ゴブリン退治
Fランク冒険者が引き受けることの出来る依頼案件は、薬草採集など、初心者にも危険が少ないものばかりだ。
ちょっと危険なもので、スライム討伐。
正直言って、僕とアスカには物足りない。
Fランクの二人組ならばEランク案件を受注できるので、僕とアスカでパーティーを組んでギルドに登録した。
パーティーの名前は『アレクのハーレム』にしておいた。これなら、仲間になろうと思う人はいないだろう。
ギルドで残っていた依頼書を調べた結果、今回はゴブリン退治を行うことにした。
ゴブリンの出現個所まで、ギルドから徒歩で三時間くらいかかりそうだ。
時間節約のため、飛んでいくことにする。
知らない土地だけど、王都近郊の地図は頭に入っている。
僕とアスカは気配を消して、人気のない場所まで歩き、それから隠形の術で姿を消す。
僕はアスカにおんぶしてもらう。
「いくでえ、豆タン」
「はいな、あんさん!」
どうでもいいことだけど、近頃、僕とアスカは水島新司の野球漫画『男どアホウ甲子園』に凝っている。単行本を全巻、寮に持ってきてあり、ゴブリン退治が終わったら読むつもりだ。
アスカは静かに地上から浮き上がり、高速で飛行を始めた。
数分で目的地の近くまで来て、魔物の探知を開始。コボルトの気配を感じた。
ゴブリンの巣から五百メートルくらい離れたところに降りてもらい、僕も地上に立った。
ここで、ナイフ以外の武器を持っていないことを思い出した。
僕は『武器作成』を使えるので、武器がないのは大きな問題ではない。
ゴブリン相手に強力な武器はいらないと思い、野球のバットをイメージし、金属バットを作った。
金属バットを邪道と思う気持ちはあるけれど、武器としては木製より金属製の方が良い。
野球のキャッチャー用のミットとプロテクターを作ると、アスカは喜んで装着した。
ミットを付けて殴るのでは素手より威力が落ちるのだけど、アスカのパワーなら問題ないだろう。
僕らは慎重にゴブリンの巣に近付いていく。待ち伏せの気配はない。
トラップは全て、魔法で破壊した。
ゴブリンが数体、見えてきた。
さあ、ショータイムだ。
「千本ノック!」
僕は魔法で野球のボール型のファイアボールを生成し、金属バットで打った。
ファイアボールはゴブリンに当たり、瞬殺。
僕は次々にファイアボールを作成し、打ちまくった。
アスカはゴブリンの巣の方に突撃した。
スライディングでゴブリンを倒し、ミットで殴りつけた。
僕もアスカの後からゴブリンの巣に突入。金属バットを振り回し、暴れまくった。
こうしてゴブリンの巣を壊滅させ、僕とアスカは冒険者デビューの日にEランク昇格を決めたのだった。




