サラが仲間に
「アレク、ありがとう。あなたたちは命の恩人だわ」
サラは僕とアスカに感謝した。サラの護衛たちも口々に感謝した。
サラの護衛たちがオーガの討伐証明部位として魔石を採取した。
オーガの肉もギルドで買い取りしてもらえるのだが、サラたちは持ち切れないという。
「サラ、僕が運んであげるよ」
僕が魔法でオーガの死体から血を抜き、肉を切り取った。
切り取った肉は順次、アイテムボックスに収納していく。
「アレク、アイテムボックス持ってるんだ!」
「うん。自分で作った」
この世界にもアイテムボックスは存在しているが、僕が作ったような大容量のものは珍しい。
自作したと聞いて、サラと護衛たちは驚いていた。
オーガの肉を全て収納した後、サラたちと一緒にダンジョンを出て、ギルドに行った。
僕とアスカが受注した案件について、完了報告し、採取した素材を買い取ってもらった。
それから、サラたちの完了報告に立ち会う。
サラは、オーガ討伐で得たお金の全てを僕に渡すと申し出た。
僕とアスカで全てを倒したわけではないので、全額貰うのは悪い。
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「アレクたちがいなければ、私と護衛の者たちは命がなかったわ。受け取ってくれなくちゃ、私の気が済まない」
結局、僕とアスカは半分だけ受け取った。
ギルドでの用事が終わり、僕とアスカがサラたちに別れの挨拶をしようとしたとき、サラが
「アレク、あなたにお願いがあります」
「?」僕はサラの顔を見た。
「私をあなたのパーティーに入れてくれませんか」
サラは真顔で、冗談で言ってるわけではなさそうだ。
「ちょっと待って」僕は隣にいるアスカを見た。
「ご主人様、ボクは賛成だよ」
「サラ、俺のパーティーの名前、知ってるよね?」
「ええ。『アレクのハーレム』でしょ?」
サラの顔が赤くなった。
サラはキラールの王女だ、
『アレクのハーレム』という名前のパーティーに加入することは、家名の恥になる。
「なぜ、俺のパーティーに?」
「私、強くなりたいの。いえ、強くならなければならないんです。あなたのパーティーで活動すれば、もっと強くなれると思うから」
家名の恥よりも、強くなることが大事ということか。覚悟は分かった。
「分かった。サラ、君の加入を歓迎する。パーティー名は変えよう」
ギルドでパーティーの登録変更を行った。
パーティーの名前を『アレクのハーレム』から『西風の拳』に変えた。
サラは、護衛たちと組んでいたパーティーから抜け、『西風の拳』に加入した。
サラの護衛たちのパーティーの名前は『サラの護衛たち』になった。
今後、『サラの護衛たち』は『西風の拳』と行動を共にすることになる。
ダンジョンでの活動で得た報酬については、基本的に『西風の拳』のものだ。
ただ、貢献度によっては『サラの護衛たち』にも分け前を渡すことになるだろう。




