光の剣
祖父の指導を受けた後、祖父と二人で夕食を食べた。外食だ。
三が日の間、前世の僕と妹は両親と一緒に家族旅行に出かけている。
もしかしたら、会うことが出来るかもしれない。
アスカの家に戻ってみると、皆でゲームしていた。
前世の僕の家と同じ様に、ゲーム機が何台もある。
アスカの父親は、日本で何をしてるんだろう。
「アスカ、おまえのお父さんって、何してるんだ?」
「ゲーム機つくる会社で働いてるよ」
ああ、そうですか。竜も仕事するんだね。
その後、ジャンヌから道場で何をしてるか訊かれた。
祖父から口止めされたわけではないが、一族以外のものに変化の術のことを気軽に打ち明けるべきではないだろう。
「家伝の武術の奥義を教えてもらったよ。さすがに一日では習得できなかった」
「そうなの。じゃあ、明日も行くのね」
「そのつもりだ」
ケインは同行を希望した。風間流の体術に興味があるとのことだ。
他の三人も同行を申し出た。けれど、僕としては、ジャンヌ達に日本での休日を楽しんでほしかった。
「ゼピュロス商会で扱えるようなものがないか、日本の街を見てきてほしい」
そう言うと、ジャンヌ達は了解した。
一月二日と三日の両日、僕は午前から道場に行った。
ケインも同行し、道場で中村さん達から基本的な体の動かし方を教えてもらった。
僕は、道場の奥にある小部屋で祖父から変化の術を教わった。
変化の術で特に大事なところは、心の使い方だ。
心と体を分離し、心だけの存在と化すことによって、どのような体にでもなれる。
でも、口で言うのは簡単だが実践は難しい。
結局、僕は日本にいる間に変化を習得することは出来なかった。
あと一歩で出来そうな感触はあるのだけど。
一月三日の夕方。僕は祖父の道場を辞去しようとしている。
結局、前世での僕や妹には会えなかった。残念だが、そのうちに会う機会はあるだろう。
祖父が懐から何かを取り出した。
「これをおまえにやろう」
見ると、風の剣に似た短剣だ。
「魔剣ですね」
「うむ。これは『光の剣』という。大昔、風の一族の族長リフカ様が我が先祖シゲンとの最後の別れの際、シゲンにくださったものだ」
「もしや、『七つの剣』の一つ?」
「その通り。おまえは既に『風の剣』を持っているはずだ」
僕はうなずいた。
「実は、『炎の指輪』というものを持っているのですが」
「ああ。あれも『七つの剣』の一つだ。『七つの剣』という呼び名だが、普段の形が剣とは限らん」
「こんな貴重なものを僕に。本当にいいのですか?」
「リリー殿下はお前のことを古の英雄『風のラファエル』の再来と信じ、『風の剣』をおまえに遺した。わしも殿下を信じ、おまえにこの剣を託す。七つの剣を集めてみよ」
七つの剣は、伝説のアイテムだ。
大昔、『カルナーの三姉妹』が七つの剣を集め、世界を救ったとされている。
「殿下やお祖父さんの期待に副えるよう、最善を尽くします」
僕のやるべき事は少し見えてきたけれど、使命の大きさを思うと足がすくむ思いだ。
でも、立ち止まってはいられない。未来のために力をつけなくては!




