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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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付け耳大作戦

  吾輩は犬耳女学生である。名前はまだない。



 一行書いただけで力尽きた。

 あきれ顔のジャンヌ。



 突然、閃いた。昔の漫画なら電球が光るところだ。

 コスプレ用品を販売したらどうだろうか。

 

 たとえば、付け耳。付け耳というと、僕は最初に犬耳を思い受かべるけど、猫耳、キツネ耳もいいかもしれない。

 偏見かもしれないが、モフモフ愛好者のためにも、しっぽは欠かせない。


 ただ、転生後の世界でこうした物に需要があるかどうかは分からない。


 僕は、犬耳や猫耳のコスプレ姿のジャンヌを思い浮かべ、思念伝達でジャンヌ、ジェシカ、アスカにイメージを伝えた。


「どう思う?」


「かわいい!」異口同音に三人が言った。


「売れると思う?」


 三人は顔を見合わせた。では、言い方を変えよう。


「安ければ欲しい?」


「そうね。考えてもいいかも」ジャンヌが言った。


「ジャンヌ、試作してみたいんだけど、布と糸、あるかい?」


「どうかしら。ジェシカ、あまってる布とか、ある?」


「ありますよ」


 ジェシカがジャンヌの手持ちの布と糸を出してきた。

 さっそく、僕は魔法で犬耳・猫耳・キツネ耳を作ってみた。次に、同様に三種類の「しっぽ」も作った。


 試作品が出来たので、三人に試着してもらう。

 ジャンヌは犬耳としっぽ、ジェシカは猫耳としっぽ、アスカはキツネ耳としっぽだ。


「どう?」


「気に入ったわ」異口同音に三人が言った。



 次の問題は、売り方だ。


 コスプレ用品に限らず、衣類やアクセサリーの売れ筋は、流行に影響される。

 現在、カルナーの社交界でファッションリーダーとなっているのは誰なのか、その方面の知識は僕にはない。


 この場にいる四人のうち、社交界デビューしているのはジャンヌだけだ。


「やっぱり、流行に最も影響があるのは王妃様だと思うわ」


 まあ、それはそうだな。僕にも想像できる。

 王妃様が身に着けてくれれば最高なんだけど、ジャンヌが王妃様に頼むのは難しいように思う。


 パフューム公爵なら王妃に会うのは難しいだろうけど、あの謹厳な公爵が王妃様に犬耳の装着をお願いする姿は似合わない。

 未来の僕の義父に恥ずかしい思いをさせるわけにはいかない。


「ジャンヌと年齢が近い人では、誰かいる?」


「ダリー公爵のお嬢さんかしら。自信ないけど」


「その人に連絡できる?」


「友達の友達だから、出来ると思う」


「じゃあ、ジャンヌの友達の分とダリー公爵令嬢の分も作るから、何か理由をつけて贈ってくれないか?」


「じゃあ、さっそく、明日、手配するわ」


「よろしく。贈るだけで、頼まなくていいよ」


「そうなの?」


「気にいってくれたら、頼まなくても身に着けてくれるさ」



 流行を作って、コスプレ用品を販売する。

 僕の最初のビジネスとなるか?

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