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珈琲の時間

作者: 夏生

珈琲豆を挽く

削れてゆく音から

回転の音に変わる流れに

耳を澄ませる

軋んだ日常に辛うじて

ぶら下がっている心に

そっと触れる

つかの間の休息


粉を取り出しドリッパーに入れる

平坦にならしてお湯をゆっくり注ぐ

ふくらんでゆく粉

ひとつの到達点にたった

心地を楽しむ


珈琲をカップに注いで

ひとくちふくむ

味の奥まで届く心地よさ

やさしい苦みが広がる


何もなかったような

顔をした日々の

ひび割れた部分を

見つめながら

もうひとくちふくむ

あたたかい苦みは

静かに溶けてゆく


何も考えない

何も思わない時間は

必須だと知ったのは

このひとときをおぼえてから


ざわめく心を座らせて

息をつく


珈琲が冷めると

ひとくちふたくちと

早くなってしまう

手を止める

焦らなくていい

今、この時をこの瞬間を

大切に味わおう


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