ハーレム百人の野望を語る
「アレク、何て言ったの?」
ジャンヌは明らかに怒っている。父のパフューム公爵を思わせる迫力だ。
「やっぱ、ハーレムかな」と、小さな声で。
「いい度胸ね」
「ごめんなさい。俺、調子こいてました!」
俺はジャンヌの前で土下座した。
「ハーレムなんて駄目だからね。私以外は、ジェシカとアスカまで。他の女の人に手をだしたら許さないわよ」
俺は土下座を続けている。
だが、しかし、ハーレムは男のロマンだ。ここで譲るわけにはいかない。
「ジャンヌ、君は男というものを分かっていない」
「どういうことなの?」
僕は顔を上げ、真剣そうな顔でジャンヌを見つめる。
「男は社会に出たら、たくさんの敵に会う」
「それはそうね」
「だから、やすらぎが必要なんだ」
「ハーレムを作っていい理由にはならないわね」
「一年生になったら、友達百人できるかな」
「なにそれ?」
「ゲイル家の家訓だ。男だったら百人規模のハーレムを目指すべきだと教えられてきた」
「あなたのお父様がハーレム作ってるなんて噂、聞いたことないけど」
「父は世界各国に愛人がいるぞ」
父に愛人がいるというのは嘘だ。僕の知る限りでは、父は僕の母一筋で、貴族にしては珍しく、側室さえいない。
すまん、父さん。内心でつぶやく。
「そんな人だったのね。人は見かけによらないものね」
小さな嘘はばれやすいが、大きな嘘は意外に信用されるものだ。
「ジャンヌ、君が一番だ。でも、家訓に逆らいたくはない」
「仕方ないわね」
ちょろいぜ、ジャンヌ。
次の瞬間、ジャンヌが僕を抱きしめた。
豊満な胸が僕の顔に押し付けられ、息ができない。
やっぱり、まだ怒っているな。




