4
科学の国グヨから来たというズハとヒギ。グヨでは最近、財政の締め付けが厳しいようで、国が推進する特定分野以外では、研究機関で仕事をしていても、満足な収入を得られないという。彼ら2人は結婚も決めた恋人同士だったが、将来を悲観して宗教国家ツタゲへの移住を決め、その日にニビピヨに着いたばかりだそうだ。
「実はな、俺は宗教と科学、真理は1つだと思っている。科学の国の話も、是非とも君たちに聞きたいな」
ニボユボは、そう言うと、ズハとヒギを奥に招いて行った。ビリヅはどうしようかと考えていると、
「ねえねえ、さっきの修行の時、最初、私と同じで何も見えなかった人って、あなたでしょ」
とタチアナが話しかけて来た。ビリヅが顔を向けると、
「でもビックリしたね。ニボユボ様の念で、いきなり目の前に白い点が現れるんだもの」
タチアナが言葉を続けたが、ビリヅは敢えて否定しなかった。
そこに現れたのが、ツニとトプだ。チラシをまき終え戻って来たようだ。タチアナがツニに駆け寄る。
「ツニ様、さっき、怪我をされたハセャ様に、ニビピヨ様が癒し魔法を施されたんですよ。私、ビックリしてしまいました」
タチアナがそう言うと、ツニは、
「あの方はチバケア教の教典を読んだだけで、その本質を理解されたのでしょう。すごいお方です」
と穏やかな表情で言った。タチアナがチラシを見て入門者が来たことを告げると、ツニとトプも奥へと歩いて行った。
ニボユボから集合命令が、それから半時後に伝えられた。
先ほど修行した部屋にビリヅが向かうと、他のメンバーも続々と集まって来た。少し遅れてニボユボがズハ、ヒギと入って来ると、
「この2人は、科学の国グヨから来た、ズハ君、ヒギ君だ」
と紹介した。そして、そこで、怪我のハセャから、ダモエ教の代表者をニボユボに変更するため、宗教庁があるタヌまで、ニボユボとトプが外出すること、その間の修行はツニの元で行うことなどが発表された。さらに、ニボユボに続き、ズハが発言した。
「これから入門者が増えれば、ここでは狭すぎですね。外の空き地に修行場を作ってみては、どうでしょう。それと、この教団の人気を上げるのに絶好の人物がいます。スカウトしたいのですが」
その日、入ったばかりのズハの発言に、ビリヅは驚いた。だが、ニボユボは少し笑みを浮かべ、
「そうだな。新しい修行場の件は、ズハ君に任せるか。ところで、そのスカウトしたい人物とは?」
と聞くと、ズハは流暢に答えた。
「アヤフフという美人DJで、彼女も出身は科学の国グヨなんですが、こちらのラジオ局で人気上昇中だそうです。ヒギの知り合いなんですが、彼女が加われば、入門希望者も増えると思います」
ニボユボは、大きくうなずき、
「よし、なら、それはズハ君、ヒギ君に任せよう」
翌朝、トプが運転する車でニボユボが出かけると、しばらくして、ズハ、ヒギも出かけていった。ビリヅは、タチアナ、ヨボ、メッツと共に、ツニの指導で修行を行うため、前回の座敷、そこが今後は仮道場ということで、そこに集合した。そこで初めて、ビリヅは、落ち着いた気分を取り戻したような気がした。