*第117話 ダモンの血統
オバルト歴1545年 前陽5週
ニャートン・バルドー同盟軍は、デカシーランド共和国に向けて
進軍を開始した。
同時に海軍艦隊も進撃し、海上では既に戦端が開かれていた。
最も脆弱な所が、真っ先の標的にされたのだ。
蒸気機関による突撃艦の機動力は凄まじく、
“法師”と呼ばれるニャートンの魔法使いも、
オバルト精鋭の精霊師と互角の威力を保持していた。
次々と撃沈されデカシーランドの領海は制圧された。
キュアリー大将の大言も、こうなると適格だったのかも知れない。
***
ほぉ~
ここがモスクピルナスですのね。
正に精霊の生まれる場所に相応しいですわね。
「お母様!此処に別荘を建てませんこと?」
それは良い提案ですわ!
「いやぁ~それはちょっとぉ~」
サリーちゃんに止められましたの。
「一応ぉ~聖地だからぁ~」
「あんたら親子でヤベェな。」
「で?これからどうしますの?」
慌てては駄目よ、チャーミィ。
「八犬士ちゃんに軍事施設を調べて貰っているの。
先ずは軍事物資を焼き払って兵站を潰しましょう。
カルアンとアリーゼは港で待機中の船を沈めて頂戴ね。」
「アリーゼは初めての戦闘だけれど怖く無いかい?」
「えぇ!平気ですわ、お父様!沢山のお船を沈めましょうね!」
「うん、そうだね。私と競争だよ。」
「はい!お父様!負けませんわよ!」
微笑ましいですわぁ~
「栗拾いみたいなノリですけれど、忘れて無いかしら?
人を殺しますのよ?」
そんな事は当たり前ですわよ?
何を言っているの?
「お忘れですの?タチアーナ様。私はレイサン家の娘ですのよ?」
その通りですわ!
「はぁ~そうでしたわね。戦闘民族の血統でしたわね。」
アリーゼもダモンの一族ですのよ!
「貴方こそ大丈夫ですの?チャーミィ。」
お留守番でも良いわよ?
「えぇ、覚悟は出来ていますわ。」
「僕もだよ、エルサーシア。これは戦争だ。」
「お母様!私、今回の作戦が成功する様にと、精霊歌を作りましたのよ!」
まぁ!一人で作りましたの?
「聞かせて頂戴な。」
チャラララ ラァ~ン♪
『牛~乳~飲んで~~~♪
チャラララ ラァ~ン♪
お腹を下して~~~♪
トイレ~に行~ったら♪
満・員・・・なの♪
チャ~ラ♪ララ~ラ♪
お腹~かが~うな~ると~♪
穴が開~くわ~~~♪
今~は駄目っ♪
動いちゃっ♪
パララ♪
振動~振動~♪
危険っよっ♪
だけどウンコが出ちゃう・・・
不穏な子だもん❤
チャ~ラ♪ララ~ラ♪
涙~だも~汗も~♪
鼻汁も出た~の~♪
早・よ・替わ~れ♪
強~よく~♪
叫・け・び~た~い~♪
便器で~パンツを~♪
洗~ら~う~わ~♪
便器で~パンツを~♪
洗~ら~う~わ~~~♪』
ジャ~~~ン♪
あぁ・・・
どうしましょう・・・
泣きそうですわ・・・
我が子の成長に感動しましたわ!
「あんたら本当にヤベェな。」




