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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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作戦会議

 夕食後、校内武術大会の予選に向けての作戦会議を行った。

 基本的に僕が作戦やチーム構成を提案し、賛同を得る形だ。



 校内武術大会・団体戦のルールには、「降参しなければ負けにならない」という穴がある。

 失神したり、試合中に命を落としたりしても、降参しなければ引き分けになるのだ。


 つまり、勝者数で先行した場合、残りの試合で降参しなければチームは勝てる。



 引き分け狙いでこられた場合、勝つのは難しい。

 ボコボコにしたとしても、根性のある者は降参しない。


 命が危なければ降参する者はいるかもしれないが、大抵の人は、校内武術大会で相手を死なせたいとまでは思わないものだ。



 僕らのチームも先行逃げ切りを目指す形の編成にすることになった。


 勝者数で先行するためには、先鋒に強者を配置するのが基本だ。

 僕らのチームでは、僕が適任だろう。


 剣士としてだけなら僕よりケインの方が上だけれど、ケインは怖そうな外見の割に優しい奴で、弱い相手を甚振(いたぶ)ることができない。

 ケインには大将になってもらい、最悪でも引き分けに持ち込んでもらうつもりだ。



 剣道では次鋒が弱いことが多いのだけれど、あえてポイントゲッターを次鋒にすることもある。

 勝者数で先行し続けたいので、今回、僕らのチームではポイントゲッターを次鋒にすることにした。


 ジャンヌ、ジェシカ、アスカの三人では、体力的にはアスカが抜群なのだけど、試合運びの巧みさの点ではジャンヌの方が上だ。

 また、ジャンヌは優しい人柄だけれど、勝負のために鬼になれる強さもある。


「ジャンヌ、次鋒やってくれるか?」


「ええ、任せてちょうだい」


「アスカ、おまえ、中堅な」


「うん。まとめてぶっとばすよ」


 おい、相手は一人だぞ。審判までぶっとばすなよ。

 少し不安が残るが、アスカを降参させられる奴は校内にいないはずだし、審判を攻撃の巻き添えにしても反則にはならない。


「期待しているぞ」


 僕がそう言うと、アスカはニパッと微笑んだ。

 かわいい。思わず抱きしめたくなるが、我慢した。



 ここまで決まると、ジェシカが副将になるしかない。


 正直言って、ジェシカをチームに入れるのは不安だ。

 剣士としてのジェシカは劣化版のジャンヌという感じで、技術的には上手い方だ。頭もいい。でも、強さに欠けるし、勝負への執着心が薄いように思える。


「ジェシカ、副将、頼むぞ」


「はい、兄貴。俺、男になります」


「お、おう」


 ジェシカが何を考えているか分からない。

 だが、一つだけ言えることがある。ジェシカには女のままでいてほしい。


「だが、ジェシカ、女のままでいてくれ」


 ジェシカは少し顔を赤らめ、何も言わなかった。



 その後、ジェシカが作った調査資料を見ながら、予選に出場する有力選手への対策を話し合った。


 明日の午後、剣術の授業時間に予選が行われる。

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