表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大聖女エルサーシアの遺言~とんでもヒロインの異世界漫遊記  作者: おじむ
第三章 思えば遠くへ来たもんだ
123/130

*第121話 コスモスの花を揺らして

不条理は美しい人であった。

微笑みをたたえ、今まさに祝福を与えんとする精霊の様であった。


この所業でさえ無ければ。


「貴方がゴリレオ陛下ですの?」

それ程に大きな体躯では無い、むしろ小柄な方だ。

しかし腰が抜けて見下ろされて居ると、

巨大な威圧に押し潰されそうな気がする。


「そ、そーたい。」


不思議だ・・・

怒りよりも、恐怖よりも、何にも増して、

懐かしく愛おしい・・・


「今すぐに降伏して下さいな。

此処で殺しても良いのですけれど、

ほら、戦後賠償とか色々な手続きが御座いますでしょう?

陛下に玉璽ぎょくじを押して頂けると話が早く進みますもの。」


「い、言う通りにするけん、殺さんでつかーさい。」


この人が望むなら何でもしようとゴリレオは思った。

理由など解らない。

それでも確信している。


(我が一族は彼女の為に存在している。)


と。


***


後に“大陸間大戦争”と呼ばれるジンムーラ国際連盟と

ニャートン・バルドー同盟との戦争であるが、

実際には開戦から一週間で終結した。


本国からの停戦命令にニャートン軍は大混乱となっが、

詳しい状況が伝わると、大急ぎで帰国して行った。


取り残されたバルドー帝国は、暫くの間は戦闘を継続していたが、

戦意を喪失した軍隊は枯れ木の様にもろかった。

陽節まで持ち堪える事は出来ずにバルドー帝国は降伏した。


ニャートン帝国は王国に格下げされ、旧帝都を含む国土の3分の1を

オバルト王国に割譲した。


オバルトはその海外領土をカイエント領と名付け、

翌年の1546年の昇節、レイサン家に封じ、

カイエント辺境伯を徐爵した。


地域を安定させて、尚且つムーランティス大陸に、

精霊教会が進出し布教活動をするには、

エルサーシアの存在が不可欠だからである。


バルドー帝国は国境こそ維持されたが、

かなりの領域を租界そかいとして差し出した。

ゲライス家の失脚と引き換えに教会が仲裁に入った。


フリーデルは大公位を徐爵され、

旧キーレント領を封じられてキーレント大公と成った。

元老院の一員としての地位も拝領した。


スカーレット(シモーヌ)は男爵位とカイエント領に接する地域を封じられ、

スカーレット・シモーヌ・カーミヤマン男爵と成った。


戦後の復興が軌道に乗り始め、

旧帝都に活気が戻りつつ有る後陽の終わり。

街道の路傍ろぼうに咲くコスモスの花を揺らして、

エルサーシア一行を乗せた隊列が通り過ぎる。


挿絵(By みてみん)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ