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*第118話 初陣

八犬士達の報告に依り、ニャートン最大の軍港ディーナメートに

400隻を超える数の戦艦が係留けいりゅうされている事が分かった。


カルアンとリコアリーゼは、そこで初陣を飾る事に決めた。


「お父様!先ずは私が、あの一番大きなお船を沈めますわねっ!」

挿絵(By みてみん)


そう言ってリコアリーゼが指差したのは、

四つの外輪を備えた輸送艦である。


「ではそれを合図に始めるとしよう。

余り張り切ってしまうと、

オージー達の分が無くなってしまうよ。」


海中にはオージーとタツノコが潜んでいる。


「分かっていますわ。小さいのは残して置きますわ。」

彼女の言う“小さいの”とは突撃艦である。


「さぁ!行きますわよ!

『焼き尽くせ!カグツチ!』」

「『吹き飛ばせ!スサノオ!』」


リコアリーゼの連射する徹甲焼夷弾と、

カルアンの徹甲榴弾が次々とニャートン戦艦を破壊して行く。


キューピー形態のハニー、海獣オージー、

タツノコも競って船を沈める。


『エロヒム・エイサイム

我は求め訴えたり 我は願い捧げたり

ヴァジュラム!』


ミサの怨念の籠ったプラズマが超高温のやいばとなって戦艦を両断する。

砕け散った船の残骸と屍で港は満たされた。


「まぁ大変!大失敗ですわっ!」

突然にリコアリーゼが叫んだ。


「どうしたのだい?アリーゼ。」

怪我でもしたのかと、カルアンは慌てた。


「私、数えるのを忘れていましたわ!誰が一番か判りませんわ!」

これでは、お母様に自慢が出来ないと嘆いているのだ。


「アリーゼが一番だよ。」

根拠は無いが、カルアンは断言した。


「適当な事を言わないで下さいまし、

お父様のそういう所が嫌いですわ。」


「き・・・嫌い・・・」


「あの~私、数えてました。」

ミサが、おずおずと申告する。


「沈めた数はオージーが一番ですけれど、

船の排水量の総量ではアリーゼが一番です。」


「どちらが勝っているの?」

勝ち負けの問題では無い筈なのだが・・・


「は、排水量です・・・」

気迫に負けた。


「嫌い・・・嫌い・・・アリーゼが・・・嫌いって・・・」

カルアンは心に大怪我を負った。


****


ニャートン帝国の産業を支える工房都市ローレンツ。

武器弾薬は此処で生産されている。

背の高い煙突が乱立し、灰色の空を更に黒く塗りつぶしている。


「ゴホッ!ゴホッ!ひどい匂いですわね、それに息苦しいですわ。」


タチアーナは初めて大気汚染を経験してむせた。

街全体がすすけている。


「あぁ、体に悪そうだね。さっさと終わらせよう。」

フリーデルは言い終わるや爆撃を開始した。


引火性の薬品や、弾薬庫に火が付き、凄まじい誘爆が起こる。

爆風で一帯が吹き飛び、大きなクレーターが出来る。


石炭の貯蔵庫は溶鉱炉と化し、

高熱によって生じた強い上昇気流が炎を空にねじじり上げる。

大焦熱だいしょうねつ地獄じごくくやの光景が現出した。


「私達が致しましたのね・・・」

さすがに精神的にこたえたのか、タチアーナの顔色が悪い。


「モスクピルナスに戻ろう。

さぁ僕に掴まってチャーミィ。」


そっと優しく妻を抱き寄せ、フリーデルは帰投した。





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