親ばか
実技試験は楽勝で、僕とジャンヌは特待生に選ばれた。
軍学校の寮は、学校の敷地内にある。
僕の感覚では男子寮と女子寮が分かれているのが当然なのだが、なぜか男子寮と女子寮の区別はなく、僕とジャンヌは同室になっている。
僕の使用人として、アスカには一室が与えられている。ジャンヌの使用人ジェシカにも一室が割り当てられている。
三つの部屋に四人で、この部屋割りは納得できない。
僕が一部屋、ジャンヌが一部屋、アスカとジェシカで一部屋。これなら理解できる。
「この部屋割り、おかしくないか?」
「私たち、夫婦になるんだから問題ないでしょ。私と同室なら寮内で浮気できないだろうし。父を説得して、学校に圧力をかけてもらって、こうなったの」
パフューム公爵、親ばかにもほどがある。
一面識もない僕のことを信用していいのか?
ひとっ走り、自宅に戻って、父に寮の部屋割りのことを告げる。
「よくやった」
「え?」
「父さんは賛成だ」
僕の父も親ばかだった。
ちょっと調べてみたところ、女子と同室の男子は僕だけだった。
僕が「ハーレム野郎」と言われるのは時間の問題だろう。
開き直って、より多くの女性と親睦を深めるのもよいかもしれない。
でも、ジャンヌは嫉妬深そうだ。
人付き合いは面倒くさい。頭をかかえたくなる。
毎日、自宅から走って通学しようかな。
2019年2月9日、寮に男子寮と女子寮の区別がない旨の記述を追加しました。




