*娘たちは見つけた!
葬儀の後に三姉妹は母の部屋で遺品の整理をしていた。
「これは貴方が5歳の時に差し上げたものね。」
長女が見つけたハンカチには、
如何にも子供が作りましたと言いたげな、
だからこそ可愛らしい刺繍が施されている。
それを見た二女は治まっていた涙が、また溢れ出して来た。
「あ゛~ぞうでずばぁ~!ごでばぁ~
わ゛だぐじがぁ~!お゛が~ざばに゛ぃ~
う゛う゛う゛う゛~~~」
「これ!それで拭いては駄目よ!こちらを使いなさいな。」
「あ゛じがど~~~」
「お姉様は一番のお母様っ子でしたものねぇ。」
三女は泣き虫な姉の頭をそっと撫でて、しみじみと部屋を見廻す。
「そう言えば宮棚はまだ見て無かったですわね。」
寝台の枕元に設置された戸棚を指さす。
「そうねぇ、何か有るのかしら?」
長女が寝台に登り、そろりと小さな扉を開く。
中には一通の手紙が入っていた。
「これは・・・」
「まさか!遺書?」
「お゛が~ざばぁ~~~」
丸いテーブルの中央に手紙は置かれ、それを三姉妹が囲んでいる。
「お、お姉様、開けて下さいましな。」
「そ、そうね、開けるわよ!」
「お゛が~ざばぁ~~~」
長女が恐る恐る手紙を開く。
「これは・・・呪文ね・・・」
「呪文?」
「お゛が~ざばぁ~~~」
「何の呪文ですの?」
「さぁ?見たことが無い呪文ねぇ」
「ぎっど~お゛が~ざばぁが~わ゛だじだぢに゛~
の゛ごじで~ぐだだっだの゛でずばぁ~」
「唱えてみませんこと?」
「え?大丈夫かしら?」
「だびじゅに゛ぎばっでま゛ずばぁ~」
「そうね、お母様が危険なものをこんな所に置きませんわね。」
「お願いしますわ、お姉様。」
長女が呪文を唱えると、庭の方から大きな水音が聞こえて来た。
まるで滝が落ちる様だ。
続いてガシャンッ!と機械音がした。
「中庭の方ね!」
「えぇ!行ってみましょう!」
「お゛が~ざばぁ~~~」
彼女達がそこで何を見るのか、
そしてお母様がどの様な人物だったのか。
そのお話をしましょう。