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高所恐怖症なのに竜騎士になりました  作者: 矢島 零士
第二章:軍学校編
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賢者の時間

「アレク大好き」


 一瞬どきっとしたが、寝言だと分かり、ほっとする。


 ジャンヌは僕を抱きしめている。

 一緒に暮らし始めたばかりの頃は一つのベッドに少し離れて寝ていたのだけど、近頃、ジャンヌは眠っている間に僕を抱き枕の代わりにするようになっている。


 パフューム公爵の家系は成長期が早いのか、ジャンヌは十二歳の割には豊満な体形をしている。

 ジェシカもパフューム公爵家の一族で、やはり十二歳の割に成長が早い。

 二人とも女性としては長身で、年齢を知らなければ大人に見えるだろう。


 ゆうべ、ジャンヌと真剣な話をしたばかりだというのに、僕の下半身は元気だ。

 魔法で生理現象を抑制することは可能だが、機能を使わなければ退化しそうな気がするので、我慢し過ぎないことにしている。


 僕はジャンヌを起こさないようにベッドから出て、素早く着替え、魔法で人気のない山奥に瞬間移動する。

 無属性魔法は使えないので、光属性魔法での移動だ。


 誰も入ってこれないように結界を張り、外から見られないよう、僕の周囲を霧で囲む。

 衣類を身に着けていない状態のジャンヌを想像し、下半身に溜まったエネルギーを放出。


 いわゆる賢者タイムになった。


 気だるさを振り払うように衣服を脱ぎ、衣服を魔法アイテムで異空間に収納してから、水魔法で温水シャワーをかけて身体を洗う。ついでに周囲も掃除する。

 魔法とは便利なものだ。


 衣服を身に着けた後、三十分ほど、無属性魔法習得に向けての実験を行う。

 今回は、無属性魔法の術式そのものを光属性に変換し、魔法を起動してみた。当然、そのままでは光属性の魔法となるので、実行時に無属性魔法に戻すという手順を踏む。


 結果は今回も失敗だった。

 ただ、これまでの失敗とは異なり、実行時に僕の中の魔力が大きく膨張するのを感じた。

 一歩前進というところだ。


 部屋に戻る。ジャンヌはまだ眠っていた。

 寝顔を見れば、やはり年相応の幼さを感じる。

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