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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第三章:アルダラン編
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二重生活

 大学の入学式の翌日、九月二日は金曜日で、午後は講義がなかった。

 僕はアスカやサラたちと一緒に、寮の自室で打ち合わせを行った。


 これまで、僕とアスカは魔物と戦うときに連携を意識することはなかった。

 二人でダンジョンに入ったときでも、魔物とは一対一で戦ってきたからだ。


 でも、サラがパーティーに加わったことで、状況が変わった。

 サラはフィジカルが弱く、接近戦に向かない。サラに魔物と一対一で戦ってもらうより、皆で連携して戦う方がよい。


 『サラと護衛たち』については、パーティー内の連携は心配ない。

 ただ、彼らの今後の役割は、僕らのパーティー『西風の拳』の後方からの支援だ。『西風の拳』の戦い方を理解してもらう必要がある。


 最初から難しいことは出来ないので、この日は基本方針と数種類の攻撃パターンを決めた。

 今後は、前衛をアスカに任せ、後衛にサラを置き、僕が状況に応じて行動する方針だ。


 土曜日は午前中からダンジョンで練習することになった。



 打ち合わせの後、僕とアスカは軍学校の寮に瞬間移動した。移動先は、先日までアスカが使っていた部屋。

 大学の寮には僕の分身に留守番させてあるので、非常時にはすぐに戻ることができる。


 ジャンヌとジェシカは不在だった。

 寮に着いたことを思念でジャンヌに伝えると、数分後にジャンヌが戻ってきた。


「ただいま」と、僕とアスカ。


「おかえりなさい。ジェシカは派閥のメンバーと一緒よ。さっきまで私もいたの」


 現在、ジャンヌ派は急速に勢力を拡大していて、一年生にもメンバーがいる。

 ジェシカはジャンヌ派の現場監督的な存在として、メンバーたちをまとめてくれている。

 将来、ジャンヌ派の中からゼピュロス商会の幹部になる者も出るかもしれない。



「外食にしようか?」


「ええ、いいわ」


「ボクも賛成だよ」


 ジェシカが戻った後、皆で外出した。


 僕とアスカはアルダランから不正出国中なので、顔をさらすのはまずい。

 部屋を出る前、僕は魔法で兄カイルに似た顔に変装した。アスカの方は、顔を日本の人気女優に変え、魔法少女のコスプレをした。



 この日はカルナーの郷土料理の店に行った。

 アルダランの脂っこい料理に少し飽きてきたところだったので、さっぱりした辛い味付けが普段よりも美味しく感じる。



「今夜、泊ってくんでしょ?」と、ジャンヌ。


「うん。だけど、明日は出かけなくちゃいけない」


 僕は、キラールのサラ王女を仲間に入れたことや、明日、サラと一緒にダンジョンに入ることを話した。


「いいなあ、私も行きたい」


「兄貴、私も一緒に行きたいです」


「仕方ないなあ」


 結局、ジャンヌとジェシカもダンジョンに連れていくことになった。

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