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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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年末年始は日本で

 軍学校の休日は、週に二日。

 日本の中学・高校とは異なり、長期の休暇は夏休みだけで、冬休みと夏休みはない。


 年末(十二月三十一日)と年初(一月一日)は休日。

 この冬は曜日の並びに恵まれ、一月三日まで四連休になっている。

 王都内や王都近郊に自宅のある寮生は、多くが帰省するようだ。


 ブリーズ商会の店は年中無休だけど、祖父と僕の会社『ゼピュロス商会』の方は年末から一月三日までの四日間を休みにさせてもらった。


 四連休を利用して、僕、ジャンヌ、ジェシカ、アスカの四人はアスカの実家に行き、日本で過ごす予定だ。



「ケイン、休みの間、どうする?」


「俺の家は遠いから、帰省せずに寮にいるよ」


「俺たちはアスカの家に遊びに行くけど、一緒にこないか?」


 ケインを誘ったら、ひどく喜んで、一緒にくることになった。

 ケイン、おまえも寂しい奴だったんだな。


 アスカと僕は日本語ネイティブだから言語の問題はないが、他の三人にとって日本語は未知の言語だ。


 僕が転生したばかりの頃は言葉が分からず、言葉を理解できるようになるまで時間がかかったものだ。

 でも、今の僕は言語理解の魔法を使えるので、日本に来る前にジャンヌ達が日本語で会話できるようにしておいた。


 日本でのアスカは、都内で両親と三人暮らしだ。


 大晦日の午前中に五人でアスカの部屋に瞬間移動したところ、アスカの両親も在宅していて、驚きながらも歓迎してくれた。



 さっそく、アスカの部屋にあるノートパソコンを借り、ネットでコンピューター関連の技術情報を収集した。魔法による高速学習の結果、かなりの知識を身に着けることができたと思う。



 僕の仕事関係の用事が済んだ後、ジャンヌとジェシカが異世界(日本のこと)を見たいというので、皆で外出し、主に観光客が多そうな場所を案内してあげた。


 ジャンヌとジェシカは、通りすがりの人々の着ているものに興味津々。

 ケインは観光に興味なさそうだったけれど、意外なことに、外出してからは一番はしゃいでいた。


 お金はアスカの小遣いが頼りで、他の四人は感謝するばかりだ。



 前世で僕が住んでいた場所に行くつもりはなかった。

 前世での家族に会いたい気持ちはあったけれど、会うのが怖い。



 けれど、元日の朝、ケインが日本の武術を見てみたいと言い出し、ジャンヌとジェシカも同意したことから、祖父の道場に行ってみようと思い立った。

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