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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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校内武術大会の説明

 一月四日、月曜日。軍学校の二学期の初日だ。

 日本の小中学校と違い、カルナーの軍学校では二学期と三学期に始業式はない。


「いよいよね」ジャンヌが言った

「そうだな」と、僕。

 武術大会のことだ。


 この日の最初の授業は通常の内容ではなく、クラス担任が校内武術大会について説明を行う。


 校内武術大会では、危険性の高い武器の使用は禁止だ。金属製は不可、先端を(とが)らせたものも駄目だ。また、隠し武器は禁止ではないけれど、試合開始前に審判と相手選手に武器を見せる必要がある。

 指輪や腕輪などの装着品についても、金属製は禁止されている。


 魔法については、自分自身の身体強度を操作してもよいけれど、それ以外の魔法は禁止。味方や敵の身体強度を操作するのも反則だ。

 魔法効果を付与したアイテムを使用してもいけない。


 これらの禁止行為が露見した場合、即、負けとなる。


 試合は、一方が降参すれば決着がつく。当然、降参した方が負け。

 また、介添人(セコンド)がタオルを投入することによっても負けとなる。


 試合時間は五分で、時間内に決着がつかない場合は引き分け。

 個人戦の場合、試合の決着をつけるため、試合時間が五分の決定戦を行う。

 決定戦では、主審と副審二人の計三人で勝敗を判断する。


 団体戦は、基本的に五対五で行われる。

 勝ち抜き戦ではなく、勝者の数の多い方のチームが勝ちとなる。

 両チームの勝者の数が同じ場合、両チームから代表を一人ずつ出して決定戦を行う。

 決定戦では、主審と副審二人の計三人で勝敗を判断する。


 大まかなルールは上記のような感じだ。



 剣道の団体戦の場合、一人目を「先鋒」と呼び、以下、「次鋒」、「中堅」、「副将」、「大将」となる。

 軍学校でもそれなりの呼称があるけれど、便宜上、ここでは剣道の団体戦で使われる表現を使うものとする。



 大会本戦は、まず、学年ごとにクラス代表によるリーグ戦が行われる。

 個人戦では、リーグ戦の上位二人が決勝トーナメントに進出し、トーナメントを勝ち抜いた者が優勝となる。

 団体戦では、リーグ戦の上位二チームが決勝トーナメントに進出し、トーナメントを勝ち抜いたチームが優勝となる。



 大会本戦に出場するためには、クラス代表に選ばれる必要がある。

 団体戦には、僕、ジャンヌ、ジェシカ、アスカ、ケインの五人でチームを組んで出場希望した。


 僕は結局、個人戦にはエントリーせず、団体戦に専念することにした。

 個人戦よりも魔法コンピューターの開発の方が重要と判断したからだ。


 ケインは個人戦にもエントリーした。

 ケインは僕と戦えないことを残念がっていたが、それは僕も同じだ。来年は個人戦でケインと戦いたいものだ。


 校内武術大会への参加は希望者のみなので、出場希望者が少なければ予選無しで本戦出場ということになるのだが、結局、1組では参加希望者が多く、予選を行うことになった。



「作戦、考えなくちゃね」と、ジャンヌ。


「そうだな。ジェシカ、偵察まかせていいか?」


「兄貴、クラス内はこんな感じです」


 さすが、ジェシカ。僕が指示しなくても情報収集はバッチリだ。

 ジェシカが差し出した資料には、クラス全員の長所や短所、得意技など、僕が知りたい内容が簡潔にまとめてあった。


「ご主人様、ボクには作戦なんていらないよ。ギュッとしてバーンだ!」


 アスカ、お前には期待してないよ、頭脳プレイは。


「おまえは、相手を大怪我させないよう、手加減してやってくれ」


「わかった!」



 夕食後に作戦会議することになった。

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