何所か名も知らぬ湖で

あの方と出会いましたの

何所か名も知らぬ湖で

雛菊ひなぎくの花に囲まれて

あの方が笑うとお空の雲がお魚になりましたわ

何所か名も知らぬ湖で

あの方とお別れしましたの

今は何処いずこに・・・

挿絵(By みてみん)


ヨンデルセン物語のキャンピーの歌ですわねぇ~

堂々とやりましたわね。


神経が太いですわぁ~


ルルナがその手を使うのでしたら私も躊躇ちゅうちょなど致しませんわよ!

さてどれが良いかしら・・・


にこやかに恋を致しましょう

にこやかに傷つきましょう

にこやかに夢を見ましょう

にこやかに諦めましょう

一人きりで泣きましょう

何時も心に青空を抱きましょう

何時も優しく微笑みましょう

今日も明日も 有難う御座います


・・・失敗しましたわぁ~

初恋感ゼロですわぁ~


「まぁ・・・そうよね。

淑女は常に微笑んでいませんとねぇ・・・」

「えぇその通りで御座いますわ陛下!」

「淑女の嗜みで御座いますわ!」


居た堪れませんわ~


「その・・・お粗末様で御座いました。」

「元気いっぱいの爽やかさがサーシアの良い所よ!とても素敵でしたわ!」

あぁお母様!

今はその胸の谷間に癒されたいですわっ!


「どれも素晴らしい詩でした。

精霊王様の詩を拝聴はいちょう出来るとは僥倖ぎょうこうでした。」


王后陛下が詩会の締め括りを述べられて、

これから後は雑談ですわね。


「皆様も気に入って下さいましたわ。良かったわねルルナちゃん!」

それ盗作ですのよお母様!

私もですけれど・・・


「有難う御座います。喜んで頂けて幸いです。」

それ盗作ですわルルナ!

私もですけれどっ!


それから王后陛下御自身から初恋の思い出をご披露なされました。

陛下はハイラムの王族で在らせられますの。

熱帯の大森林と無数に流れる河川に囲まれた秘境から御越しになられましたの。

私の母方の曾祖母様ですのよ。


「もしあの時あの方の手を取っていたならと、

時々思わないでも無いのよ。

でもそうなると貴方と出会え無かったから、

今は良かったとほっとしているわ。」


陛下が私に微笑み掛けて下さいます。


「私も嬉しゅう御座いますわ陛下。」

「私もですのよお祖母様。」

「あら!妬いているの?

もちろん貴方に会えた事も私の幸せですよ

パトラシア。」


実に平和で有り難いですわ!


でも不満を抱く方々もいらっしゃるのよねぇ・・・

週末はその中心に居られる方とお会いしますの。

気乗り致しませんわぁ~


顔合わせだとか言われましてもねぇ。

どう考えてもお見合いですわよねぇ。

私はもうすぐ人妻に成りますのよ?


NTR?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ