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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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アレク、肩をもむ

 十一月になっても、コスプレ用品の人気は衰えていない。


 最初の頃は完成品を学生寮から祖父の店の倉庫まで運び込んでいたのだけど、一週間ほど前からブリーズ商会の建物内の一室を借り、そこで放課後に作業している。


 僕が材料から付け耳や付けしっぽを作り、ジャンヌが完成品の検品、値札付け、包装を行う。ジェシカは事務処理を担当し、アスカはブリーズ商会の店員と一緒に売り場で働いている。


 最初は四人で作業をローテーションしていたのだけど、結局、各人が得意な作業を担当する方が効率的だった。



 経営者として、僕は毎日、帳簿を確認している。

 十月後半の売り上げは順調で、ジャンヌたちに世間並の給料を出しても大丈夫なくらいの利益はある。

 後で祖父と相談し、ジャンヌたちの給料の額を決めなくては。


 会社に残るお金は、当面、企業の成長のために使うつもりだ。



 ジェシカがため息をついた。

 ジェシカは我慢強いタイプだが、事務仕事でストレスがたまっているようだ。


「おつかれ」


 僕はジェシカの両肩を軽く揉んで、疲労回復の魔法を流し込む。


「ありがとうございます」


 ジェシカは笑顔になった。


「ご主人さまあ、ボクにもやって!」


 アスカ、おまえ、自分で出来るだろうが。そう思いながらも、僕はアスカの肩も揉む。


「アレク、私にもお願い」


 結局、三人に疲労回復の魔法をかけた。

 人間関係によっては肩もみはセクハラになるのだけど、この三人ならば問題ない。胸のあたりでも受け入れてくれそうな気もするけど、自粛しておこう。



 ところで、転生後の世界では、電気の存在は知られているが、発電会社は存在せず、電気製品は普及していない。

 当然、PCや会計ソフトのようなものは存在せず、事務処理は手作業だ。


 魔法を使って、PCや会計ソフトのようなものを作れないだろうか。


 ちょっと、考えてみる。

 PCのように汎用的な装置を作るのは難易度が高く、すぐに作るのは難しい。

 でも、会計処理に特化した装置ならば、簡単ではないけれど、出来なくもなさそうだ。



 流行は、いずれ終わる。

 付け耳や付けしっぽの打ち上げは近いうちに頭打ちになり、その後、激減するだろう。

 流行が終わっても、ある程度の需要があれば作り続けてもいいかもしれない。けれど、僕はコスプレ用品を主力商品にするつもりはない。


 祖父と僕の会社『ゼピュロス商会』で、次に何をやるべきか?


 魔法コンピューター、作ってみようかな。

 この世界でビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズを超えてみよう。


 成功して、世界進出。夢は無限に広がっていく。


「やっぱ、ハーレムかな」


 うっかり、声に出していたものらしい。

 ジャンヌが怖い目をしていた。

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