128/130
*第126話 微睡
オバルト歴1550年
ムーランティス基本法が制定され、
各国はそれに準じて法整備を行った。
司法権は精霊教会が監督し、治安維持法の元に憲兵隊が組織された。
初代長官にはカルアンが就任した。
エルサーシアは“大聖女”の称号を授与され、
聖地総本山を拠点とする事と成った。
三人の娘達も聖女として認定され、各国から行幸の要請が殺到している。
旧ニャートン皇宮はカイエント城と名を替え、
聖女一家の居城として観光名所に成った。
***
「ねぇルルナ。」
「何ですか?サーシア。」
「大好きよ!」
「何ですかぁ~?気持ち悪い。
急にどうしたのですか?
私も大好きですよ。」
思えば遠くへ来たもんだと、
ふと此れまでを振り返り深く息をする。
「私も大好きなのだよ!」
「えぇ分かっていますわ、カルアン。」
とある雨の日の午後。
カルアンの弾く“別れの曲”を聞きながら、
うつららと微睡むエルサーシアであった。
第三部 完




