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交差点の向こう側

作者: さばみそ

年末ともなると、イベントが盛りだくさんで皆が忙しくなる。私の仕事は季節には関係ないのだが、まだ幼い子供たちとクリスマスというイベントを楽しむために街に出て、その忙しさを体感している。大きな公園でのミニコンサート、屋台で普段は食べられない食事を楽しんだ。気づけば夜も9時を過ぎようとしていた。さすがに子供たちも眠気が押し寄せてきているようで、目をこすり始めている。

車を走らせ家路につくも、皆考えは同じなのか程なく渋滞になる。どうやら年末恒例の道路工事らしい。イベントと工事が重なり、酷い渋滞になってしまったようだ。

(なんで毎年毎年、忙しい年末に工事やるかね。工事する側もしんどいだろうに…)

急ぎでもないのにイライラしてくる。妻もそんな私に気づいたのか、大丈夫と飲み物を差し出してくれる。しかし、いらないとぶっきらぼうに断ってしまった。すぐに反省はするも、車はなかなか進まず、イライラは収まらない。

「キキッ!」

交差点、私の前にいた車が変なタイミングでブレーキをかけた。どうやら、酔っぱらいの歩行者が道路にはみ出そうになったためらしい。陽気に「すみませ~ん」と深くおじきをする歩行者たち。おかげで私の目の前で信号は赤になり、思わず舌打ちしてしまう。

そんな時、子供たちが「キラキラ~♪」とはしゃぎだした。イルミネーションのある場所は既に抜けていた。一般家庭の飾りでもあるのかと、子供たちの視線の方へと目を向ける。すると、交差点の向こう側、そこには工事現場のライトチューブが点滅していた。渋滞の原因でもある工事現場だが、視点を変えればこんなにも楽しめるのか… 私は再び反省して深く深呼吸をした。笑顔で子供たちにキレイだねと声をかける。妻にもごめんと言って飲み物をもらう。現場を通りすぎる時には子供たちは手を振り、私と妻はお疲れ様ですとおじきをした。あちらも笑顔で手を振り軽くおじきをする。そういえば、近所にもイルミネーションを飾っている家があったのと思い出す。どうせ急ぎではない。ちょっと寄り道だが見て帰る?と提案すると、皆、笑顔で賛成した。

交差点の向こう側、そこにあったのは子供たちの夢の国だった。視点を変えて楽しんでいこう。きっと幸せはそんなところに転がっているものだ。

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